close

2019-08-09

【東京2020海外スター候補Vo:1】J・ガンブレット(スロベニア) 強さと美しさを兼備する中欧クライマー

SHARE

  • twitter
  • facebook
  • line

オリンピックでは、日本人選手の活躍と並び、各大会の主役となる海外勢にも注目が集まる。そこで今回からは2020年東京オリンピック・パラリンピックでスターになるえる候補選手をアトランダムに紹介していく。第1回目はスポーツクライミングのヤンヤ・ガンブレット(スロベニア)だ。

写真上=複合形式で行われる東京五輪の金メダル筆頭候補であるガンブレット/Janja Garnbret◎1999年3月12日生まれ、スロベニア出身。身長164cm、体重47kg。
写真/Getty Images

 東京五輪から正式競技に採用されたスポーツクライミング。日本でも男子では楢崎智亜、女子では野口啓代(以上、TEAM au)、野中生萌(XFLAG)などの実力と人気を兼ね備える選手が登場してきたが、オリンピックでは「スピード」、「ボルダリング」、「リード」、の3種目を合わせたポイントで順位が決定する。体操の個人総合のようなイメージだろうか。

●競技説明
【スピード】高さ10mもしくは15mの壁で、予めホールドの配置が周知されているコースをどれだけ早く登るかを競う
【ボルダリング】ボルダリングは高さ5m以下程度の壁で、最大12手程度の複数のボルダーを対象にいくつ登ることができたかを競う
【リード】高さ12m以上の壁で、最長60手程度のコースをどこまで登ることが出来るかを競う
※参考出典:(公財)日本山岳・スポーツクライミング協会ホームページより

 3種目を合わせた「複合」をメインとする大会があるにはあるが、ふだんは3種目が別々に行われているため、合計ポイントで争うオリンピックは正直、予想がつかない。すべてをバランスよくこなす選手はおらず、この形式が採用された時には選手、関係者から大きな批判が起きた。

 ただし女子には、2種目でスーパーな活躍を見せる選手がいる。

 20歳のヤンヤ・ガンブレットだ。

 ガンブレッドは7歳でクライミングを始めたが、もともとはリードを得意とする選手だった。

「最初は、なぜクライミングで競争するのか分からなかった。でも、練習をハードに積み重ねていくにつれ、私は世界最高のクライマーになれると感じてね」

 2015年に16歳となり、シニアのリード・ワールドカップに参加し始めたが、表彰台の常連となった。2016年から2018年までは3連覇している。

 そして2019年、ガンブレットはボルダリング・ワールドカップで強さを示す。年間6試合、6戦全勝。前代未聞の圧倒的な強さである。しかも78個の課題のうち、74個をクリア。次元が違う強さを発揮した。今季はまた、スピードの大会にも積極的に出場し、オリンピック対策を練っている様子だ。

 ただし、7月にフランスのシャモニーで行われたリード・ワールドカップで9位に終わり、クライミング界ではショッキングなニュースになった。

 このように3種目を満遍なくこなすのは難しく、実績を重視するならば、2種目で世界のトップを走ってきたガンブレットが大本命になる。実際、「混合ワールドカップ」でも、2016年から2018年まで3連覇した。

 これだけの強さを発揮しているが、練習にどっぷりと浸かり、隙を見せない。それは次の言葉からも明らかだろう。

「趣味と呼べるようなものは全然なくて。時間があったら、クライミングするのがいいな」

 たくましくて美しいガンブレットが、東京でヒロインになる可能性は極めて高い。

【スポーツクライミング女子 競技日程】
出場予定/2020年8月5日(水):女子予選、8月7日(金):女子決勝
会場/青海アーバンスポーツパーク

文/生島 淳

おすすめ記事

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事