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2019-11-03

新生NOAHの夢を乗せ――若き王者・清宮海斗が目指すは「業界1位」…NOAH11・2両国大会リポート

プロレスリング・ノア「NOAH the BEST 2019~美学のある闘い~」
★11月2日(土)東京・両国国技館(観衆5523人=満員)

 今年1月の新体制移行してから初となるNOAHの年間最大のビッグマッチが11月2日、東京・両国国技館にておこなわれた。

 そのメインイベントには23歳の若き王者が登場。昨年12月に史上最年少の22歳5カ月、史上最速となるキャリア3年でGHCヘビー級王座を奪取した清宮海斗は、以来、新生NOAHの象徴として5度の防衛に成功してきた。

 迎えるは今年5月から反骨集団「金剛」を結成し王者・清宮に噛みつき、8月~9月におこなわれたシングルリーグ戦「N‐1 VICTORY」を制した強敵・拳王。清宮は大会11日前の22日、浜松大会での前哨戦で拳王のダイビング・フットスタンプにより頸椎捻挫のケガを負うアクシデントに見舞われた。迎えた大一番では、その首を狙う拳王との壮絶な削り合いが繰り広げられた。

エプロン上の攻防でドラゴン・スープレックスを決めた拳王

11、GHCヘビー級選手権試合(60分1本勝負)
<王者>○清宮海斗(31分10秒、タイガー・スープレックス・ホールド)拳王●<挑戦者>
※第32代王者が6度目の防衛に成功

 試合前、清宮から特別立会人の小橋建太さんにベルトが返還されると、続いて小橋さんがこの日から生まれ変わる新チャンピオンベルトをお披露目。

 午後8時35分、ゴング。ロープに押し込んだ拳王は清宮の負傷箇所の首を両手でなでて挑発。序盤は負傷の影響を感じさせない動きを見せていた王者だったが、エプロン上の攻防で拳王にDDTを決められると、動きが止まる。拳王はさらにうつ伏せに寝かせた清宮の首にダイビング・フットスタンプを放つ非情の一撃で追い打ちをかけ、5分経過。その後も拳王はバタフライロックなどで首を集中攻撃。場外でカンパーナを決めると振り子のように揺らして頭から鉄柵にぶつける。

清宮は10分経過後、反撃に出るとコーナーからのフライング・エルボーや場外へのトペ・コンヒーロなどの空中殺法から、9月から使用している新必殺技のストレッチプラム式フェースロックを狙う。これは拳王がロープエスケープ。

拳王は四つん這いの清宮の首へのフットスタンプやドラゴンスリーパーなど首攻めで再び優勢となるが、清宮はジャーマン・スープレックス・ホールドからストレッチプラム式フェースロック。これを拳王が耐えてロープに逃れ、その後も一進一退の攻防が続き試合時間は20分を超える。

拳王はうつ伏せにダウンする清宮の首筋にダイビング・フットスタンプ。仰向けになった清宮の腹部にもう一発決めて畳みかけるが、これでも勝負は決まらず。25分が経過すると、意地と意地のぶつかり合いに。最後は顔面へのドロップキック連打からリバースゴリースペシャルボム、そしてタイガー・スープレックス・ホールド2連発と畳みかけた清宮が3カウントを奪い、壮絶な一戦に終止符を打った。

勝負を決めた清宮のタイガー・スープレックス・ホールド

 旗揚げ翌年の2001年より受け継がれてきた初代ベルトの最後の王者となり、小橋さんからリニューアルされた新ベルトを腰に巻かれた清宮は、満員の観衆を見渡し、以下のマイク。

清宮「皆さん、本日はたくさんのご声援本当にありがとうございます。なんか、ちょっとでも気を抜いたら危なくてですね、そういう一瞬の隙も逃さないような対戦相手でした。あの、ホントにボクは残念なのが、最初こういうこと言おうって思ってたこと、全部飛んじゃいました。でも、これだけは言えます。今日、闘った拳王とここに集まってくれた皆さんはホントに最高です! ありがとうございます! 一生続いてほしいこの拍手が。それぐらい何も思い浮かばないんだけど、だけど、オレは本気でプロレスリング・ノア、業界2位といわずに、業界1位までいきたいと思ってます! ホントにホントです! こうやって作り出す新しい景色も、皆さんがいるから今日オレは作れたと思ってます。だからこれからも、みんなで一緒に、一番まで駆け上がっていきましょう! 今日は皆さん、ありがとうございました!」

▼バックステージ

清宮「(今の心境は?)いや、本当にこのベルトを防衛できてよかったです。(試合を振り返って)リング上でも言ったと思うんですけど、試合の方の記憶はあんまり飛び飛びで申し訳ないですけども…それほど拳王の攻めっていうのは今まででも強烈な…アイツは本当にオレの心を打ってくるようなライバルといった存在ですね。

(拳王選手最高とリング上でマイクしていたが)最高ですか? ボク言いました…? いや、もう最高ですけれども…最悪でもあって最高であって、どっちともとれる憎らしいけど、闘いやってて気持ちいいような存在なんで。これからもっともっとアイツとは闘わないといけないなと思います。一緒にこのNOAHを上げていこうと思います。

(何を言うか忘れてしまったと言っていたが、試合が終わった瞬間頭の中はどんな状態だった?)うーん…お客さんの声援が嬉しくて何を言おうっていうよりは何よりも拍手で称えてくれたっていうお客さんの気持ちがすごく嬉しくて。オレは日本一…今日本一熱いリングがNOAHだと思っているので、NOAHのお客さんはやっぱり愛情がありますよね。愛があるところにはオレは絶対にトップに立っていけると思うので。何を言おうと思ったかわかんないんですけど、今のNOAHは日本一熱い試合と最高の愛があるお客さんがいるっていう状況ですね。

(これで防衛期間が11ヶ月になったが、両国を乗り切っての気持ちは?)この両国に本当に懸けてきてて。それでリーグ戦も出ないで、色々賛否両論あった中で、全部それも自分へのお客さんのメッセージというのを受け止めてやってきたので…これから一気にNOAHの…さっきボク、リング上で言ったと思うんですけど、本当にオレは業界2位と言わずに業界1位を狙っていきたいので、このベルトを守り続けたいと思います。

(きょうは一つ“新しい景色”をみせたが)そうですね、もっとこのベルトに“新しい景色”刻んでいって、このベルトを輝かせていきたいなと思います。(新しいベルトを初めて巻くチャンピオンになったが)やっぱり責任は重いと思いますよ。でもオレは過去の闘いを超えていかないといけないと思っているので。このベルトにもっともっと、きょうからどんどんどんどん激しい闘いを刻んでいってこのベルトの価値っていうのを自分が上げて、自分の印象をこのベルトに刻んでいけたらいいなと思います。

(小橋建太さんとはどんな会話を?)小橋さんは…よくやったと、優しい言葉をかけてくれましたね。まぁいつも小橋さんは本当にどんなときも優しく背中を押してくれるので。そういう気持ちも自分は背負って、昔のベルトも歴史はすごいあると思うので、このベルトにはオレがしっかり昔以上の歴史を。絶対周りには無理だと言わせないです。新しい景色を刻んでいきたいなと思います。

(最後はフィニッシュの連発だったが、あの技にはこだわりが?)そうですね。あの技はボクが海外にいってからずっと大事にしてる技で。特にきょうの対戦相手の拳王にとってもオレが初めてあの技をかけたっていうのもあってオレにとってとっても大事な技なので、大事にしていきたいと思います。

(きょう初めてNOAH、初めて清宮を見る観客もいることに対してのプレッシャーはあった?)もちろんプレッシャーはありますね。まぁでも…ベルトも新しくなったし、オレはまだまだやることがいっぱいあって。今、夢中なので。プレッシャーよりもプロレスに向かっていけてる環境だなって、すごくありがたく思ってます。

(10・22浜松でのケガのアクシデントは特に問題なかった?)うん、そうですね。全然問題ないです。あれは、まぁ…拳王の覚悟の技だと思うので。きょう、オレもその覚悟を持って挑めたっていうのはね、アイツには感謝しているところはあるんですよ。どんなに憎み合ってたってやっぱりアイツには感謝しているところはあります。

(来年は団体が20周年だが、どこに駆け上がっていきたい?)まずは1・4、1・5の後楽園ホールがあるんで。オレは本当に一つ一つ会場を超満員にして、そしてね、いろんなところと闘っていって。1位になるにはライバルの団体いっぱいあると思うんで。最終的にオレたちがいくのは日本武道館だと思ってるので、必ずそこまでオレがベルトを持って駆け上がっていきたいと思います。

(杉浦がGHCナショナルを使ってGHCヘビーにプレッシャーをかけていくと言っていたが)新しいベルトができたら、やっぱりそういうベルト同士の闘いっていうのも生まれてくると思うんですよ。だからもっともっとNOAHの闘いのレベルっていうのは上がっていくと思うので、そこはお客さんに本当に期待して欲しいです。これからもNOAH、オレが必ずみんなと一緒に“新しい景色”つくっていきます。期待してください。ありがとうございました」

その他の試合結果

オープニングに小橋建太さん登場

 5時ジャストに、BGMの『グランドエスケープ』が終わると同時に場内が暗転し、オフィシャルコメンテーターの小橋建太さんがテーマ曲に乗って入場。

 小橋さん「皆さん、こんばんは! 今日はNOAHが新しくなって初めての両国国技館です。たくさん注目のカードがありますけど、一つひとつ皆さん熱い思いで声援してください。よろしくお願いします!」

 小橋さんが「握りこぶしを作ってください」と呼びかけ、「いくぞー!」「オー!」の掛け声で大会がスタート。

1、30分1本勝負
KAZMASAKAMOTO&○イホ・デ・ドクトル・ワグナーJr&岡田欣也(6分8秒、片エビ固め)モハメドヨネ&クワイエット・ストーム&熊野準●
※ムーンサルト・プレス

 ヨネ&ストームの息の合ったコンビネーションも見られたが、序盤からトペ・スイシーダを決め「ビバ・メヒコ!」と元気いっぱいだったワグナーJrが、最後は敬礼からのムーンサルト・プレスで熊野を仕留めた。

2、NOAH the CLASSIC(30分1本勝負)
本田多聞&○百田光雄(10分10秒、回転エビ固め)齋藤彰俊&井上雅央●

雅央にスリーパーを決めるマイティ井上レフェリー

 第2試合は本田多聞&百田光雄VS齋藤彰俊&井上雅央という草創期のNOAHを知るメンバーによるタッグマッチ。特別レフェリーをマイティ井上が務めた。

 ロッキーのテーマがかかると会場が沸く中、百田の息子の“力道山三世”力が先導し百田&本田が入場。 

 序盤、百田を相手に得意のノラリクラリ戦法を見せた雅央はその後コーナーに引っ込んでいたが、本田から「いい加減に出て来い!」と呼び込まれて応じる。雅央が本田にスリーパーを決めると、本田が「レフェリー、チョーク!」とアピール。マイティ井上レフェリーに止められた雅央が「よく見とけよ!」と再びスリーパー。マイティはやはりチョークの判定で反則カウント。雅央は「チョークじゃないよ!」と抗議して、またスリーパー。するとマイティが雅央にスリーパーを決めてやめさせた。 

 その後、本田と彰俊が激しい攻防を繰り広げ、本田の回転地獄五輪、彰俊のスイクルデスと互いに得技が決まる。最後は彰俊のラリアットの誤爆を受けた雅央を百田が丸め込んで3カウントが入った。

 バックステージでは本田が「世代のつながりというものは大事だし、そしてもうひとつ今日は土浦レスリング部と日大の後輩である息子さんがセコンドについていたということもあって、繋がっていくものの大切さを感じながら試合をしました」と語れば、力も「自分は昔からNOAHさんでウチの父の試合を見てきましたので、今こうしてセコンドとして間近で見ることができて自分も感無量です。嬉しいです」とコメント。

 一方で敗れた雅央も「ボクは新弟子の頃はマイティさんとかにプロレス教わったんで、すごい感慨深いものがあります。久しぶりにマイティさんのスリーパー食らってちょっとうれしかったです」と語っていた。

3、30分1本勝負
○桜庭和志&大原はじめ&NOSAWA論外(8分20秒、足4の字固め)西村修&Hi69●&宮脇純太

西村と桜庭の初対戦

足4の字固めでHi69を仕留めた桜庭

 桜庭が9・16大阪に続いてNOAHマット参戦で西村と初対戦。

 序盤、論外のヘッドシザースを倒立で脱した西村が桜庭を手招き。応じた桜庭が出てくる。桜庭がヘッドロック。西村がロープに振ると、ロープワークで交錯してからコブラツイストの掛け合い。これを桜庭が制すが、すぐに西村が返す。投げて振りほどいた桜庭が腕十字を決めにいくと、西村が脱する。

 若手の宮脇がつかまる展開となり、桜庭が2度目の登場。コーナーで宮脇にミドルキックを連打し、チキンウイングフェースロック。5分経過。ロープに走って低空ドロップキックも決める。

 宮脇が大原に一本背負いを決めて反撃すると、西村対桜庭に。西村がエルボースマッシュ連打。桜庭のスリーパーを脱してスリーパーで切り返す。これは論外がカット。論外と大原をエルボースマッシュで蹴散らした西村は、桜庭のヘッドロックをスルリと脱して延髄斬り。西村のダイビング・ニードロップに続いてHi69がストゥーカスプラッシュ。これはカウント2でカットが入る。

 桜庭がHi69に一瞬のスキをついてヒザ十字固め。そこからアンクルホールド、足4の字固めへとつなげてHi69がタップした。

▼バックステージ

桜庭「いやあもう…むちゃくちゃキツイですよ!」

論外「やっぱり持ってる引き出しのスゴさっていうか。まさか桜庭さんの4の字固めが見れるとは! 一緒に組ませてもらってオレが楽しんじゃったよ。前回はドロップキック、今日は足4の字固め、次はフランケンシュタイナーくらい出ちゃうんじゃないかなって」

桜庭「(すごいプレスを食らったが)死にます! 総合じゃありえないの食らったんで。潰されるって感じ(苦笑)」

大原「僕としては自分の原点は桜庭道場で桜庭さんからレスリングを習ったところから始まってるので。今度は自分が経験を積んだメキシコのジャベとかで、桜庭さんと共演できればと思います」

NOSAWA「また杉浦軍の一員として出てもらおうと思っているので。また急なオファーしちゃうと思うので、よろしくお願いします!」

西村「(桜庭と触れてみてどうだった?)やっぱり世界を代表する寝技のチャンピオンですよ。もっと奥の深いところで勝負してみたかったと思います。久々に、どこか自分自身やってみたいと感じました。昔さんざんマツダさんから秘技を教わったわけですから。最近、立ち技が一般的なプロレスの展開なんですけど、この人とだったらじっくりできるんじゃないかと久々に思いました。鳥肌が立つように感動いたしました。ぜひまたやりたいですね。(もう一度、どこかで?)きょう巡り会ったのは偶然でもない、必然だとするならば、必ずまた出会う場がくるでしょう。それを楽しみにしています」

4、30分1本勝負
○エディ・エドワーズ&小峠篤司&クリス・リッジウェイ(11分30秒、片エビ固め)望月成晃&田中稔&スペル・クレイジー●
※ボストンニーパーティー

久々のNOAH登場だったスペル・クレイジー

望月とリッジウェイ

エドワーズのボストンニーパーティー

 2015年12月以来、約4年ぶりNOAHマット登場のクレイジーはマラカスを振りながら陽気に入場。序盤には「ビバ!」「メヒコ!」のコール&レスポンスとともにエルボードロップを決めるなど躍動したが、最後はエドワーズのボストンニーパーティーで3カウントを聞いた。

▼バックステージ

エディ「いっつも言っているけど、NOAHは自分のホームだから。帰ってきた感じがするよ。前は小峠と組むことはできなかったけど、こうやって組むことができたし。また新しい仲間ができたよ。ここに帰ってこれて、嬉しいよ」

クリス「頼もしい仲間がいて、また勝った。チームワークがすべてだったと思うよ」

小峠「アイム・ハッピー。アイム・ベリー・ハッピー。ノア・リョウゴク・ベリー・ベリー・ハッピー。オーナー・グレイト。フィニッシュ」

望月「(ジュニアとヘビーが混ざっての試合でした)ボクは特にジュニアとかヘビーとかこだわりはないですけど、今回は両国に出させていただいて。今日はN-1の優勝者がメインで挑戦ということで、まぁ優勝は拳王選手でしたけど。自分は今日まではちゃんとスケジュールを開けといて出させていただきましたけど。自分の中で美学ある闘いをさせていただきました。ありがとうございました」

田中「クレイジーが元気すぎてこれはいけると思ったんですけど、エディがすごくてね」

望月「エディってチャンピオンだったんでしょ? 今日のお客さんの声援を聞いてこれはいかれるなと思って(笑)だいぶきてましたね」

田中「体重はあるわ人気はあるわ」

望月「ちょっと対抗できなかったなぁ」

田中「(2人でこれから何か狙っていきたい?)望月さんがこれからずっと上がってくれるのであれば…」

望月「世界タッグ、アジアタッグ…違うか。IWGP? あ、すみません。もちろんね、機会があれば、ボクは一区切りになるかもしれないですけど、また頑張っていきたいですね。田中選手とはキャリアが同じなんですよ。田中選手の若さを見習って」

田中「あと、さっきジュニアだヘビーだっていう話がありましたけど、今日はナショナルベルトができるので」

望月「それはオレも気になる」

田中「気になりますよね。赤いベルト、オレら赤いコスチューム着てるし」

望月「ボクは杉浦選手とはまだ当たってないんですけど、まぁ取ったら…」

田中「杉浦さんも昔はジュニアだったんでね。試合したいと思ってた人なので、杉さんが取ったりなんかしたら…」

望月「田中さんと挑戦者決定戦やって(笑)これは勝手です。すみません。邪魔なコメントだったらカットしてください(笑)」

5、30分1本勝負
○藤田和之(7分57秒、レフェリーストップ)谷口周平●
※スリーパーホールド

谷口を絞め落とした藤田

 5月よりマイバッハ谷口から7年ぶりに本名へとリングネームを戻し生まれ変わった谷口周平が“野獣”藤田和之と一騎打ち。

 ゴングが鳴っても互いに約1分に渡り不動のままにらみ合うというピリピリした緊張感の中、谷口は前哨戦でも見せた強烈な顔面蹴りをヒットさせるなど優勢に。だが、強烈なヘッドバットで谷口の額を割ってみせた藤田がスリーパーで絞め落としてレフェリーストップ勝ち。

▼バックステージ
藤田「(イスを蹴飛ばしながら)ブッ殺してやるよ。沈めに来てんだよオレは。泥舟を沈めに来てんだよ!なあ?ホントに沈めてやるからなオマエ。ブッ殺してやるよ!(谷口の名前はインプットされたか?)誰?タニグチっていうの?わかった、今わかったよ。(隣の鈴木秀樹を見ながら)大阪、次鈴木がいくから。NOAHを潰すじゃねえ、沈めにいくから。沈めるから、海の底まで沈めてやるから。泥舟は泥なんだから土に還れ!!以上だ」

谷口はノーコメント。

6、GHCジュニアタッグ選手権試合(60分1本勝負)
<挑戦者組>原田大輔&○タダスケ(10分58秒、片エビ固め)小川良成&鈴木鼓太郎●<王者組>
※アウトキャスト。小川&鼓太郎が6度目の防衛に失敗。原田&タダスケが第37代王者組となる

2月の王座奪取以来、盤石の防衛ロードを続けてきた“スティンガー”の小川良成&鈴木鼓太郎のGHCジュニアタッグ王者組は、両軍リングアウト決着となった10・3後楽園の再戦となるRATEL’Sの原田大輔&タダスケとの防衛戦。

挑戦者組の奇襲で試合が始まるも、すぐに王者組がコンビネーションで反撃に出る。小まめにタッチを凝り返し、タダスケがつかまる。

代わった原田が猛攻。エルボー連打で小川を攻め込む。剣山も読んで食らわず、馬乗りでエルボー連打。ローリング・エルボーはカウント2。5分経過。タダスケも猛攻し「オー!」を連呼。トペ・コンヒーロも決める。

鼓太郎にタダスケのゴリースペシャルと原田のダイビング・フットスタンプの合体技。続いて合体技を狙うが、タダスケのラリアットが原田に誤爆。タダスケが再びつかまる。

王者組の流れるような連係が決まるが、原田が入ってきてそれをストップ。ボディーへのエルボーで2人の動きを止める。鼓太郎に原田のアッパーニーからタダスケのラリアットがヒット。カウント2。

タダスケが鼓太郎をかつぐと小川が入ってきて阻止。小川がチンクラッシャーから延髄斬り。鼓太郎のエンドレスワルツはカウント2。

10分経過。鼓太郎がタダスケにビット(ハンドスプリングエルボー)を狙うと、割って入った原田がキャッチしてタダスケのラリアットと合体のジャーマン・スープレックス。カウント2で返されるとタダスケがアウトキャストを決め、3カウント奪取。

▼バックステージ

小川「もう1回、もう1回だ。もう1回…」

鼓太郎「挑戦名乗り上げれば、(防衛戦が)決まります? じゃあ次の防衛戦の相手はオレらだ」

小川「とにかくもう1回、全然あきらめない。次もスティンガーだ」

タダスケ「(初めてGHCのベルトを取ったが?)めっちゃ長かった。でも、やっときょう報われたぞ。うれしさはさっきリングの上で爆発させたから、今度はチャンピオンとして未来ある話をしていこうか。(原田に)な!」

原田「(タダスケとはずっと大阪時代から一緒にやってきて、男にしたい気持ちがあったのでは?)うれしい。それだけ。(タダスケに)あと言って」

タダスケ「(原田のサポートがあったが?)そうですね。やっぱりこれ、一人のベルトじゃないんで、タッグのベルトやから、まだまだこれからもチャンピオンとして堂々と、誰の挑戦でも受けたるからな。くすぶってるヤツらいるやろ、俺以外に。誰とは言わんけどな、かかってこい。どんどんかかってこい。上から目線でいったらかかってこい」

原田「かかってこい、このヤロー! タダスケと俺の初めてのベルトや、これが。文句あるヤツはいつでも挑戦してこい。な?」

タダスケ「ビール飲む前に景気づけの、やっとこうかな。ちょっとカメラマン下がってもらって。音量が大きいんでね。渾身の力で、いくぞー!オー!オー!オー!オー!!」

7、GHCジュニアヘビー級選手権試合(60分1本勝負)
<王者>○HAYATA(14分11秒、片エビ固め)YO‐HEY●<挑戦者>
※ヘデック。第40代王者が2度目の防衛に成功

 9・16大阪で敗れたYO-HEYの「一生の頼み」で組まれた再戦。

 いきなりドロップキックで先制したYO-HEYがトペ・コンヒーロ。反撃に出たHAYATAのトペをエプロンに上がって「ゲッツ!」と制したYO-HEYだが、HAYATAはセカンドロープ上にもたれさせてのヘデックで脳天からマットに突き刺す。YO-HEYはカウント19でなんとかリングに戻る。

 HAYATAのムーンサルトをかわしたYO-HEYは、エプロン上の攻防でヘッドシザースホイップを決めHAYATAを場外へ転落させる。5分経過。YO-HEYはエプロンから場外への顔面G(ダブルニーアタック)。

 互いを知り尽くした者同士の先の読み合いが繰り広げられ、10分経過。コーナーに上がったYO-HEYにHAYATAが組み付く。コーナー上での延髄斬りをかわしたYO-HEYが顔面G。カウント2。バンブードラゴンフライ(きりもみ式ダイビング・ボディープレス)はHAYATAがかわす。 

 HAYATAはカウンターのラリアットから403インパクト(変形DDT)。カウント2。ヘデックはカウント2。ムーンサルト・プレスはYO-HEYが剣山で迎撃し、首固め。カウント2。

 ハーフダウンのYO-HEYにHAYATAが低空延髄斬り。403インパクトはカウント2で返されるも、ヘデックで3カウントが入った。

 試合後、スティンガーの小川、小峠、リッジウェイがエプロンに上がり、RATEL’SのHAYATA、原田、タダスケとにらみ合った。 

▼バックステージ

YO-HEY「(初戴冠ならずだったが)めっちゃダサいっすよね。ダサい以外何も思いつかんし…うん。一番…うん…なんやろな…。なんの試合でも負けたら意味はない…けど、今回このHAYATAとのタイトルマッチ…しかも前回負けたオイラが、再戦を要求して…自信があるから言うて、それに答えてくれてきょうこの両国国技館で再戦が決まったわけで。それに負けとったら…なんやろな、何よりも、どんな負け方よりも…ダサいな! それだけや、ほんまに。(あとのことはまだ考えられない?)せやね…またやってくれとか、そういうのは今の自分じゃ説得力がゼロ以下やし。だからまぁ、説得力が湧くような、またイチから、いやゼロから…YO-HEYちゃんを再スタートしていきたいっすね。そんな感じっす。(インディーからスタートしたHAYATAとGHCジュニアで両国国技館までこれた感慨はある?)確かに、そうっすね。まぁ、今負けのことで頭にないけど、今試合が終わって落ち着いて物事考えてみたら、うん…道頓堀アリーナ、200人入るかどうかわからへんようなとこ、世界館、アゼリア大正、そういうインディーなところでオレとHAYATAは闘ってきて、何倍? 何十倍や何百倍のお客さんがみてる中で、オレとHAYATAがこういうふうに、NOAHのシングルの頂上決戦っていう場を勝ち取ったっていうのは今後のオレらの大きな自信につながると思うし。頭冷やして、そういう…。改めてそういう気持ちに浸りながら、次回またこういう大きな舞台、いやタイトル戦線にどんどんどんどん食い込んでいけるようにYO-HEYちゃん頑張りますんで、応援よろしくお願いします。ひとつだけいいっすか…(頬の水を指しながら)汗ですから…!」

8、GHCタッグ選手権試合(60分1本勝負)
<王者組>○中嶋勝彦&潮崎豪(17分2秒、体固め)マサ北宮●&稲村愛輝<挑戦者組>
※バーティカルスパイク。第51代王者組が3度目の防衛に成功

 拳王率いる「金剛」の一員である“THE TOUGH”のマサ北宮&稲村愛輝は圧倒的な支持を受けてGHCタッグ王者組の“AXIZ”中嶋勝彦&潮崎豪に挑戦。北宮は中嶋との元健介オフィス対決。稲村は、王座奪取となれば力皇猛さんが2002年2月に打ち立てた記録(1年9カ月)を抜くキャリア1年2カ月でのGHCタッグ史上最速戴冠となる。

 北宮&稲村が奇襲を仕掛けて試合開始。中嶋がミドルキックから稲村をフォールすると北宮がセントーンでカットし会場をどよめかせるが、王者組の攻勢が続き、強烈な合体攻撃を浴びた北宮は場外でダウン。

 稲村のローンバトルが続き、5分経過。北宮は以前、場外で起き上がれず。反撃に出た稲村を潮崎がショートレンジ・ラリアットで黙らせる。続いての豪腕ラリアットは稲村が崩れ落ちてしまいヒットせず。再度の豪腕をかわした稲村がショルダータックルで潮崎を倒し、北宮にタッチ。

 北宮が王者組に猛攻。潮崎のマシンガンチョップを受け止め、DDTを受けてもすくっと起き上がる。再度のDDTもまた起き上がり、ショルダータックル。潮崎が左腕でのショートンレジ・ラリアットでなんとか倒し、10分経過。

 中嶋のフロントキックを仁王立ちで受け止めた北宮がエルボーの打ち合い。延々と続き会場が沸く。稲村が割って入って中嶋にショルダー。そして潮崎にダブルのショルダー。中島への北宮のサイトースープレックスは中嶋が回避。

 潮崎と中嶋が北宮に交互にチョップとキックを打ち込むが、倒れない北宮。ダブルのトラースキックでも倒れない。ロープに振られると2人にまとめてスピア。稲村が潮崎と中嶋を続けてぶちかましで吹っ飛ばす。潮崎を肩車すると、コーナーから北宮が飛ぼうとするが、足を滑らせて失敗。「もう一回」コールで会場が沸く中、再度のトライでダブルインパクトが決まる。

 中嶋に稲村がアバランシュホールド。北宮のパイルドライバーはカウント2。北宮のラリアットを中嶋が腕へのキックで迎撃し、トラースキック3発。大の字の北宮の上体を起こして胸と背中へキックを連打。PKはカウント2。バーティカルスパイク(垂直落下式ブレーンバスター)を狙うと北宮が垂直落下式ブレーンバスターで切り返す。15分経過。北宮のラリアットはカウント2。サイトースープレックスはカウント2で潮崎がカット。

 北宮が中嶋を引き起こし、サイトースープレックスを狙うと中嶋が体を浴びせてつぶす。そして強烈な右ハイキック。レフェリーが北宮の意識を確認。中島が引き起こしてバーティカルスパイク。3カウントが入った。

9、スペシャルシングルマッチ(時間無制限1本勝負)
○グレート・ムタ(12分5秒、体固め)丸藤正道●
※シャイニング・ウィザード

ボディーペイントを施してムタ戦に臨んだ丸藤

カメラで攻撃するムタ

CO2を噴射する丸藤

まさかの展開からシャイニング・ウィザードがヒット

 丸藤正道がデビュー当時からいつか触れてみたいと思っていたというグレート・ムタと初対戦。

 丸藤はボンベを持って入場し、それをリングサイドに置いてリングイン。続いてムタが入場。ガウンを脱いだ丸藤は左半身にボディーペイント。

 グラウンドの攻防から間を取ったムタがグリーンミストを空中に噴射。その後、コーナーにムタを押し込んだ丸藤が頭部にナックルを連打すると、ムタは場外へ転落。リング下をまさぐって何かを探している様子。イスを見つけてリングに持ち込むが、丸藤が奪い振りかざす。ここでムタがレッドミストを噴射。

 場外戦でムタはカメラマンから奪ったカメラで撮影。それで丸藤を殴打し、さらにもう一発狙うとかわされて鉄柱にカメラを打ち付けてしまう。セコンドにも暴行を加えたムタは、放送席の小橋さんとにらみ合いに。

 リングに戻るとフラッシングエルボーからSTF。丸藤はトラースキック連打で反撃に出ると、股の間からのトラースキックから不知火。フォールに入ろうとすると、ムタがグリーンミストを噴射。悶絶する丸藤。

 ムタが場外へ降り、ボンベを発見。それをリングに持ち込むと、レフェリーを振り払って噴射しようとするが、操作方法がわからない様子。背後から丸藤がトラースキック。ムタがドラゴンスクリューを返し、シャイニング・ウィザードを狙うと丸藤がボンベからCO2を噴射。大量に噴射し続け10分経過。

 丸藤が背後からのトラースキックから虎王、トラースキック、虎王と畳みかけ、カウント2。不知火もカウント2。タイガードライバーの体勢になるとムタが振りほどく。丸藤はムタの口を両手で塞いで毒霧を阻止するが、そこで突然、丸藤とムタの間に火花が発生。パニック状態の丸藤にムタがシャイニング・ウィザード。続けて後頭部へ。そして3発目を正面から決め、3カウントが入った。

▼バックステージ

丸藤「上の上の、さらに上を行かれたような。クソーッ。(まさか火が出るとは)毒霧かと思ったんだよ。火を使うのか。勝てなくはないと思ったんだけど、ダメだな。クソーッ。もう会うことはないかもしれないけどな、いいか、借りは返すぞ」

10、GHCナショナル選手権初代王者決定戦(60分1本勝負)
○杉浦貴(21分35秒、体固め)マイケル・エルガン●
※オリンピック予選スラム。杉浦が初代王者となる

長州さんから赤いベルトを受け取った杉浦

 新設されたGHCナショナル王座を懸け、杉浦貴が初参戦のマイケル・エルガンと対戦。

 特別立会人の長州力さんが入場。両選手が握手を交わし、ゴング。序盤はエルガンがエプロンでのデスバレーボムを決めるなど優勢。強烈なエルボーを浴びた杉浦は、さらにパワースラムでたたきつけられて場外へ転落。そこへエルガンはトペ・スイシーダ。リングに戻るとミサイルキックもヒット。腕をグルグル回しての串刺しラリアットからファルコンアローと一気に攻め込む。

 エルガンボムは杉浦が回避し、コーナーバックルへの投げ捨てジャーマン。串刺しニーからコーナーで腰をつくエルガンにエルボーを連打。起き上がったエルガンが杉浦のエルボーを受け止め強烈な一発からコーナーバックルへの投げ捨てジャーマンをお返し。

 10分経過。エルボー連打を受け止めた杉浦が強烈な一発。エルガンがジャーマン2連発。ドラゴン・スープレックスは杉浦がこらえて投げ捨てジャーマン。杉浦コールが起こる。ラリアット相打ちから杉浦のエルボーを受け止めたエルガンがショートレンジ・ラリアットを前後から連打。コーナーへの投げ捨てパワーボム。もう一発は杉浦がウラカンラナで切り返す。カウント2で返されるとアンクルホールドへ。エルガンが脱してクロス・フェースロック。杉浦がアンクルで切り返す。エルガンがロープ。

 15分経過。杉浦が雪崩式ブレーンバスター。ランニングニーを受けたエルガンが起き上がって手招き。杉浦がもう一発。オリンピック予選スラムはエルガンが回避。ショートレンジ・ラリアットで杉浦を倒すと、右ヒジのサポーターを抜き取りラリアット。カウント2。コーナーへの投げ捨てパワーボムからエルガンボム。カウント2。

 エルガンがバーニングハンマーを狙うと、杉浦が着地しフロントネックロック。力づくで振りほどいたエルガンのスライディング・エルボーをかわした杉浦が投げ捨てジャーマン。すぐに起き上がったエルガンがスラインディング・エルボー。両者ダウン。

 ヒザ立ちでエルボーを打ち合い、杉浦が左右の連打。エルガンも返す。バーニングハンマー狙いを回避した杉浦がオリンピック予選スラム。カウント2。20分経過。エルボーを連打されながら起き上がったエルガン。片手をつないだ状態での打ち合いから杉浦がジャーマン。カウント1。杉浦がスライディング・エルボー。カウント2。オリンピック予選スラムで3カウントが入った。 

 試合後、立会人の長州さんから無差別級の赤いベルトを受け取った杉浦はエルガンとハグし、手を上げて称えた。

▼バックステージ

杉浦「かっこいいね、最高だよ。(すさまじい勝負だったが)まあ、このぐらいいくと思ってたから。けどタフだよね。(いま歩いて帰ってきたのに驚いたが)それはテンションが上がってるからね。エルボーで頭クラクラしてるし、きついよ。(名勝負になる予感がしたが)どうだった?(そう思いました)じゃあよかったよ、やったかいがあるよ。(エルガンはいろいろなプロレスラーを研究している印象だが)それは感じた。日本のプロレスをよく理解しているし、スピリット…日本人の精神だと思うよ。(もう一回やれと言われたら?)異論はないでしょ。何度でもこのベルト懸けて彼とやれば、もっともっと上のステージにいけると思うんで。機会があれば。逆にきょうの俺とエルガンの試合に嫉妬して、誰かが出てこないとナショナルの意味がないんで。黙っているヤツなんかいいよ。(このあとにメインがあるが、負けないような凄味を見せた?)それはわからないよ、(メインを)やってみないと。わからないけど、プレッシャーはかけといた。でもメインイベンターだからね。プレッシャーはねのけて、最後締めてもらわないと困るからね。(初代王者だが、ベルトについて)いやあ、嬉しいよ。しかもあの長州力さんに『オマエ頑張ってたよ』と言われたんでね。(今後に向け一つ道を見つけた?)そうだね。このベルトの価値を高めていくことが、もう一つのベルトを巻いているチャンピオンにプレッシャーをかける。(来年20周年だがまだまだ突っ走る?)そうだね、団体も俺もちょうど(20周年)。(今後の活動のテーマは)ナショナルな活動? 日の丸が嬉しいよ、俺も一応日の丸の下で働いてたんで」

エルガン「とにかく負けるのが嫌だ。絶対に負けたくないけれども、今日にかぎっては今日対戦した杉浦選手っていうのは本物の戦士だった。それこそが自分の求めていた闘い。それをすることができて、それで今日勝ったのが杉浦選手。戦士っていうのはお互いに誰が勝ってもおかしくない状況にあると思うから、今日は勝ちを譲った形になったけど必ず遅かれ早かれ追いつく。そして追い越してやる」

今大会の詳報は11月6日(水)発売の「週刊プロレス11月20日&27日合併号」(No.2038/518円+税)、および同日に発売される、小橋建太さん引退試合以来6年半ぶりのNOAH大会の増刊号となる「NOAH11・2両国国技館大会詳報号」(週刊プロレス11月30日増刊号/No.2039/727円+税)に掲載。

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週刊プロレス 11月13日号
WEEKLY PRO-WRESTLING No.2037

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