close

2019-06-27

”革命戦士“長州力引退 「家族のもとへ」

長州力プロデュース興業「POWER HALL 2019」★2019年6月26日(水)
東京・後楽園ホール 観衆=1797人(超満員札止め)

 1974年8月8日、新日本・日大講堂大会でのエル・グレコ戦でのデビューから45年、“革命戦士”長州力(本名・吉田光雄)67歳が自身のプロデュース興行にて引退した。

 山口県周南市出身の長州は専修大時代の72年にミュンヘン五輪にレスリング韓国代表として出場。新日本でのデビュー後、83年からフリー、84年からはジャパンプロレスに所属し、87年から再び新日本に所属し、98年の1・4東京ドームで一時引退。その後2000年に大仁田厚の挑発に乗る形で復帰し03年3月にWJを旗揚げ。04年に活動停止となって以降はフリーとして活動してきた。

 昨年の7・10後楽園でのプロデュース興行で「ナメた考えでこのままやってたら、自分自身に何かが起きるっていうことを考えちゃうんですよね。でも、上がったこともないところからオファーが来ると、動けてるうちは上がってあげようかって。そのためにまた1カ月近く、2カ月ってトレーニングするのがしんどくなってきてるんですよ。もう十分ですよ。健康な状態を半分ぐらい残しておかないと。来年は少しのオファーが残ってる。それが終わったら、もう靴は脱ごうと思ってますね。なんかもう本当に怖いんですよ。怖いし、体がそんなに調子よくもないし」と引退を表明。今大会のチケットはカード発表前に完売。会場は開始前からすし詰め状態で、記者席を設けるスペースもない超満員になった。

 対戦相手には1982年10月の「噛ませ犬発言」以来、永遠のライバルとして“名勝負数え唄”を繰り広げてきた藤波。対戦はドラディション4・21大阪大会以来。武藤は新日本時代に長州のすぐ下の世代としてファイト。長州は17年より武藤がプロデュースしているプロレスリング・マスターズに常連として上がっており、対戦は2017年のドラディション4・20後楽園の藤波45周年で6人タッグで対戦して以来。この試合が両ヒザ人工関節置換術からの1年3カ月ぶりの国内復帰戦となる(ムタとしては4・6ニューヨークで復帰済み)。真壁は97年のデビュー間もない頃から長州の付き人を務め、キャリア4年で長州と組みIWGPタッグにも挑戦。12年の新日本3・11浜松の10人タッグで同じコーナーに立ったが、対戦は10年1・29白河でのタッグマッチ以来9年半ぶりとなる。

 試合前、ゲスト解説として天龍源一郎さんが『サンダーストーム』に乗って登場。実況は辻よしなりアナウンサー。放送席の音声が会場に流れる。天龍さんは「リングサイドで彼の最後をとくと拝見させていただきます」とコメント。金沢克彦さんによると長州と天龍さんの戦績は全8戦で天龍さんの5勝3敗とのこと。全国27の映画館でもパブリックビューイングを実施中で、天龍さんは「楽しんでくれよ、プロレスを!」とメッセージ。 

 新日本のタイガー服部レフェリーが試合を裁く。アオリ映像に続いて、田中ケロリングアナが「45年、ここに迎えし闘い収め、そして新たな旅立ち、午後8時26分、その、時が来た!」の前口上で出場選手を呼び込む。

出場選手を呼び込む田中ケロリングアナ

 まずは復帰戦の武藤が大武藤コールの中『ホールドアウト』に乗って入場。続いて越中が大越中コールに乗って入場。真壁、石井に続き、藤波がドラゴンコールの中、LEONAに先導されて入場。「心に刻め、ファイナル・パワーホール。長州力入場!」のコールに続き、長州が大長州コールの中、リングイン。長州に花束贈呈。記念撮影。

 田中ケロリングアナが「多くの心をつかみ走り続けたプロレス、2019626、白いリングシューズを脱ぐとき。さあ、見納めだ! 45年間のメインイベント、60分1本勝負をおこないます!」の前口上から全選手をコール。最後に長州の名がコールされると大歓声が起こる。続いて大長州コール。

 長州と藤波が先発に出ると会場が沸き、午後8時34分、ゴング。ロックアップで長州が押し込み、離れ際に攻撃。藤波のトーキックをキャッチした長州がドラゴンスクリューからサソリ固め狙い。藤波がロープ。

サソリ固めの形に入る長州

 代わった武藤がロープにもたれてバウンドしてみせると、武藤コール。長州が首投げからスリーパー。武藤がロープ。長州が石井にタッチすると武藤は場外へ。戻ってくると石井が逆水平チョップ連打。ヘッドロック。武藤がロープに振ると石井がショルダーで倒す。武藤がアームドラッグからフラッシングエルボー狙い。これを石井がかわし、ブーイング。石井がブレーンバスター。

 真壁対越中。会場は越中コール。チョップの打ち合いからロープに振られた越中がショルダータックル。真壁のショルダーを受け止めた越中がヒップアタックを狙うが、かわした真壁がラリアット。会場はブーイング。真壁がブレーンバスターを狙うと、投げ返した越中がヒップアタックからヒップバット連打。

 代わった長州が、越中がロープに振った真壁にバックエルボー。石井が入ってきて長州とともに真壁のヒザをマットにたたきつける。5分経過。長州が越中にタッチ。越中が真壁にフェースロック。代わった石井が越中とダブルのショルダータックル。起き上がった真壁が石井にエルボー。打ち合いが延々と続き、拍手が起こる。劣勢の石井だが、相手コーナーの武藤と藤波に突進。 

 タッチした藤波が石井をロープに振ってスリーパー。代わった武藤が石井にフラッシングエルボー。STFは越中がヒップバットでカット。武藤が石井にヘッドロックを決めると石井がバックドロップで切り返す。石井が武藤の低空ドロップキックをかわすが、武藤はドラゴンスクリューから足4の字固め。長州がカット。

 武藤のタッチを受けた真壁が、コーナーで石井にエルボー連打。「オラ来いてめえ!」と吠える。石井が打たれながら体を起こし、にらみつける。そしてエルボー連打。それでも真壁がエルボーでダウンさせる。真壁が串刺しラリアットからコーナーに立ちナックル連打。「はははー!」と笑ってからノーザンライト・スープレックス・ホールド。カウント2。

 10分経過。真壁のジャーマンを石井がこらえ、逆水平連打。真壁がエルボーを返し、打ち合い。走り込む真壁に石井がエルボー。石井が走り込むと真壁がパワースラム。起き上がった石井が真壁のラリアットを受け止め、カマイタチ(腕へのラリアット)から投げ捨てジャーマン。すぐに起きた真壁がラリアット。受け止めた石井がヘッドバット。真壁のケサ切りチョップを受け止めゴツンとヘッドバット。

 長州がコーナーに上がり、石井とハイジャックパイルドライバー。越中がヒップアタックからパワーボム。カウント2で藤波と武藤がカット。場外で石井が真壁をとらえ、そこへ越中がエプロンからヒップアタック。リングに戻った越中が真壁に河津落とし。カウント2。

石井とハイジャックパイルドライバーを決める長州

 タッチを受けた長州が大の字の真壁に何やら声をかけ、ストンピング。ヒザ立ちに起き上がった真壁が手招き。長州がストンピング。立ち上がった真壁にラリアット。そしてサソリ固め。石井と越中が相手コーナーに突進しカットを阻止。耐える真壁。会場は真壁コール。武藤は場外から真壁にチェーンを投げ渡す。藤波がカットし、長州に張り手。

 長州のラリアットを真壁が仁王立ちで受け止める。長州がもう一発狙い、相打ちで両者ダウン。武藤が入ってきて長州にシャイニング・ウィザード。石井にドラゴンスクリュー。藤波も越中にドラゴンスクリューから足4の字。真壁が長州にラリアット。カウント2。引き起こしてボディースラムからコーナーへ。キングコングニードロップがヒット。カウント2。真壁が再度ボディースラムからコーナーへ。キングコングニードロップはカウント1。地鳴りが起こる。大長州コール。

真壁のキングコングニードロップを受ける長州

 真壁が3発目のキングコングニードロップ。3カウントが入ったと見えたが服部レフェリーはカウント2で返したと判定。真壁が4発目のキングコングニードロップ。3カウントが入った。

 長州が選手たち、そして服部レフェリーと握手。10カウントゴングがおこなわれないことがアナウンスされ、長州の親友であるという篠崎稔さん(篠崎デンタルクリニック院長)がリングに上がり、友情のコール。

篠崎さん「長州さん、45年間お疲れ様でした! ファイナルコールさせていただきます! よろしくお願いします! 赤コーナー、184センチ、120キロ、長州~力~!」

 パワーホールが流れ、会場は長州コール。長州がマイク。

長州「どうも。長い間、45年間、プロレスファンの皆さんに応援されながら、ここまでくることができました。私にとってプロレスはなんだったのかなと振り返りますと、すべてが、勝っても負けても、私自身はイーブンです。ホントにイーブンでした。ただ、今から一つだけお願いがあります。どうしても、勝てない人間がいました。それは、今日、うん、見に来てくれた、家内の英子です。ぜひ最後に彼女をこのリングに上げてやりたいと思います。どういうかわからないですが、もし本人が上がるんだったら。(リングサイドにやってきた妻に)ははは!」

長州にキスをする英子夫人

 リングインした奥さんが長州とハグ。そして奥さんがキス。

長州「もう私はここまでです。もう止まります。今からUターンして家族のもとに帰ります。そして、あと一つ、来てるようでしたら、馳! たぶん驚いてると思います(笑)。ボクが馳の名前を出すのは。ああ、いたか(笑)。いたか(笑)」

 馳浩がリングへ。会場は馳コール。

弟子にあたる馳浩衆院議員(左)と長州(右)

長州「いま大変忙しい中、まさか来るとは思ってませんでした。せっかく後輩の中で、いま彼らが非常に偉くなって。どうも、今日はありがとう。一言。何かあったら」

馳「ボクも長州さんにあこがれて専修大学に行き、プロレスラーになりました。長州さん、本当に今までありがとうございました!」

 馳が退場。

長州「どうも本当にありがとうございました! これからもこのような雰囲気で、これからリングに上がる若い選手たちを皆さんの声援でリングに押し上げてあげてください。この会場の雰囲気を作るのは、選手ではなくて、皆さんの熱い声援なので。よろしくお願いします。本当に長い間ありがとうございました」

『パワーホール』の中、長州が退場するとビジョンで、以下の長州からのメッセージ文が懐かしい写真とともに流された。

「長い間、今日この日まで応援をいただきまして本当にありがとうございました。私自身もまさかここまでやるとは……長くいすぎました。いろんなこともありましたが、全てを持ってリングを降ります。この世界では勝っても負けて振り返ればすべてイーブンでした。これからは家族の元に帰ります。元気なうちに家族で少しは思い出を作ろうと思います。7月には孫も生まれます。男の子らしいです。とても幸せです。これからは孫の人生の師匠になりたいと思います。最後にもう一度ファンの皆様、今まで熱いご声援でリングへ背中を押していただきありがとうございます。感謝致します。長州力」

「最大、気持ちの中で残っているのは猪木会長のこと」(長州)

45年間のレスラー人生に別れを告げた長州

▼バックステージ
長州「(いまの心境は?)心境? 疲れましたよね。最後が宮古ですからね、1ヶ月前だから。空回りしてますよね。その分、越中、智宏助けてもらった。ウン。いいですか? そんなとこです。はい。(奥様に対しては?)これが最後だと思えば…。やっぱりいろいろ迷惑かけたし、苦労も心配もさせてるし。まあこうやって元気に何事もなく(リングから)降りてくることできたし。(これからの目標は?)まだなにも考えてないです。まあ正直言って、自分のできることをやっていかなきゃならないわけですから。ゆっくり考えますよ。いいですか? もう。

(真壁に最後3カウント取られたが)そうですね。途中から仕返ししてやろうかなと思ったんだけど…やっぱり違いますよ。みんな、ウン、成長してますよ…ウン。(最後に聞いた3カウントの感想は?)別に、ああ、これで終わりですね、っていう。終わりだなあって感じで。そんな…あの、滅入ったような感じにはならないですよ。

まあねひとつ…ひとつだけ。きょうは源ちゃんも来てくれて、ウン。ほんとに源ちゃんの前で“ああ、やっぱり長州ももうここまでだな”って思われたくなくて頑張ってはみたんだけど。

やっぱり、ウン。一番、最大、気持ちの中で残っているのは会長である猪木会長のことがやっぱり、ウン。この6月26日という日にちが決まってから、常に毎日1回は猪木会長の顔、名前っていうのが頭の中に浮かびますね。やっぱり…ウン、45年間ここまで成長できたのはまあ自分自身、猪木会長のとてつもない…猪木会長との違いはあるんですけど…リングの中でずっとあの方を見てきて。プロレスというものがわかってきて“ああ大変だなこれは”っていうのはやっぱり常に感じてここまでやってきてますね。でもそれでもとてもではないが、リングの中のアントニオ猪木に近づくっていうのはとてつもなく大変なことなんだなっていう。これは本当にもう終わった時点の中で、この業界でファンの皆さんに支えられながらやってこれたのも、ひとえにあの人がいて自分なりの感じ方で自分というものは、プロレスっていうのはこういうもんだよって。いつまでやるかわかんないけど、ウン。あの人は教えることはしないですけど。

やっぱりリングサイドの我々には、ここにいる古い記者の人たちはたぶん知ってるとおり、やっぱり猪木会長の場合は、あの方が会場の雰囲気を作るというか…ファンの人たちがそれを後押しするわけじゃないけど。やっぱりすごいなっというのは。それは、その時代マスコミは馬場さんと比べたでしょうけど。馬場さんも素晴らしい方でした。温厚で、ウン。でも自分が選んだのはプロレスの世界ですから。どっちかというと、自分の性分からすれば猪木会長のリングの中の、リング降りてからの猪木さんの姿勢。本当にこの人プロレス24時間考えてやってるっいうのを感じてましたよね。まあ到底及ばないですけど。プロレスに大事なものっていうのは自分なりに自分なりにこう…考えながらあのリングの中に映し出してきたんじゃないかなあと思ってるんですけど。どうなんですかねえ。やっぱり答えがないですから。でもその時代の猪木さんが会場の中の雰囲気を1人でつくって、ファンをこう引き寄せてましたよね。ボクなんか現場もやりましたけど、なかなかそこまではできなかったですね。やっぱりすごい方ですよ。はい、そういうことです。もう何もなかったら。

(藤波とも最後の対決になったが)そうですね。藤波さんもきょうはちょこっと触らせていただいたんですけど。藤波さんもやっぱりどっちかというと、ずっと会長についてた人ですから。まあ、その…表現の仕方は別にして彼もそうなんじゃないかなと思いますよね。これはボクもちょっとわかんないところですけど。でも、悩みましたよ。猪木さんを呼ぶっていう。猪木さんを呼んで雰囲気づくりをしてもらおうかなっていう部分もありましたけど。まあ、ここは自分の最後の集大成としてどういう状況になるのかなって…でも熱い声援で。ファンの声援で押し出してもらって感謝してますよ。はい、以上です。ボクは。どうもありがとうございました」

「またゆっくりしたら飯でも食いに行きましょう」(越中)

越中「(試合の感想は)一生懸命やりました。本当に長い間プロレス人生ご苦労様でしたってことです。またゆっくりしたら飯でも食いに行きましょう」

「いつでも闘えるように準備しておかないと」(藤波)
「長州さんは引退されたけど、オレきょうがスタートだからね?」(武藤)

バッグステージで長州力引退試合の感想を述べる藤波辰爾(左)、武藤敬司(右)

武藤「藤波さん、10カウントしてなかったですね?」

藤波「ってことは?」

武藤「また復帰するんじゃないですか?」

藤波「オレもそう思った」

武藤「引退って10カウントですよね? プロレスラーみんなそうっすよね?」

藤波「10月オレ、ドラディション入るから」

武藤「あ、じゃあそこで復帰させましょう!」

藤波「そうだね。そう。そういえば10カウントなかったね」

武藤「10カウントないもん。普通引退って言ったら10カウントですよ」

藤波「あるよね? なんか狙いあんな」

武藤「ハハハ。ってことで…」

藤波「(感きわまるものがあったのでは?)いや、まだまだこれからでしょう。彼自身まだ、気持ちは燃えてますからね。いつでも闘えるように準備しておかないと。(見送る立場になったが)オレ誰が見送ってくれるの?」

武藤「オレも見送りますよ。(長州に関しては?)試合見てて元気なのに引退されるのもったいないなって率直に思ったけど、引退したから逆にプライベートでもっと近く遊ぶこともできるんじゃないかなって、ちょっとした期待もありますけど。(先輩がどんどん引退していくが)そうっすね…きょう長州さん引退されたけど、オレきょうがスタートだからね? 久しぶりの試合で家でそのパッケージ? 仕事道具パッケージするだけで息上がっちゃったからね。大変だったすよ。やっぱりいくら練習してもリングの上でこうちょっと動くと息の上がり方が全然違うからね。まだ逆にいったら、きょうがスタートで。オレ自身まだ伸びしろすっごいあるってことだから。生涯とおしてこの伸びしろ埋めていく作業をしますよ」

「あえて返すところによ、長州力のカッコいいところがあるんだよ」(真壁)

勝利した藤波(左)、真壁(中央)、武藤(右)

真壁「(3カウントを奪った気持ちは)気持ち? 当然だと思ってるよ、オレの中では。そりゃそうだろ。年代から考えてもそうだし、敵として(3カウント)取らないと意味ねえだろ。武藤さん、藤波さんももちろん出てるよ? 大先輩出てるけど、そこでオレが取らなきゃ意味がねえだろってオレは思うんだよ」

武藤「そこでオレ、オマエに託してよお。捨て身で託して、外に出てからそっから長かったなあ? オマエ。オレ息上がっちゃった、長すぎて(笑)」

真壁「たまにはそういうことがあるっていうことで…ええ、ご勘弁、ご容赦をお願いしたいなと思うんですけれども。なんでオレ怒られてんだ? オイ。違うだろ? オレ勝ったんだからな?」

武藤「よし、ご苦労さん(藤波、武藤去る)」

真壁「(長州の最後のリングに上がった感想は)本当の意味で感慨深かったのは前に長州さんがバリバリのときに、引退したときだよね。オレは東京ドーム出たかった。すげえ出たかった。だけどやっぱり、ほら、オレも全然ペーペーだし、実力もなにもないからさ、はぶかれたわけで。でも今回こうやって選ばれたわけで。まあ当然だろうなって。長州さんの中で1番関係のあるのはもちろんオレであり、石井であり。実力もそういうことでしょ。アイツは(NEVER無差別級の)チャンピオンベルト持ってきたし。オレも(NEVER無差別級6人タッグの)チャンピオンだし。実績だっていうことない。っていうことなんだよ、結局。あの人のところから巣立っていった人間がどれだけの実力示して、プロレス界で幅きかせてるか、それがすべての答えだと思ってるよ。

(4発のダイビングニーに関しては)うん。執念をすげえ感じたよね。長州力って…わかんねえよ? 返したところでラリアットなんてオレにはききやしねえ。わかってる。けどあの人は返すだろ? 1発返す、2発返す、3発返す。だってオレのキングコングニーなんて(今まで)1発で全部決まってるんだぜ。4発も5発もなんて出したことねえ。それでも返してくる、執念感じたよ。うん、でもあの執念っていうのはプロレス界で本当のレジェンドじゃないとあそこまで出せねえと思うんだ。なぜかってハートだよな。やられたって、そのあとなにが残ってるよ? オレの顔面ぶん殴ってラリアットかまされて、ぶん殴ってもう1回食らうんだぜ? そんなもん痛いのわかってる。予想なんて軽くできる。その中であえて返すところによ、長州力のカッコいいところがあるんだよ。

ただでやられねえぞ、っていうあのカッコよさ。オレもそうだし、石井もそうだし、今現役の巣立った選手たちもいるよな、長州力に憧れてこの世界入って。でもやっぱり長州力の本当にファイナルだと思うよ、きょう。これで復活したらぶん殴ってやろうと思うよ。(笑)だけどそれだけあの人の実績、功績はすげえと思うよ。オレ今だから話してやるよ。長州力の入場テーマ、オレさ、付き人で『POWER HALL』流れた瞬間痺れたからな。ゾクゾクって。やっぱあの感覚って、付き人でさえ震え上がらせる感覚? 四六時中一緒にいる先輩だぜ? あれってやっぱりその人が持ってるものだと思うんだよ。だからなんかあの人の下について若手時代過ごして“プロレスとはなんなのか”、“プロレスラーとはなんたることか”を最初から全部教わったからさ。だからよかったんじゃない? 最初に長州力について。怒鳴られまくってさ。面白おかしいこともあるしさ。

(照明が消える)おい、切ったな? オイ。切ったなコラア。いや、キレちゃいないよ。でもこれが全部繋がっちゃう。そういうこと。まあだから、プロレスラーみんなにもそうだし、一般のファンの方にもすごい夢を与えたレスラーの1人で間違いないよね。いいんじゃない、それで。だからこそオレ一番そばにいるから首かっ切ってやろうと思ったからね。よくもオレの名前あげたなって思ったよ。もちろん石井もそうだと思う。最前線だからな、新日本プロレスの。チャンピオンベルト持ってるってことは最前線だから。そのメンツを自分のタッグの中に入れたっていうことはどうなるかわかってるってことだから。それはやっぱりあっぱれだよね。だからオレの憧れた長州力でよかったなと思うよ、最後は。

なんてうまくまとめちゃったけどどう思う? まだなんか物足りない? でも最高だったよね。ファンの人たちがどう思うかわからない。だけどオレ的には最高だよな。かつての憧れの人間だった、長州力と同じリングで対峙して、メモリアル最後の試合を飾るんだから…言うことないよ。プロレス冥利につきるというか。最高なんじゃ…(消えていた照明がつく)ついたねえ。いいこというとつくんだねえ、これ。どう? ありがとうございました」

今大会の詳細は7月3日(水)発売の「週刊プロレス7月17日号(No.2019)」に掲載。

週刊プロレスmobile(月額324円)ではプロレス界の最新ニュースや大会リポート、バックステージコメントなどを完全網羅!

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事