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2024-10-28

【しゅりんぷ池田のカード春秋】プロ野球90周年カード(第1回)「怪童」と「神様、仏様、稲尾様」

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この夏かかりきりになって編集に取り組んだ「プロ野球90周年カード」が発売となりました。今回のカードの中で個人的に気に入っているのがインサートカードの「ニックネーム・キャッチフレーズ」です。プロ野球90年の歴史を彩った名選手たちを網羅的に並べたのが「レギュラー」108種になりますが、切り口を変えて、プロ野球ファンに親しまれてきたニックネームやキャッチフレーズを12種選んでみた次第。

例えば中西太のニックネーム「怪童」。これは51年夏の甲子園でランニング本塁打を2本放った高松一高の中西の打球の鋭さに驚いた「学生野球の父」飛田穂洲(早大野球部初代監督)が命名したとされます。「怪童」とは、怪力のある子供という意味ですが、中西は90歳で亡くなるまで「怪童」と呼ばれ続けたのですから、よく考えたらおかしな話です。それだけインパクトがあって中西にふさわしいニックネームだったということでしょうか。

NC01 怪童:中西 太(西鉄)
NC01 怪童:中西 太(西鉄)

その中西とともに西鉄の黄金時代を築いた稲尾和久の58年の日本シリーズでの健闘を称えた「神様、仏様、稲尾様」というキャッチフレーズも有名ですね。現在も1人の選手の大活躍で偉業がなされた際に「神様、仏様、〇〇様」と呼ばれたりします。85年にランディ・バースの大活躍で阪神の優勝・日本一が成った際にも「神様、仏様、バース様」と呼ばれたものです。

NC02 神様、仏様、稲尾様:稲尾和久(西鉄)
NC02 神様、仏様、稲尾様:稲尾和久(西鉄)

58年、巨人との日本シリーズは西鉄が初戦から3連敗を喫して追い込まれたのですが、第4戦から稲尾が4連投4連勝(第5戦では稲尾自身がサヨナラホームランを放って決着!)で大逆転の日本一を飾った際に地元新聞に「神様、仏様、稲尾様」の見出しが踊ったとwikipediaには載っているのですが、当の西日本スポーツが検証記事を出してこれを否定しています。(プロ野球に降臨した神々 ネットで語られてきた「神様、仏様、稲尾様」に新説

この記事によると58年の日本一時ではなくその前年に稲尾が20連勝した際にすでに「神様、仏様」と称えられていたそうなのです。なんでも「神様、仏様、〇〇様」という呼び方は戦国~江戸初期の大名・伊奈忠次が善政を敷いて農民たちから「神様、仏様、伊奈様」と慕われていたのがオリジナルだそうなのです。


当コラムは、これまで「週刊ベースボール」の「Curutural Review」のページに掲載されていたカードのコラムを転載していたのですが、2001年春から続いていたこの連載が先日の4月1日号をもって終了しました。今後、当コラム「カード春秋」(※)はBBMカードサイトのオリジナルコラムとして続けていこうと考えておりますので、よろしくお願い致します。

※「カード春秋」というタイトルは、わたしの出身校・香川県立高松高校(旧制・高松中)の大先輩にして、文藝春秋社の創設者である菊池寛先生へのオマージュなのです。

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