東京世界陸上の代表選考レースを兼ねた第73回別府大分毎日マラソン大会が2日、大分市のジェイリーススタジアムをフィニッシュ地点とするコースで行われ、男子は若林宏樹(青学大4年)が日本歴代7位、日本学生新記録、初マラソン日本最高、大会新記録となる2時間06分07秒で日本人トップの2位に入った。優勝はビンセント・キプチュンバ(ケニア)で、大会新記録の2時間06分01秒でフィニッシュした。
白石と若林■箱根を沸かせた青学大、国学院大の3人が学生歴代10傑入り雨上がりで風の影響も少ない好条件。ペースメーカーが外れる30km地点で、先頭集団は9人だった。そのうち4人が大学生。箱根を沸かせた青学大の若林、白石光星(4年)と、出雲駅伝および全日本大学駅伝と二冠を獲得した国学院大の平林清澄(4年)、高山豪起がその中にいた。
「勝負どころで攻めて、日本人トップを取り、世界陸上の代表を取りに行くつもりだった」という平林が、30kmを過ぎて先頭に立った。平林は昨年2月の大阪マラソンで当時の初マラソン日本最高記録となる2時間06分18秒をマークして、東京世界選手権の参加標準記録(2時間06分30秒)を突破した。その世界選手権選考レースに指定された今大会は、優勝もしくは日本人トップという結果でアピールしたかった。
30km過ぎで先頭に立った平林35.5km付近でレースが大きく動いた。2時間04分28秒の自己記録を持つキプチュンバが上りでスピードアップすると、若林だけが反応し、平林と大塚祥平(九電工)が遅れをとった。
そこからはキプチュンバと若林の優勝争いが繰り広げられ、キプチュンバが2時間06分01秒、若林が2時間06分07秒、粘りを見せた大塚が2時間06分38秒と3人が大会記録を更新する2時間6分台をマークした。
キプチュンバと若林が優勝を争ったそして6、7位でジェイリーススタジアムに入ってきたのが、青学大の白石と国学院大で初マラソンの高山だった。白石は学生歴代7位となる2時間08分42秒、高山は同8位の2時間08分50秒でフィニッシュ。白石は「優勝を狙っていたので残念ですが、青学の先輩方と肩を並べる記録を出せて自信になった」と胸を張った。また終盤に“攻め”の姿勢を見せた平林も2時間09分13秒でフィニッシュして、2度目のサブテンとなった。
2度目のマラソンで大きく自己記録を更新した白石。卒業後は住友電工へ第101回箱根駅伝戦績と別府大分毎日マラソンタイム若林宏樹 5区1位 2時間06分07秒=日本歴代7位、学生新
白石光星 7区9位 2時間08分42秒=学生歴代7位
高山豪起 5区14位 2時間08分50秒=学生歴代8位
平林清澄 2区8位 2時間09分13秒
このレースだけで3人がマラソンの学生歴代10位以内となる好記録。歴代10傑は、2003年3月のびわ湖毎日マラソンで、中大の藤原正和(現・中大監督)がマークした2時間08分12秒を除き、すべて2019年以降にマークされたものだ。
日本陸連強化委員会の高岡寿成シニアディレクター(SD)は、「学生がマラソンに挑戦することは、マラソン界にとって良いこと」と話し、若林については「彼自身が積み上げてきた努力やレースへの集中力の集大成。センスがないと走れないタイム」と評価した。また平林についても「ペースメーカーが外れた後の駆け引きは、彼のマラソンに懸ける思いを感じ、その積極性で良い流れをつくってくれた」と話した。
青学大卒業後は日本生命に入社することが決まっている若林。東京世界選手権の参加標準記録を突破したが、レース後の会見でも「ラストレースと決めた結果が、たとえ世界と戦える結果であっても、区切りをつけると決めていたので、それはブレないと思う」とこの時点ではきっぱり。
東京世界選手権の男子マラソン日本代表選考レースは、今月24日の大阪マラソン、来月2日の東京マラソンと残り2レースが指定されている。
箱根で5区を走った高山が2時間08分50秒