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2025-02-09

【NFL】第59回スーパーボウル超直前予想 チーフス3連覇を阻むカギを握るのはイーグルスQBハーツ

NFCを制した後、FOXレポーターのテリー・ブラッドショーからインタビューされるQBハーツ。ブラッドショーもスーパーボウル4勝のレジェンドQB=photo by Getty Images

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アメリカンフットボールの世界最高峰、米プロフットボール・NFLの王者を決める第59回スーパーボウルは、現地2月9日(日本時間10日)にルイジアナ州ニューオーリンズでキックオフとなる。

今年は、フィラデルフィア・イーグルス対カンザスシティー・チーフスの顔合わせ。AFCのチーフスは3年連続7回目、NFCのイーグルスは2年ぶり5回目のスーパーボウル進出となった。

チーフスは前人未到のスーパーボウル3連覇を目指す。一方のイーグルスは7年ぶり2回目の制覇を狙う。両チームは2年前の第57回スーパーボウルでも対戦し、チーフスが38-35で勝利している。

マホームズ対ハーツは史上4度目のQBリマッチ


繰り返しになるが、今回のスーパーボウルの最大の焦点は、チーフスが3連覇できるかどうかだ。そんな中で、注目したいのは、パトリック・マホームズ(チーフス)とジェイレン・ハーツ(イーグルス)という両チームのQBだ。


2人は2年前にも対戦していて、今回が再戦となるが、過去58回のスーパーボウルの歴史の中で、  同じ2人のQBが2回戦った「QBリマッチ」は、過去3度(計6試合)しかなく、今回が4度目ということになる。  

過去の3度のQBリマッチの顔ぶれは次の通り。

テリー・ブラッドショー(スティーラーズ)VS ロジャー・ストーバック(カウボーイズ) 
=第10回、第13回


トロイ・エイクマン(カウボーイズ) VS ジム・ケリー(ビルズ) 
=第27回、第28回

イーライ・マニング(ジャイアンツ)VS トム・ブレイディ(ペイトリオッツ)
=第42回、第46回

過去の6人のQBは全員が既に殿堂入りか、もしくは非常にその可能性が高いQBということになる。 

今回の2人のうち、マホームズはスーパーボウル4回出場して3勝。今後、よほどの特殊な事態が生じない限り、殿堂入りは100%確実だろう。

問題はジェイレン・ハーツ。彼が、偉大なる先輩やマホームズに比肩されるような、真に歴史に名を残すQBなのか。それが試されるスーパーボウルということになる。

2024年シーズンのイーグルスは、強い。ディフェンスは失点がリーグ2位、喪失ヤード1位。オフェンスも得点7位、獲得ヤード8位。そういったスタッツ以上の実力、例えるならごろんと転がった自然石のような強さを感じることがある。

Week4まで2勝2敗だったが、バイウィーク明け以降、プレーオフも含めても含めて15勝1敗。ラムズやレイブンズというプレーオフチームにしっかり勝ち切り、地区内ライバルのカウボーイズには2試合とも大勝。終盤にかけ、ハーツが脳震盪で欠場するアクシデントもあったが、それを乗り越えた。
NFCチャンピオンシップでも、3本のランTDを決めたイーグルスQBハーツ=Photo by Getty Images

パス15TDラン16TDでINT1本でも、パスが稚拙と揶揄され

しかし、今のNFLはパス偏重、というよりはパス至上主義。自然とイーグルスの評価は下がる。実際、イーグルスのパス獲得ヤードはリーグ29位で、パスアテンプト数は最下位の32位だ。

何よりも、未だに、QBハーツのパスが稚拙だというのが、延々と話題になる。12月のパンサーズ戦ではパス108ヤードだった。プレーオフ初戦のパッカーズ戦では、パスレシーブわずか10ヤードに終わったエースWRのA.J.ブラウンが、サイドラインでストレスを抑えるために自己啓発本を読んで大きな話題となった。

かってハーツがNFL入りする前には「QBは無理だからWRに転向しろ」と語っていた、ESPNのコメンテーター、スティーブン・A・スミス(専門はバスケットボール)が、相変わらず「ハーツのパスには、不安が残る」と、番組内で公言しているほどだ。

しかし、上記バイウィーク以降のハーツは、ポストシーズン3試合も含めた出場14試合でパス15TD(タッチダウン)、INT(インターセプト)はわずか1本。しかもこの間にランでは16TDを記録している。文句を付けられる筋合いはない。

ハーツに不安があるとすれば、パスよりも、ファンブルの多さだろう。通算45回で、今季のレギュラーシーズンも9回。うちロスト5回。インターセプトと同数だ。

前回のスーパーボウルでも、ファンブルロストから、チーフスLBニック・ボルトンにリターンTDを許している。

今のイーグルスは、攻守のラインに巌のようなナチュラルな強さがある。怪我で心配されたOLランドン・ディッカーソン、キャム・ジャーゲンスも出場に支障はなさそうだ。

さらにディフェンス全体がアグレッシブ。2年連続で全米王者となったジョージア大から入団したディフェンスの選手たちが、育ちつつある。QBハーツは勝負強さだけでなく、リーダーシップも図抜けている。

ハーツにとって大切なのは、パスの巧拙ではなく、やるべき時にやるべきプレーを遂行し、ファンブルを防ぐことだ。そうなれば、チーフスの野望をくじく可能性は大いにある

イーグルスは、2017年のペイトリオッツを打ち破ったが、結果的に3連覇を阻止することになった。そして今度も、ということになったら、本当に偉業ということになる。

イーグルスオフェンスの両輪、QBハーツとRBバークリー=Photo by Getty Images

【小座野容斉】

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