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2025-04-28

【サッカー】個の育成に徹底的にこだわるFC PORTAの、ビルドアップの指導の考えやメニューとは[ジュニア年代のビルドアップ]

日産CUP争奪第51回神奈川県少年少女サッカー選手権 U-12の部 優勝時の写真(Photo:FC PORTA)

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ビルドアップは、サッカーをプレーする上での生命線

サッカークリニック5月号の特集は「進化するビルドアップとその指導」。
日本一のチームを目指すのではなく、個の育成に徹底的にこだわっているクラブがある。神奈川県のFC PORTAだ。ここでは、小学校卒業後に、どのチームに進んでも活躍できる選手育成に重点が置かれており、実際、Jクラブアカデミーに、たくさんの選手を送り込んでいる。そんな指針があるクラブにおいて、ビルドアップの指導には、どのような考えがあり、どんなメニューを通して、その力を向上させているのか? 監督に、テーマ別に話を聞いた。
BBMsportsでは、01~04まであるテーマの、01:「ビルドアップに不可欠な要素」を公開する。

取材・構成/鈴木智之

(引用:『サッカークリニック 2025年5月号』-【特集】進化するビルドアップとその指導 PART4:ジュニア年代のビルドアップ-より)

 THEME01:ビルドアップに不可欠な要素 
「相手と同数にならないこと、1人多い状況を常につくることを意識」

相手の配置を見た上でプレーする


相手の配置によってプレーを変えるよう指導しているFC PORTA(Photo:鈴木智之)

─ビルドアップの重要性について、考えを聞かせてください。


羽毛 ビルドアップは、現代サッカーにおいて、必要不可欠なものと考えます。チームのスタイルを決定づける要素ですし、サッカーの土台になる部分です。ビルドアップができなければ、戦術的な幅が限られます。ですから、チームとしてだけでなく、個人としても早い年代から習得するべきことだと考えて取り組んでいます。

─ビルドアップには、ゴールキーパーや最終ラインからパスをつなぎながら、相手を崩していくというイメージがあります。

羽毛 FC PORTA(以下、ポルタ)のビルドアップにおいては、相手のラインを越えていくことを重視しています。8人制サッカーの場合、まずは、こちらの最終ラインの枚数が2枚なのか3枚なのかを意識します。その上で、相手のフォワードが1枚なのか2枚なのかに応じて、数的優位をつくって、ビルドアップを展開するように指導しています。また、前が空いていたり、相手の寄せが遅かったりしたら、ドリブルでドライブしながら、ボールを前進させるように促しています。

ポルタの場合、相手陣内でプレーする局面が多いのですが、状況に応じて、ボールの動かし方を変えることも大切にしています。すぐに突破を仕掛けるのではなく、相手の立ち位置にズレが生じるように、広いほうへとボールを動かしながら、縦パスを入れる場所を探す感じです。選手たちは、練習を重ねるうちに、そのやり方になじんでいきます。

─ビルドアップする上では、数的優位をつくることがマストです。

羽毛 基本的に、最終ラインから中盤、さらには前線へとつないで攻め込む際は、相手と同数にならないこと、1人多い状況を常につくることを意識しながら、相手の配置を見た上でプレーするように指導しています。

「3-3-1」のフォーメーションであれば、サイドバックの選手には、「中ドリ」というプレーを教えています。ドリブルで、サイドから中央に進入するプレーです。ボランチやサイドハーフの役割もできる選手をサイドバックの位置に置いて、そこを基点に組み立てるイメージ。「2-3-2」「2-4-1」であれば、センターバック2人が幅をとった上で、ドライブで進入することや縦パスを入れることが、より重要になります。

─起用する選手のタイプは、最終ラインの人数によって違うのでしょうか?

羽毛 状況に応じて、若干変わることがあります。ただし、基本的には何でもできる選手になってほしいので、どんなシステムでもプレーできるように、個々の能力を高めています。

上のレベルを目指すのであれば、最終ラインの選手であっても、ドリブルで前進する能力や縦パスを通す技術が必要です。中でも、「1対1」における対人能力は、攻撃においても守備においても、絶対に必要。ですから、「3‒3‒1」における最終ラインのサイドの選手については、「サイドバック」とは言わずに、「ウイングバック」という表現を使います。攻撃ではウイングとして、守備ではバックとして、攻守に関わってほしいからです。言葉の使い方次第でイメージが伝わりやすくなるので、そういう言い方をしています。

本誌「サッカークリニック5月号」では続きの「テーマ02:数的優位のつくり方」「03:ビルドアップの指導法」「04:ビルドアップにおける評価基準」を掲載!

FC PORTAの、ビルドアップ強化のためのおすすめメニュー紹介はこちら


羽毛勇斗(FC PORTA監督)(Photo:FC PORTA)
PROFILE
はけ・ゆうと/ 1994年12月24日生まれ、神奈川県出身。地元の街クラブでサッカーを始め、横浜FCのジュニアユースチームおよびユースチームでプレーした。東海大学卒業後に一度就職したが、その後、スクールを立ち上げ、2019年にFC PORTAを創設。数年のうちに、日産CUP争奪第51回神奈川県少年少女サッカー選手権優勝、U-12サッカーリーグ 神奈川《FAリーグ》TOPリーグ1部昇格、U-11プレミアリーグ神奈川1部昇格、U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ予選、バーモントカップ全日本U-12フットサル選手権神奈川県大会などで、優勝や昇格に導いた。Jクラブアカデミーに、多くの選手を輩出。日本サッカー協会公認C級コーチライセンスを持つ

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