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2025-04-25

【連載 大相撲が大好きになる 話の玉手箱】第28回「プロポーズ」その3

平成29年9月29日、妙義龍が埼玉栄高時代の同級生だった香奈さんとの結婚を発表

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6月の花嫁、ジューン・ブライド。
ローマ神話由来で、この月に結婚したカップルは一生、幸せな結婚生活を送れるんですって。
力士たちの多くは20代。いわゆる適齢期ぞろいです。
当然、女性に対する関心も高く、そのハートを射止めるための方法、プロポーズの仕方もさまざまです。
力士たちはどうやって結ばれるのか。日々、土俵上で一発勝負にかけているだけに、実に個性的です。
まだ結婚していないあなた、ぜひ参考にしてください。
※月刊『相撲』平成31年4月号から連載中の「大相撲が大好きになる 話の玉手箱」を一部編集。毎週金曜日に公開します。

同級生と結婚

気の多い男に爪の垢でも煎じて飲んで欲しい、一途な力士の話を一つ。
 
平成29(2017)年9月29日、十両に落ちていた妙義龍(現振分親方)が3カ月前の6月1日に結婚したことを発表した。お相手は埼玉栄高時代の同級生で、しかも席が隣同士だった香奈さん(旧姓山根)。

「当時は、携帯は持てなかったし、(相撲部は)恋愛もダメやった」
 
と妙義龍は振り返っているが、横顔がきれいだった香奈さんに好意を抱きながらも、告白できず、ストイックな高校生活を送ったのだ。
 
しかし、高校を卒業すると、もうそんな縛りはない。たまには連絡を取り合っていたそうで、2人の仲が恋愛に発展したのは妙義龍が日体大を経て境川部屋に入門し、十両に昇進して2場所連続優勝した平成23年の秋場所後。香奈さんを食事に誘い、思いのたけを打ち明けた。ついに告白したのだ。
 
好意を抱いてから、ここまで9年間かかっている。その頃、香奈さんは東京都内で学校介護職員をしていたが、

「ルックスよりも、夢に向かって努力している姿に強く魅かれた」
 
という。男は見かけではないのだ。
 
そして、3年後にようやくプロポーズ。結婚を明らかにしたのは、そこからさらに3年もの月日を要した。つまり、合わせて15年後のことだった。まさに初志貫徹だ。
 
この結婚発表の12日前には長男も誕生しており、いっぺんに愛妻と愛息を公にした妙義龍は、

「(知り合った)当時のことを考えたら、まったく想像できなかった。まさか隣のあの子とこうなるとは」
 
と幸せをかみしめながら話していた。男と女の縁なんて合縁奇縁、どこに転がっているか、わかりませんね。

月刊『相撲』令和3年7月号掲載

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