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2025-06-13

レフェリーの大変さと重要性を再認識…一番弟子の吉野恵悟レフェリーが16年目のテッド・タナベさん墓参り【週刊プロレス】

テッド・タナベさんのお墓参りに訪れた(左から)菊タロー、大阪プロ宮尾信次郎統括部長、同ゼウス社長、吉野恵悟レフェリー、3代目えべっさん、影山道雄、(前列)篠塚誠一郎氏

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 2009年6月15日、前日に大阪・Move Onアリーナで開催された大阪プロレス大会でのメインイベントでレフェリーを務め、カウント3を数えた直後に心臓発作を起こして市内の病院に救急搬送されたものの亡くなったテッド・タナベさん(享年46)のお墓参りが今年も13日におこなわれた。

 テッドさんが眠る愛知県名古屋市内の寺院には、弟子である吉野恵悟レフェリーに声をかけられた大阪プロレスのゼウス社長をはじめ、宮尾信次郎統括部長、えべっさん(3代目)、菊タロー、影山道雄のほか、広島・因島から元みちのくプロレスリングアナウンサーの篠塚誠一郎氏が集まった。

 例年通り、湿っぽいムードは一切ない、にぎやかな墓参り。思い出話も楽しいものばかりで、静かな境内に何度も笑い声がこだまする。そのたびに備えていたろうそくや線香が大きな炎を上げ、菊タローが「テッドさん、喜んでる!」と言うと、またも笑い声が上がる。

 集まった中で一番古くからとなり、W★ingに練習生兼リングスタッフとして入門したころ(1992年5月)に付き合いが始まった菊タローだが、大阪プロレスで初代えべっさんとして活躍したものの退団後にテッドさんが大阪プロレスのメインレフェリーとなっているからすれ違い。「ほとんどテッドさんに(試合を)裁いてもらったことないんよねえ」と振り返ったほか、今ではパワハラとして訴えられて当然のようなエピソードで皆を笑わせた。

 またゼウスは、バッドフォースの一員として大阪プロレスでデビューしたが、そのときに悪役レフェリー兼マネジャーだったのがテッドさん。「自分が相手をリフトアップした時の(テッドさんの)驚いた表情が忘れられないですね」と語った。

 約1時間の墓参りを終えた吉野レフェリーは、「毎年こうやって、今回は来れなくても間あいてでも来てくれるのはうれしいですね」と笑みを漏らしたうえで、「個人的に僕が最近、大阪プロレスの後輩(岡田健佑)を教え始めるようになったんですけど、レフェリーを育てるのがこんなに大変なんだっていうのを感じ始めて、よく僕を育ててくれたなって、今のこのキャリアと年齢になったからこそ感じて、さらに感謝が生まれてきました。今年はそのお礼を言いに来ました」と“子を持つようになってわかる親の苦労”をかみしめながらの墓参りとなった。

「レフェリーの基礎はテッドさんからですけど、そこからの応用編は(和田)京平さんであったりで。この前もアメリカに行って一流のレフェリーの方々に触れ合った際にテッドさんや京平さんの名前を出すと通じるんで。普通の漠然とレフェリーをやってても感じられなかったこととかありますんで、そこはありがたいと思いますし、誇りらしいと思います」と、テッドさんとの関係の重要性も感じているとともに、「もっともっとテッドさんから学びたいことはありましたけど、それはもう不可能なんで、それを探し求めて結果を出していくことがテッドさんへの恩返しになると思いますし、そこをこれからも頑張っていこうと思います」との思いも口にした。

 最近はリング上で大きな事故が起こることも多い。試合を裁くだけでなくレスラーの命を預かる身として、「大切にしてるのは選手とのコミュニケーション。試合前の何気ない会話から、今日この選手は調子いいのか悪いのかを聞き取るというのが大事ですし、そんな会話から試合中もどこか悪いところがあって集中力が散漫になってるとかをより注視することも大事なんで。興行を成立させないといけない、お客さんにいいものを見せなきゃいけないという軸があるうえで、テッドさんもそうだったんでしょうけど、選手から信頼されて人望があったわけなんで、自分もそこを築いていかないといけないと思ってます」と、師であるテッドさんの墓前で気持ちを新たにした。

 最後は「来年、またみんな元気でいい報告ができるように」と言葉を交わしてそれぞれの道に戻っていった。

橋爪哲也

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