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2025-08-04

【陸上】広島インターハイで市西宮高の出場選手4人全員が入賞 3000mSCの徳山博貴は全国制覇

男子3000mSCを制した徳山(写真/中野英聡)

7月25日から5日間、広島広域公園陸上競技場で行われたインターハイの陸上競技。暑熱対策として1500m以上の種目は予選を行わず、出場資格記録の遅い順に1組から組を分けて競うタイムレース決勝で行われた。男子3000mSCは1~4組で争われ、1組目から好記録が相次ぎ、最終組も残り50mまで誰が1着を取るのか読めない状況。タイムレースにふさわしい走りと意地がぶつかり合った。

「最初はいやだった」が3000mSCの魅力にハマり全国のタイトル獲得

昨年のインターハイは8分台が2人だったが、今回は4人。いずれも4組の選手で、最速は徳山博貴(市西宮高3年・兵庫)の8分53秒04。自己ベストで優勝を決め、「チームのみんな、先生方、家族、そういう支えが重なって、最後の50mのスパートにつながったのだと思います。この優勝をみんなに分けたいです」と、喜びと感謝を言葉に込めた。

4組のレースは1000mを2分59秒、2000mを6分01秒で通過。徐々にペースが上がるなか、徳山は残り1周を前にスパート。残り300mで伊藤悠ノ介(八千代松陰高3年・千葉)につかまり、リードを広げられたが、残り160m付近の水濠で差を縮め、最後の障害を越えて逆転。優勝を確信してフィニッシュを決めた。

徳山は中学ではサッカー部に所属。長距離走が得意だったこともあり、「陸上の指導を専門的に受けて、どれだけ伸びるかな?」と市西宮高で陸上競技部に入部した。すると、水門賢治先生から「練習で障害に向かっていく動きがよかったので」と3000mSCを勧められた。徳山は「最初はいやだったんですけど」と苦笑い。しかし、「ハードルや水濠がある楽しさがクセになってやめられなくなりました」と魅力にはまってしまった。

広島インターハイに市西宮高は4選手を輩出。徳山の出番の前に、5000mWの女子で逢坂ひかり(2年)が3位、男子で大﨑壮真(3年)が5位、辻那悠太(2年)が6位に入賞した。徳山は「3人が先に入賞して、それが後押しになりました。4人とも入賞できたことは本当によかったし、先生への恩返しになったと思います」と胸を張った。

女子5000mWに出場した逢坂は3位、男子の大﨑は5位、辻は6位に入り、出場4名全員が入賞を果たした(写真/中野英聡)
女子5000mWに出場した逢坂は3位、男子の大﨑は5位、辻は6位に入り、出場4名全員が入賞を果たした(写真/中野英聡)

市西宮高は例年200人前後(卒業生含む)が国公立大学に進学する進学校。夏の全国高校野球選手権(甲子園球場)の開会式で出場校のプラカードを持って行進する先導役を務めることでも知られる。

陸上競技部も日々の主練習は授業前の朝に行い、放課後は勉強会を開いたり、校地周辺のゴミを拾いながらジョギングしたり、独自の活動に取り組む。徳山も“ゴミ拾いジョグ”をしてから、インターハイに出陣したという。今年の日本選手権女子三段跳で初優勝した髙島真織子(九電工)は陸上競技部OGだ。強豪校ではないが、水門先生が「みんなで強くなろうというチームマインドがある」と言う市西宮高。優勝した徳山を筆頭に、大健闘といえる成果を広島インターハイに刻んだ。

文/中尾義晴 写真/中野英聡

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