サッカーはチーム・スポーツだからこそ、コミュニケーションの大切さがよく指摘される。では、どのようにしてコミュニケーションをとり、個人の能力とチームのまとまりを高めていけばいいのだろうか? 『しつもんメンタルトレーニング』を考案し、対話の専門家である藤代圭一さんに実例を挙げてもらいながら、具体的方法を2回に分けて聞いた。1回目は保護者から寄せられた質問に対する解決策を紹介する。
(出典:『ジュニアサッカークリニック2019』)
保護者からこの質問を受けることがよくあります。
なぜ、保護者は子供に対してこのように感じてしまうと思いますか?
保護者の抱いている「やる気の基準」と子供の「やる気の基準」が違うから、そう感じてしまっている可能性があります。
実は、「子供にはこうあってほしい」と望む理想像や状態を保護者自身が把握できていないことがあるのです。子供に望むものが漠然としているため、子供からやる気がないように感じられ、ときにイライラしてしまうことがあるのでしょう。
それを防ぐため、私が保護者にやってもらったことがあります。
目の前に子供がいない状態で、この2つの問いに答えてもらいます。多くの場合、自主的に練習に取り組んでいるときにやる気を感じ、「自主トレをあとでやる」などと言っていたのにやらなかったときやほかの子供と比べて自分の子供が声を出していないと思ったときなどにやる気を感じないようです。
この2つの問いのあと、次の問いについても考えてもらいました。
例えば、「1日10分は自主トレをしてほしい」、「好き嫌いなく食事を摂ってほしい」などが挙げられるかもしれません。
保護者に3つの問いを答えてもらったあと、今度は保護者がいない状態で子供に聞きました。
この問いの際に「サッカー選手になりたい」と答えるのであれば、「どんな選手になりたいか」、「20歳のときはどうなっていたいか」など、子供たちが答えやすい質問をし、具体的にイメージしてもらいます。「ゴールをもっと奪えるようになりたい」、「10番をつけていたい」、「20歳で日本代表になっていたい」、「高い年俸をもらっていたい」、「ヨーロッパのクラブでプレーしていたい」などの答えが挙がるかもしれません。イメージがどんどん沸いていくことでしょう。次に聞くのがこの質問です。
Aの次にBの質問を行なうことで、子供は「今月は○○をやろうと思います」と具体的な目標を答えてくれます。その際、『月間目標設定シート』(下の図1)を使ってもらいました。答えてくれたときはやる気が高まっている様子が見られました。
ただし、目標をあまり大きくさせすぎないことが注意点です。「正確なシュートを意識する」、「1日1時間は練習する」、「1日3度ご飯を食べる」といった程度にし、少し頑張ればできそうなことをシートに書いてもらいました。
不思議なもので、子供が書いたシートを保護者に見てもらうと、「子供は子供なりにちゃんと考え、頑張っているんだな」と思えるようになるのです。イラつき少し収まったように見えました。
もう1つ、注意点があります。「子供が立てた計画は失敗することが前提」という考え方を持ってもらうことです。計画通りにできていないからと言って怒ったりしてはいけません。保護者が子供の計画を微調整したりしてもいけません。
大切なのは、子供が「失敗した」ということを感じる機会をつくり、子供自身が計画を微調整したり、具体的にしたりするのです。保護者は子供のその作業過程を暖かく見守ってください。
「シートに書いて終わり」ではなく、シートを通じて子供が成長していけるように、保護者は対話しながら関わり続けていってください。
取材・構成/髙野直樹
写真/gettyimages、宮原和也、BBM
藤代圭一(ふじしろ・けいいち)/1984年生まれ、愛知県出身。一般社団法人スポーツリレーションシップ協会代表理事。教えるのではなく問いかけることでやる気を引き出し、考える力を育む『しつもんメンタルトレーニング』を考案。全国大会優勝チームなど、さまざまなジャンルのメンタル・コーチを務める。著書に「子どものやる気を引き出す7つのしつもん」(旬報社)、「スポーツ大好きな子どもが勉強も好きになる本」(G.B.)がある。http://shimt.jp
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