先日の8・23後楽園大会のオープニングでも発表されたように、東京女子に新たにリーダー制度が導入された。その初代リーダーとなったのは山下実優であり、ここからメンバーを率いていく立場となる。そんな彼女に今後について色々と聞いてみた。
――東京女子の初代リーダーに就任しました。
山下 分かりやすく立場があるっていうリーダー制度は初めてで。でも私の認識としては会社とも話して、そこは一緒なんです。上に立つというか、そういう特別な立場ではなくて…ただ東京女子も12年やってきて人も増えてきているので、そこを“まとめる”っていうのでリーダー制度ができたんです。なので私の気持ちとしては上に立つっていうのはなくて、みんなをまとめて、より東京女子の一体感ってところを出していきたいなって。ホントに一人ひとりが個性豊かでおもしろい、そういう子たちがあふれる東京女子をもっと世の中に知ってほしい! 12年目にきて、今までやってきたものには自信があるんです。それは私がここ数年海外に行っててもすごい感じていて。東京女子が海外に行っても…最近あったテキサス大会では2500人入れたっていうところも結果として数字にも表れてるなってところがすごい嬉しかったですし。そこであらためて私たちがやってるものに対してすごく自信があるからこそ、まだ広げられてないなって…。もっともっと広げていきたいなってところがあるので、そういうところでもリーダーとしてやれることはあると思っているので。思いとしてはいまの東京女子をしっかり広めていきたいなって、リーダーとしてできることは全力でやっていきたいなっていう風には思いますね。
――リーダーになったことでこれまでなかった役割なども増えていくと思いますが、例えばどんなものになりそうですか?
山下 選手個人の考えがそれぞれあると思うので、そういうところをまとめて(甲田哲也)代表とコミュニケーションを取ったりして、もっと連係が取れたらいいなって。そこが東京女子を大きくすることにもつながるんじゃないかと思うので。主にそのあたりですかね。
――山下選手は個人での海外遠征も多いですが、そのあたりはリーダーになってもあまり変わらないですか?
山下 今後も変わらず海外にはいきます。だけど極力、日本で試合をしていきたいなと思ってます。おそらく海外遠征の頻度は減ると思います。ただ日本だけじゃなく、海外でももっと東京女子を広められると思うので、そこもしっかりやっていきたいです。
――では試合に関する気持ちに変化はないですか?
山下 変わらないですね。リーダーになると選手のイメージがリーダーに被さるというか…選手としてどうやっていくんだ?ってところがファンの人の考えることだと思うんですけど。選手としての闘志はもちろん消えてないので、今年のトーナメントで負けてすごく悔しかったし、イチレスラーとしてもどんどん強くならないといけないってところもあって。だからベルトも狙っていきたいし、トーナメントみたいなところでも結果を残せるレスラーでありたいので、そこは変わらずやっていきますよ。
――そして山下選手がリーダーになるとほぼ同じタイミングで、元パートナーの伊藤麻希選手の契約満了が発表されました。そこに関してはいかがですか?
山下 なんか私たちらしいなって(苦笑)。私は東京女子で頑張ろうって決めて。一方の伊藤は東京女子から離れて違う場所でやっていくと決めて…お互いの決意が場所は違えど一緒だったんですよ。別々の道にはなりますけど、ホントに私たちらしいなって。だから私が伊藤に対して思うのは、お互いに決めた道をまっすぐ突き進もうぜ、頑張ろうぜってことです。
――伊藤選手を止めるわけではなく、お互いにそれぞれの道で頑張ろうよ、と。
山下 やっぱり一度きりの人生なので、色々考えて生きたい場所で生きようよって。頑張れる場所でやっていかないとね。そこはお互いに東京女子や海外で色んな経験をして、色んなことを考えた末にお互いにそういう選択をしてるので。そこは決めたことをしっかりまっすぐやって、ちゃんと歩んでいこうってかんじではありますね。
――もしかしたらまた組むことや闘うことがあるかもしれません。
山下 ねー、何があるか分からないんで。そうなったらそうなったでまた面白いかなって思ったりもしますし、その時にお互いのやり方でデカくなってたらいいなって。それも運命かなって思いますよ。
――運命ですね。伊藤選手は団体からいなくなってしまいますが、同時に他の選手にとってのチャンスも増えます。
山下 伊藤も長くいたから、東京女子からいなくなるっていうのは…すごい(団体にとって)マイナスになる部分はあると思うんですよ。でも、ここを乗り越えてこそ、私たちはもっと大きくなると思うし。私たちならできると思っているので、不安はありません。むしろチャンスにします。東京女子にはすごい選手がいっぱいいるので、すぐにいろんな選手が浮上してくるんじゃないかな。次に何が起こるのか。そう考えるとワクワクしてきますよね。
――伊藤選手の今回の件を前向きに捉えると。
山下 はい! 団体としてもチャンスになるのかなっていうふうに思いますね。
――では今後、リーダーとして何をやっていきたいですか?
山下 やっぱり団体のこのスタイルっていうのは変わらず。これからも変わらずに進化していくってところにリーダーとしてできることをやっていきたいし。さっきも言ったように一人ひとりが輝いているからこそ、そういうのを見ると…イチレスラーである私も含めて、ホントに色んな人にもっと見てほしいなってところがあるので。しっかりそうできるように。プロレスを好きでいてくれてる人、東京女子を好きでいてくれてる人、見に来てくれる人をしっかり幸せな気持ちにさせるというか笑顔にさせるってところは変わらずに。むしろプロレス自体をまだ知らない人たちにもっともっと東京女子プロレスというものを知ってもらえるように。そこに対しての活動をもっとしていきたいと思ってます。(大会を開催したことがある中で)一番おっきい会場で両国国技館になりますけど、そこでもまたしたいですし。そういうところでしっかりたくさんのお客さんで埋められるようにやりたいし、ステップアップしていけば日本武道館だったり、あと私は武藤さんの引退興行を東京ドームでやった時に東京女子で提供試合をさせていただいて、すごい夢のような空間だったんですよね。そこはホントに武藤さんのおかげでいい経験をさせてもらったので、その経験をしっかり活かしたいなってところもあります。それと、そこに立った時に東京女子で立ちたいっていう風にも思ったんですよ。それは難しいことだし、そこにいくまでに色んなことをやってかなきゃいけない。色んなものをクリアしていかなきゃいけないっていうのはあるんですけど、不可能ではないなって思ったので。そこは私たちのスタイルで進んでいって、多くの人に届けていって。それが成功していけば大きい会場につながっていくと思うので、そこはやっていきたいなって思いますね。
――目標は大きいですね。ではリーダーとしてあらためて今後の意気込みをお願いします。
山下 リーダーのあいさつの時に「私の人生を東京女子にかけます」っていう風に言ってめっちゃ重く聞こえたかもしれないですけど(笑)。それくらいの意気込みというか、それくらいの気持ちを表したかったんです。ただ選手としてもしっかりこれからもっとやっていきたいってところもありますし、ひとつ締めの言葉で言うとしたら…「東京女子の限界、自分で決めんなよ!」ってところで(笑)。もうホントにいま来てくれてるファンのみんなには引き続き東京女子、もっともっと進化していくぞってところを見てもらいたいし、ずっと見ててほしいです。その上でもっと色々なところに行くので、そこも楽しみにしててほしいなって思います。