上のメイン写真=ゴールマウスを守るドイツ代表のマルク=アンドレ・テアシュテーゲン(FCバルセロナ) 写真/gettyimages

図 各ゾーンにおける使用アクション(※マヌエル・クローン作成)
上の図を見てください。私はゴールを「スタンディング・ゾーン(ゾーン1)」、「フォール・ゾーン(ゾーン2)」、「ダイビング・ゾーン(ゾーン3)」の3つに分けてキーパーにテクニック指導を行なっています。ダイビング・ゾーンに関しては細分化し、「起立時にボールから遠い手(上の手)を使うダイビング・ゾーン(ゾーン4)」を設定しています。それぞれのゾーンごとにアクションが異なってくるからです。
キーパーの体近くに飛んで来るシュートに対するテクニックを使用するゾーン。ステップを利用すればキャッチできる範囲のボールに対しては、上半身の回旋を防ぐために体全体をシュート・コースの正面に運ぶようにする。そして、飛んで来るシュートの高さに応じて、「オーバーハンド・キャッチ」、「アンダーアーム・キャッチ」、「アンダーハンド・キャッチ」を使い分ける
グラウンダーか、腰や頭の高さに来るボールかにかかわらず、ステップだけでは体をシュート・コースに運べないシュートに対するテクニックを使用するゾーン。体を滑り込ませ、伸ばすイメージでシュート・コースに入る
体を伸ばし切り、滑り込ませるだけでは届かないシュートに対するテクニックを使用するゾーン。素早いステップから体全体を浮かせてシュート・コースに入る。ダイビング・ゾーンに対するシュートに関しては、原則として、両手を持っていくか、ボールに近いほうの手(下の手)で「ボールにアタックするイメージ」でアクティブにシュートに対応する
このゾーンに飛んで来る高いシュートは、体全体を浮かせてボールから遠い手(上の手)を使って対応する。キャッチングというよりも、バーの上にボールの軌道を逸らせるか、外に弾き出すことが主な目的になる
それでは、3と4で用いるダイビングを細かく見ていきます。ダイビング・ゾーンにおけるアクションの流れは以下の通りです。
動き出し
↓
ボールに近いほうの足の接地
↓
力強い踏み切り
↓
両手か、ボールから近い手(下の手)でアタック
また、起立時にボールから遠い手(上の手)を使うダイビング・ゾーンにおけるアクションの流れは以下の通りです。
動き出し
↓
ボールに近いほうの足の接地
↓
力強い踏み切り
↓
ボールから遠い手(上の手)でアタック
ダイビング・ゾーンでの良い例(下の写真<1>~<6>)と、起立時にボールから遠い手(上の手)を使うダイビング・ゾーンでの良い例(下の写真<7>~<12>)を紹介しましたので確認してください。
ダイビングは、キーパーのアクションにおいて、ギリギリのシュートを防ぐ、派手で、観客にとっても見応えのあるアクションです。しかし、ダイビングは持ち前の身体能力だけでは成功しません。しっかりとしたテクニックがあってこそ成功させられ、失点を防げるのです。

<1>ボール方向へ頭と上半身から動き出す。このアクションのときにボールから遠い足(動き始める足)の助け(力)を借りる。両手は体の後ろにいかないようにする

<2>ボールに近い足(踏み切り足)を接地させる。その際に重心がボールに近い足に乗るようにする。目線はボールから離さない

<3>踏み切り足でしっかりと地面を蹴る。その際に体全体を伸ばし、ボールにアタックできるようにする

<4>ボールにアタック

<5>着地への準備として、キャッチしたボールを体の近くに引き込みながら地面方向に誘導する

<6>地面側の肩から上腕の範囲、腰から太モモの範囲で着地する

<7>ボール方向へ頭と上半身から動き出す。このアクションのときにボールから遠い足(動き始める足)の助け(力)を借りる。両手は体の後ろにいかないようにする

<8>ボールに近い足(踏み切り足)を接地させる

<9>重心がボールに近い足に乗るようにする。目線はボールから離さない

<10>踏み切り足でしっかりと地面を蹴る。その際に体全体を伸ばし、ボールにアタック(※ここまでは「ダイビング・ゾーン」<ゾーン3>におけるアクションと同じ)

<11>ボールから遠い手(上の手)をしっかりと伸ばしてボールにアタック。最後の段階では、ボールに触れる指でボールを運ぶコースをコントロールする。このときにボールから目を逸らさない

<12>ボールをしっかりと弾いたあとも目線はボール方向に向ける

PROFILE
川原元樹(かわはら・もとき)/1984年5月15日生まれ、京都府出身。大学卒業後にドイツへ渡り、GKとしてドイツ6部リーグでプレー。指導者に転身後はアルミニア・ビーレフェルトとハノーファー96で指導した。2013年から松本山雅FCのユースアカデミーでGKコーチ、17年からFC岐阜のGKコーチを務めている
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