【アメフト】富士通ディフェンス「ラグビー聖地」で好タックル連発　米国人QBを完封し白星発進　

アメリカンフットボールのシーズンが始まった。国内トップリーグ・Xリーグの「X1 スーパー」では、開幕節の6試合があり、昨シーズンの日本一、パナソニックインパルス、富士通フロンティアーズ、オービックシーガルズなどが順当に白星発進した。

X1スーパー第1節
富士通フロンティアーズ○37－0●富士フイルム海老名ミネルヴァ
（2025年08月29日@秩父宮ラグビー場）

東京・青山の秩父宮ラグビー場で、初めてのアメリカンフットボール開催。ライスボウルでパナソニックに敗れ日本選手権4連覇を逃した富士通が、リベンジに向けて、初戦を完勝した。第1クオーターの最初のドライブは3&アウトに終わったが、その後はパントを蹴らずに得点を重ねた。パス168ヤード3TD（タッチダウン）、ラン198ヤード2TDと、バランスアタックが機能した。
　
この日の富士通は看板のオフェンス以上に、ディフェンスが強さを発揮した。金曜日の夜で、仕事帰りの人たちなど、7426人が観戦に訪れた「ラグビーの聖地」で、富士通ディフェンスが好タックルを連発した。

富士フイルム海老名の先発QBは、新加入のQBシェバン・コルデイロ。米国のカレッジフットボール最上位カテゴリーのFBSで、ハワイ大、サンノゼ州立大の2校で61試合に出場し、パスとランの合計で113TD、1万3811ヤードという、所属カンファレンス記録を作った実力派だ。そのコルデイロに、富士通はアグレッシブなディフェンスでプレッシャーをかけ続け、完封した。

特に、前主将のOLB趙翔来が、第1クオーターにQBコルデイロに決めたサックで14ヤードをロスさせたプレーが試合の流れを作った。後半にも0.5サックを決めた趙。春シーズンは負傷で活躍の場がなかった。主将は降りても、主役の座は譲らない気迫を見せた。

富士通ディフェンスは、2QBサック、5タックルフォーロスで、富士フイルム海老名のオフェンスを50ヤードも後退させた。富士フイルム海老名は試合開始から9回のオフェンスシリーズで、ファーストダウンはわずか3回と、打つ手がなかった。

しっかり研究して、立てた対策が当たった…富士通・山本HC

富士通の山本洋HCは「米国人QBをしっかり研究して、立てた対策が綺麗に当たった」と笑みを見せた。2年目の海島裕希ディフェンスコーディネーターが「メリハリをつけて、行くべきところを行く、攻めるディフェンスを見せた」と評価した。山本HCが望んでいた「投げるタイミングを崩す、パスカバーをリードさせないという、相手のオフェンスがやりにくくなるエッセンス」が盛り込まれていたという。

ランパス二刀流の米国人QB対策は、コルデイロだけではなく、第2節で対戦するノジマ相模原ライズのカート・パランデックへの備えでもある。山本HCは「やられたプレーもあったので、なにがダメだったのか、しっかりビデオを見直して次戦に望みたい」と気を引き締めていた。


フットボールは、やはりOL…富士フイルム海老名・市川主将

「1週間の仕事終わりに、これだけ多くのお客さんが見に来てくれたのに、良いところを見せられなくて、悔しい」と、富士フイルム海老名の市川司韻主将は試合を振り返った。

市川主将は「OL（オフェンスライン）のフロントが、第1クオーターから組織的に崩された。QBのシェバンにパスを投げさせられなかった。QBが力を出せる形を作れなかった」と、自身もOLだけに、人一倍責任を感じていた。「フットボールは、やはりOLで決まる。必ず立て直して、次戦はQBのシェバンが力を発揮できるような形にする」と誓っていた。