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2025-11-02

東京女子11・9後楽園で“究極のアスリート”が渡辺未詩のプリプリ王座にいきなり挑戦。初来日のJ-RODとは何者か?【週刊プロレス】

11・1新宿で東京女子に初登場したJ-ROD

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東京女子プロレスの11・9東京・後楽園ホール大会で、渡辺未詩がプリンセス・オブ・プリンセス王座2度目の防衛戦をおこなう。9・20大田区で瑞希からベルト奪回し2度目の戴冠を果たすと、10・18後楽園で愛野ユキを破り初防衛に成功。そして今回、彼女のベルトに挑むのは、アメリカから初来日のJ-ROD(ジェイ・ロッド)である。

初来日でいきなり東京女子のフラッグシップタイトルに挑戦するだけに、かなりの実力者であることが推測されるJ-ROD。身長178センチ、体重73キロと大型で、健康的なアスリートであることも伝わってくる美貌の持ち主。そのすべてを集約したようなニックネームが、「ジ・アルティメット・アスリート」。現代ではほとんど死語と化した“未知の強豪”だが、“究極の女戦士”と呼ばれるJ-RODからは久しぶりに古き良き時代のプロレスのエッセンスも感じられるのではなかろうか。

J-RODは1992年、オハイオ州コロンバス出身の33歳。幼少からスポーツに親しみ、3歳でサッカーを始めたという。自身を「ボーン・アスリート(生まれながらのアスリート)」というだけに運動神経抜群で、あらゆるスポーツを経験。サッカーに始まり、ソフトボール、陸上、体操、チアリーディング、ボディービルなどなど。さらにはこの万能さが買われ、アメリカの人気スポーツエンターテインメント番組にプロレスとは別の姿で出演した。詳細はまだ発表できないとのことだが、撮影は終了しており、来年配信される予定だという。

プロレスは彼女にとって、これまでやってきたスポーツの集大成と言えるのだろう。アランドラ・ブレイズ、ベス・フェニックス、ビアンカ・ベレアらからインスパイアされ、自身もリングに上がりたいと思うようになった。プロレスを学ぶためオハイオ州からカリフォルニア州に移住、ノックスプロアカデミーのレスリングスクールに入門した。ノックスプロではリキシ、ブラック・パールからの指導を受けた。

WWE殿堂者のリキシは新日本プロレスにトンガ・キッドのリングネームで来日、WWEでスモーレスラーのリキシとしてブレイクし、スティンクフェースが世界中で知られる圧殺技になった。アノアイ・ファミリーの一員で、WWEで長く活躍するウーソーズの父親でもある。もうひとりのトレーナーのブラック・パールは、リキシの従兄弟にあたる大型パワーファイターだ。

「ボーン・アスリート」の彼女を「ジ・アルティメット・アスリート」に仕上げたのが、リキシだった。ニックネームの名付け親にもなったリキシは、数々のスポーツを経験してきたJ-RODの才能を活かすためにあらゆるスタイルを教え込んだ。そのなかにはジャパニーズスタイルのハードヒットも含まれていたという。彼女が日本のプロレスを知り、意識したのも、リキシの教えからだった。そういえば、筆者はかつてイタリアでブラック・パールの試合を見たことがある。未来日ながらも、パールはそこで日本のスタイルを意識したかのような重厚なレスリングを展開。気になったので聞いてみると、実際に日本のプロレスを研究し、その成果を試してみたかったとの話が聞けたのである。

「オールラウンドなテクニシャンでパワーファイター。ハイスパートでハイフライングの技もこなす。リングでの見え方やキャラクター性も意識しているわ。私は自分の能力にプライドをもってリングに上がっているの」と、J-ROD。新日本のNJPWアカデミーでもトレーニングを積み、デビューは2022年7月16日、AEWのダークマッチでメルセデス・マルチネスと対戦した。

その後、フルタイムレスラーとなりOVWを中心にアメリカのさまざまなインディー団体に参戦。現在までいくつかのタイトルを獲得しており、その代表格が7カ月間で12度の防衛に成功したOVW女子王座だ。このタイトルは、2度目のOVW参戦で奪取に成功。10人参加のランブル戦を制し、当日におこなわれたタイトルマッチでベルトを勝ち取ったのである。

キャリア3年で、これまで約130試合を闘っているJ-ROD。カナダで2試合、メキシコでも2試合をおこなっているが、ほとんどがアメリカ国内での試合だ。よって、北米から出るのは今回が初めて。日本人との対戦は、昨年8月にロサンゼルスでおこなわれたキツネ世界王座決定3WAYマッチでのまなせゆうなのみ。今回の来日が事実上初めての日本との遭遇と言っていいだろう。

「練習していた頃からジャパンのスタイルは意識にあった。だから今回の来日で夢がかない、とてもエキサイティング。ミウとはもちろん初対戦になるけど、彼女の技術を体感できるのがとても楽しみ。タイトルマッチに向けてジムかリングで毎日調整しているし、サプリ接種も含めて食事にも気を使っている。人生すべてが試合への準備、それはミウ戦でも変わらないわ」

東京女子初戦となった11・1新宿ではキラ・サマーを圧倒して快勝したJ-ROD。未詩に勝てばプリプリ王座史上初めての外国人王者誕生ということになる。同王座はベーダ・スコットに始まりザラ・ザッカーまで過去に12人の外国人選手が挑戦してきた。未詩は前政権時にバート・ビクセンとザッカーを退けており、外国人選手との防衛戦は今回が3度目。そして最大のピンチか? J-RODが鍛え抜かれた強靭な肉体から放たれるパワーの持ち主でハイフライヤーでもあるという事実からして、王者にとってもっとも危険な挑戦者となる可能性が高いのだ。

「スポーツ経験すべて融合させているのが私のスタイル。すべてのスポーツがプロレスラーとしての私を形成することに役立った。なかでも一番役に立ったのはチアリーディングかも。俊敏性、フットワーク、そしてスタミナ。これってプロレスのロープワークにも意外と役立っているのよ。すべてをぶつけて、ミウを倒しにいくわ」と、J-ROD。11・9後楽園で、ジ・アルティメット・アスリートが全貌をあらわす!(新井 宏)

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