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2025-11-27

【しゅりんぷ池田のカード春秋】FUSION 2025(第2回)外野手のゲーム最多刺殺記録

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NPBの公式サイトに「達成記録」というコーナーがあり、「2025年シーズンの記録の回顧」というページがシーズン中は日々更新されているのです。「FUSION」で取り上げるべき記録がないかと筆者も時々チェックしているのですが、ある日、守備記録で、これは! と思われるトピックを発見しました。4月12日のオリックス戦で辰己涼介(楽天)が「外野手ゲーム10刺殺」という記録を達成していたのです。「外野手の刺殺」というのはフライやライナーで打者をアウトにすることを指し、辰己はこの試合で10個のセンターフライを取ったのでした。わたしはシーズン中は記録のネタがないかと毎朝スポーツ新聞5紙のサイトをくまなく見るのが日課になっているのですが、この辰己の記録を報じた記事はありませんでした。やはり守備の記録というのは地味であまり報道されないきらいがあるようです。

わたしはどうしても辰己の守備記録のカードを作りたかったのです。というのも、同選手は24年に外野手シーズン397刺殺というプロ野球記録を樹立していたのですが、これは48年の青田昇(巨人)の391刺殺を76年ぶりに塗り替えるという大記録だったのです。これは当然「FUSION」でも取り上げるべきトピックだったのですが、前記録保持者の青田昇氏は97年に亡くなっており、ご遺族と連絡がつかなくなっていたためカード化の許諾を得ることができなかったのです。さらに、青田氏の現役中の写真を調べてもグラブを手にしている写真が皆無。本塁打王5度の強打者だった同氏の写真は打撃の写真しかなく、結局カード化は断念せざるを得なかったのでした。

そんなわけで、今回の「外野手ゲーム10刺殺」をカード化することになった次第。辰己の記録の注釈には「パ・リーグタイ記録、8人目、8度目。プロ野球記録は1980.9.19若松(ヤ)の11刺殺」とあることから、若松勉(ヤクルト)と併せてカードを作ることにしました。80年9月19日の阪神戦に三番・レフトで出場していた同選手はフライ9個、ライナー2個を処理して「外野手ゲーム11刺殺」のプロ野球記録を樹立したわけですが、この記録は若松の守備力というより、この日の先発・安田猛の打たせて取るピッチングが冴えわたっての結果だったように思われます。同投手は9回を5安打のみに抑え、無四死球で116球を投じて完封。試合時間はわずか2時間13分でした。

しかし、ここでもやはり困ったのが若松の守備写真でした。通算打率では日本人選手トップの.319を残している同選手だけに、ほとんどが打撃写真なのです。今回使用した写真はキャンプ中のぼんやりしたものとなってしまいましたが、そこはどうか、ご容赦願います。

No.07 辰己涼介(楽)
No.07 辰己涼介(楽)

No.08 若松 勉(ヤ)
No.08 若松 勉(ヤ)



当コラムは、これまで「週刊ベースボール」の「Curutural Review」のページに掲載されていたカードのコラムを転載していたのですが、2001年春から続いていたこの連載が2024年4月1日号をもって終了しました。今後、当コラム「カード春秋」(※)はBBMカードサイトのオリジナルコラムとして続けていこうと考えておりますので、よろしくお願い致します。

※「カード春秋」というタイトルは、わたしの出身校・香川県立高松高校(旧制・高松中)の大先輩にして、文藝春秋社の創設者である菊池寛先生へのオマージュなのです。

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