アメリカンフットボールの関東大学2部リーグは、11月15日にBブロックの2次上位リーグの試合があり、日本大学・有志の会が上智大学に35-6で勝利した。前半を7-0で折り返す苦しい展開となったものの、後半にオフェンスが修正し4本のタッチダウンを重ねて突き放した。日大は開幕からの連勝を継続し、上位リーグへの自動昇格をかけた最終節に向け、チームの完成度が問われる試合となった。試合後の須永恭通監督のインタビューをお届けする。日本大学・有志の会 ○35-6●上智大学(富士通スタジアム川崎) 正直なところ、現時点ではフィジカルが全然足りていないと感じています。今シーズン5試合目にして、4Qを通して戦い切ったのは今日が初めてでした。対戦相手はフィジカルもスピードもしっかり仕上げてきており、手応えのあるチームでした。しかし、今回の試合内容は相手の戦い方というよりも、自分たちの課題がそのまま結果に表れたと感じています。相手が4thダウンを使い切って攻めてきたことや、特定の守備の仕掛けが原因ではありません。
試合間隔が空いてしまっていたことは確かに難しさとしてありましたが、それは最初から分かっていたことで、4週間の準備期間をどう過ごすかは自分たち次第でしたので言い訳にはできません。
チーム力については、試合ごとに着実に上がっているとは言い切れません。身が入り切っていない時間帯があることや、しのぎを削るような試合を積み上げてきたわけではないことが影響していると思います。
今の状況で負けることはないだろうとどこかで思いながらやってきたからこそ、今日のような内容になってしまったとも感じています。たとえ上のリーグに上がれたとしても、「圧倒する気持ちでやる」という姿勢がなければ通用しません。口だけで終わってしまっている部分が、今日の内容につながっていると思っています。
組織としてできないことはありませんし、学生たちに「一生懸命やる」「気を抜かない」という気持ちは伝わっていると思います。しかし実際には、相手のプレッシャーが強まると浮き足立つ、甘さが出る、というもろさが残っています。
選手が一生懸命やっていないわけではありません。だからこそ、普段の練習の中で「あと一歩を詰め切る」「コントロールにこだわる」「サインを完璧に遂行する」という本当の意味での意識の高さがまだ足りないのです。こだわっている“つもり”で止まってしまっている。上のレベルで通用する基準まで本気で考えられていないことが問題だと思います。それを伝えきれていない私の責任でもあり、修正していく必要があると感じています。
抜群のリーダーシップでチームをまとめ上げる主将LB三ケ尻晃基=撮影:北川直樹今日の試合では、ボール周りのミスが多く出ました。振り返ると練習でも起きていました。練習ではファンブルしないような選手が、試合ではボールが手につかなかったり、落としたりという場面もありました。こういった部分は一度立ち止まり、徹底してやり直さなければいけません。
パスのミスも同様です。練習で指摘し合っていても、本気の強度でやり切れていなかった結果が試合に出たということだと思います。多くの選手が今日の内容で気づきを得たはずなので、気づいただけで終わらせず、この先の4週間で仕上げてほしいと考えています。
QBもタックル練習を含め、ファンダメンタルのメニューには取り組んでいますが、「本気でやる強度」がまだ足りません。今の基準にあわせてそれなりの強度でやってしまっている状況で、トップレベルに対抗できるかといえば難しいです。先日、TOP8(最上位カテゴリ)の試合を全員で見に行きましたが、最終的にはあのレベルのチームに勝たなければならないので、すでにそこを見据えています。
春の法政戦の大勝について周囲から評価されることもありますが、相手もまだ仕上がっていないタイミングでしたし、私たちはあの内容を基準として受け止めていません。たまたま噛み合た部分があっただけで、本来の基準は別の場所にあります。
個人としては、WR藤原(優斗=3年=仙台育英)がこの春から一気に伸びたことを非常に評価しています。去年4月に私が来てからずっと一生懸命な選手で、いずれ良くなるとは思っていましたが、今年になって押さえるべきポイントを理解して意識できるようになり、一気に飛躍しました。
現在は岩﨑(充希=3年=佼成学園)・青木(峻=4年=駒場学園)と同等の評価で扱っています。彼は3年生で、未経験で入ってきて実質2年ほどの経験しかない中(最初の数ヶ月は取り組めていないため)、DBからWRに転向してここまで伸びてきました。ああいう未経験のアスリートが活躍してくれるのは、チームのボトムアップにつながります。
今日の内容で課題は明確になりました。気づきで終わらせず、改善に行動としてつなげられるかどうかが次の4週間のすべてだと思っています。圧倒する気持ち・本気の強度で練習し続けなければ上には勝てません。そこにもう一度、チーム全員で向き合っていきます。
須永監督は学生らの心情を汲み取りながら課題について語った=撮影:北川直樹
須永監督の評価も高いWR冨士原(15)=撮影:北川直樹