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2025-12-11

【陸上】2026 Close UP!T&F 今季高校記録3度更新の女子100mH 層の厚さ、ハイレベルな戦いでさらなる記録更新も

高校記録が3度更新された女子100mH。来季もハイレベルな戦い、好記録に注目が集まる。写真左から、江口、石原、福田、二階堂(写真/黒崎雅久、宮原和也)

2025年のトラック&フィールドシーズンが終了。今季、秋以降にも各地から好記録の知らせが届いた。そのなかから、来季に向けて、注目の種目や選手を紹介。“どこよりも早い⁉ ”2026年T&Fシーズン展望をお届けする。第三弾は、今季高校記録が3度、更新された女子100mH。

高次元な争いが好記録に

2025年は高校女子100mHの記録が前進した年だった。5月、インターハイ予選兵庫県大会で井上凪紗(滝川二高3年・兵庫)が13秒31(+0.7)をマークし、13秒34の日本高校記録を更新した。6月にはインターハイ予選北関東大会で石原南菜(白鴎大足利高2年・栃木)が13秒33(+1.3)をマーク。3組タイムレースで行われたインターハイ決勝では、1組1着の石原が13秒30(+1.3)、2組1着の井上が13秒40(-0.3)。石原が高校新Vを飾った。
石原は9月のU20東アジア選手権でも井上に先着して金メダル。10月の国スポ少年女子共通100mHでも決勝で井上と接戦を演じ、13秒29(+0.8)と高校記録を再度更新。井上も13秒34と以前の高校記録タイの好記録だったが、またも涙をのんだ。

石原はインターハイに続く快進撃を、「高校記録が出ればいいと思っていたのでうれしいです。井上さんが視界に入っていたので、がむしゃらに走りました。井上さんは後半も強いし、最後まで気が抜けない状態でした」と振り返った。高次元の競り合いが新記録を生んだといえる。

女子100mHの日本のトップ層は今や12秒台が当たり前。9月の世界選手権に3人が出場するなど、世界にチャレンジしていける種目。2年生ということもあり、来季は、と期待がかけられる石原は世界選手権を国立競技場で観戦し、大きな刺激と世界レベルとの距離感を感じたという。
「全部がうまくいったシーズンでした」と今季を総括した石原。100mで11秒台(11秒91)に突入したことも自信になり、「今季は前半から突っ込めるレースができるようになったので、後半さらに上げられるようになりたいです」と話す。来季の目標として、寺田明日香が持つ13秒05のU20日本記録の更新を視野に入れ、さらに「12秒台を出してみたいです」と夢を広げている。

石原と井上が好勝負を演じた国スポで3位に入ったのは、江口美玲(東海大相模高2年・神奈川)。自己ベストとなる13秒59をマークした。インターハイでは七種競技を5323点(高校歴代6位)で制覇。U20日本選手権は100mHを13秒63(-0.3)で制した。記録だけを見ると、石原とは差がある。13秒42の福田花奏(滝川二高1年)や自己記録が同じ二階堂咲(神戸山手高2年・兵庫)もいる。それでも、インターハイとU20で優勝した価値と自信はアドバンテージになる。

石原と井上も元は七種競技をやっており、2024年インターハイでは2人とも入賞している。江口の来季の種目選択が気になるが、今季のインターハイのように七種競技と100mHを兼ねても十分に2連覇や上位を目指せるだろう。

今季3度も高校記録が塗り替えられた100mH。来季、その記録は13秒29にとどまっていないはずだ。

文/中尾義晴 写真/黒崎雅久、宮原和也

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