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2025-12-16

【陸上】2026 Close UP!T&F 男子400mHのみならず多種目で活躍の光る"ダイヤモンドアスリートNaxtage”後藤大樹 自分の限界を決めず2年目も挑む

後藤は400mH、100m、400m、300mHなど多種目で活躍し、リレーでも高校新Vに貢献する走りを見せた(写真/黒崎雅久)

2025年のトラック&フィールドシーズンが終了。今季、秋以降にも各地から好記録の知らせが届いた。そのなかから、来季に向けて、注目の種目や選手を紹介。“どこよりも早い⁉” 2026年T&Fシーズン展望をお届けする。第六弾は、広島インターハイ男子400mHで高1初の49秒台をマークした後藤大樹(洛南高・京都)を紹介する。

ハイパフォーマンスと愛されキャラで洛南高のカンフル剤に

インターハイ陸上競技で男子総合優勝12度を誇る洛南高(京都)。在学中に100m10秒01で走った桐生祥秀(日本生命)や走幅跳で8m12を跳んだ藤原孝輝(東洋大院1年)、今年9月の世界選手権400mH代表の井之上駿太(富士通)らを指導してきた柴田博之先生を、底なしのスケール感で驚かせる1年生が現れた。

後藤大樹だ。その名を全国に一気に知らしめたのは、インターハイの男子400mH。49秒84という破格の記録(U18日本新、高校歴代3位=当時)で優勝した。これだけでも十分驚かされるが、後藤の場合、次から次へと好記録がついてくる。

100mを走れば、国スポ少年男子B準決勝で10秒49をマークし、決勝は10秒51で2位。U18大会の300mHは35秒44のU18日本新で優勝。400mでは10月に46秒80の高1最高記録で駆けた。また、インターハイでは4×400mリレーでアンカーを走り、3分07秒25の高校新Vを成し遂げた。

2024年の全日中男子110mH覇者の後藤は入学して間もないころ、柴田先生から「ヨンパーやってみないか」と言われ、「そうか、ヨンパーか」と思いながら、未知の種目にチャレンジし始めた。すると、51秒台、50秒台、49秒台……。著しい成長を遂げた。しかし、だからと言って、専門種目を400mHと決めず、さまざまな種目の練習を積み、試合も走ってきた。

「いろんな種目に、いろんなタイプの選手がいて、いろんなところが勉強になります。こういう走り方もあるんだ、とか、こういうやり方もあるんだ、とか。陸上はいろんな発見があるからおもしろいです」と後藤。加えて、「どの種目にも強い先輩がいる洛南は自分に合っていると思います」と言い、名門校でのびのびと競技を楽しんでいる。

では、そんな後藤の来季は? 国スポで100m決勝を走り終えた後藤に尋ねると、「400mHは来年以降もチャレンジしたいと思っています。200mは20秒台をまだ出していないので出したいという気持ちがありますし、今日は100mで負けたのでリベンジしたいなと。いろんなところに(やりたいことが)拡散している感じです」と率直な答えが返ってきた。

インターハイのマイルリレー高校新Vメンバーの3年生、安川飛翔や渡辺敦紀から「たいじゅ、たいじゅ」と呼ばれ、インタビューでコメントするたびに、先輩から突っ込みと笑いが入るなど、愛されキャラでもある。柴田先生が「後藤が入ってきて、チームのカンフル剤になっている」と言うのも、後藤の特性を表している。

種目だけでなく、目標タイムも決めないのが後藤流。「決めちゃうと、そのタイム以上は狙えなくなっちゃいそうなので、自分の限界を決めないようにしています」。洛南高の冬期練習を経た来春、後藤の可能性はどこまで広がっているのだろうか。

文/中尾義晴 写真/黒崎雅久

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