アメリカンフットボールの世界最高峰、米プロフットボール・NFLは、第60回スーパーボウルを目指すポストシーズンの戦いが始まった。現地1月10・11・12日(日本時間11・12・13日)の3日間にかけて、NFC、AFC両カンファレンスのワイルドカードプレーオフが行われ、AFCはビルズ、ペイトリオッツ、テキサンズが、NFCはラムズ、ベアーズ、49ersが勝ち上がった。また、試合の翌日、テキサンズに敗れたスティーラーズのマイク・トムリンHC(ヘッドコーチ)が、辞任を発表した。
レギュラーシーズン最高勝率のブロンコス(AFC)、シーホークス(NFC)を加えた4チームが、現地1月17・18日に開催されるディビジョナルプレーオフに臨む。
対戦カードは以下の通り。(米国東部時間、後のチームがホーム)
NFC(6位)サンフランシスコ・49ers vs シアトル・シーホークス(1位)1月17日(土) 午後8時(5位) ロサンゼルス・ラムズ vs シカゴ・ベアーズ(2位) 1月18日(日) 午後6時30分AFC(6位) バッファロー・ビルズ vs デンバー・ブロンコス(1位)1月17日(土) 午後4時30分 (5位) ヒューストン・テキサンズ vs ニューイングランド・ペイトリオッツ(2位) 1月18日(日) 午後3時 37歳と24歳、2人の1位QBの対決(NFC5位)ロサンゼルス・ラムズ〇34-31●カロライナ・パンサーズ(同4位) =1月10日@バンク・オブ・アメリカ・スタジアム、シャーロット

ラムズのQBマシュー・スタフォードとパンサーズのQBブライスヤングは共に、NFLドラフト全体1位指名の経歴を持つ。37歳と24歳、2人の1位QBの対決は、ラムズがパンサーズに競り勝った。ラムズのスタフォードが、第4Q残り38秒で、逆転のTD(タッチダウン)パスを決めた。
パンサーズは、序盤に14-0とリードされながら猛反撃。第4Qに2度にわたって逆転したが、最後は力及ばなかった。
QBスタフォードはパス24/42で304ヤード、3TD・1INT(インターセプト)。エースWRのプカ・ナクアは10回のレシーブで111ヤード、2TDだった。QBヤングは21/40、264ヤードで1TD・1INT、ラン24ヤード1TDだった。
ベアーズが18点差をひっくり返す(NFC7位)グリーンベイ・パッカーズ●27-31〇シカゴ・ベアーズ(同2位) =1月10日@ソルジャー・フィールド、シカゴ

ベアーズが、パッカーズに大逆転勝ちした。前半終了時点で21-3、第3Q終了時点で21-6とリードを許していたが、第4Qに25点の猛攻で、勝負をひっくり返した。
シカゴは第4Q早々、RBデアンドレ・スウィフトの5ヤードランTDで21-16と追い上げた。パッカーズは即座にWRマシュー・ゴールデンが23ヤードのTDを決め、27-16としたが、Kブランドン・マクマナスのエクストラポイントは左に外れた。
次のオフェンスで、ベアーズは76ヤードを進み、2年目のQBケイレブ・ウィリアムズ(2024年ドラフト全体1位)がオラミデ・ザッカウスへ8ヤードのパスTD。さらにTEコルストン・ラブランドへの2ポイントコンバージョンも決め、残り4分18秒で27-24と追い上げた。
パッカーズはその後シカゴ21ヤードラインまで攻め込んだが、マクマナスが44ヤードのFG(フィールドゴール)トライを右に外した。
ベアーズは、残り1分43秒でQBウィリアムズがD,J,ムーアへ25ヤードTDパスをヒットし、逆転した。
ベアーズは2010年にソルジャー・フィールドでシーホークスを破って以来となるプレーオフ勝利となった。パッカーズのQBラブはパス323ヤード4TDと活躍したが、勝利は得られなかった。
スリリングな第4Qが勝敗を分けた
(AFC6位)バッファロー・ビルズ〇27-24●ジャクソンビル・ジャガーズ(同3位)=1月11日@エバーバンクスタジアム、ジャクソンビル

前日のNFCの2試合と同様、この試合もスリリングな第4Qが、勝敗を分けた。両チームが記録した4TDのたびに、リードするチームが変わった。最後にTDしたのはビルズだった。
ジャガースLBデビン・ロイドが追いかける中、アレンは2ミニッツウォーニング直前に36ヤードのパスをWRブランディン・クックスに通した。そして逆転の1ヤードTDランを、力技のQBスニークで締めくくった。
追いかけるジャガーズだったが、最後のオフェンスシリーズ、最初のパスを、インターセプトされた。プロ入り後ベストシーズンを送ってきたQBトレバー・ローレンスの、この試合2本目のインターセプトだった。
ビルズQBアレンは、クイックリリースと早いプレー判断でジャクソンビルのパスラッシュを無効化した。パスTDは1本だったが、パス28/35で成功率は80%、273ヤード。ランでは11回33ヤードで2TDを決めた。被サックはわずか1回、ターンオーバーゼロのパフォーマンスを見せた。ジャガーズのQBローレンスはパス207ヤード3TD2INTだった。
イーグルス、スーパー連覇の夢消える(NFC6位) サンフランシスコ・49ers〇23-19●フィラデルフィア・イーグルス(同3位)=1月11日@リンカーン・フィナンシャル・フィールド、フィラデルフィア

9ersQBブロック・パーディが第4Q終盤にクリスチャン・マカフリーへ逆転の4ヤードTDパスを決めた。これが決勝点となって、スーパーボウル2連覇を目指したフィラデルフィア・イーグルスの夢は消えた。
第3Qを終えて16-10とリードされていた49ersはWRジャウアン・ジェニングスからマカフリーへのTDパスをトリックプレーで決めた。高校時代QBだったジェニングスは、2年前のスーパーボウルでも同様のプレーでTDパスを成功させており、今回のマカフリーへのパスで、パーディ、ジョー・モンタナ、スティーブ・ヤングと並び、ポストシーズンで複数回のTDパスを記録した49ersの偉大な先輩と肩を並べた。
イーグルスは、第3Qは16プレーで合計36ヤードしか進めず、第4Qと併せて後半はジェイク・エリオットの2FGでしか得点できなかった。
前回スーパーボウルのMVP、QBジェイレン・ハーツは168ヤード、1TDにとどまった。ハーツは、残り43秒で最後の4thダウン11ヤードでパスを失敗し、最後のドライブを終えた。イーグルスのRBサクオン・バークレーは106ヤードを走ったが、決定的な活躍はできなかった。
イーグルスはOC(オフェンスコーディネーター)、ケビン・パトゥーロに非難が集中しており、セインツのHCとして栄転した前任者(ケレン・ムーア)に続いて、1年で再びOCが変わる可能性がある。
ペイトリオッツ、2年目QBメイが躍動(AFC7位)ロサンゼルス・チャージャーズ●3-16〇ニューイングランド・ペイトリオッツ(2位) =1月11日@ジレットスタジアム、フォックスボロ

ペイトリオッツの2年目QBドレイク・メイが第4Qにハンター・ヘンリーへTDパスを成功させ、守備陣がチャージャーズのQBジャスティン・ハーバートを苦しめた。そして、ペイトリオッツは16-3でチャージャーズを破って、2018年シーズン(スーパーボウル優勝)以来のポストシーズン勝利を挙げた。
プレーオフ初出場のQBメイはパス17/29で268ヤードを獲得。さらにチーム最多となる66ヤードをランで稼いだ。メイはインターセプト1回とファンブルロスト1回を喫したが、チャージャーズはこのターンオーバーを活かせなかった。Kアンディ・ボレガレスが3本のFGを決めた。
ペイトリオッツはチャージャーズの攻撃をトータル207ヤードに抑え、QBハーバートを6回サック。うち1回はファンブルロストとなり、ペイトリオッツのTDに結び付いた。
チャージャーズがワイルドカードで敗退するのは2年連続。QBハーバートは19/31のパス成功で159ヤードを記録し、57ヤードのランでチームトップだったが、プレーオフでの成績は0勝3敗となった。
チャージャーズがプレーオフでTDを奪えなかったのは、2007年シーズンのAFCチャンピオンシップでペイトリオッツに21-12で敗れた時以来である。この時、両チームのQBはトム・ブレイディとフィリップ・リバースだった。
テキサンズ最強守備がスティーラーズ粉砕(AFC5位)ヒューストン・テキサンズ 30-6 ピッツバーグ・スティーラーズ(同4位) =1月12日@アクリシュア・スタジアム、ピッツバーグ

スコアだけを見ると、ワイルドカードゲーム最大の凡戦で、スティーラーズの惨敗だが、第3Qまで、状況は拮抗していた。
第4Q3分、テキサンズのエッジラッシャー、ウィル・アンダーソンJr.が、スティーラーズQBアーロン・ロジャースをブラインドサイドからサック。ファンブルしたボールをテキサンズDTシェルドン・ランキンスが拾い上げて、33ヤードを走りTDを決めた。この試合初めて10点以上の差がついた。
緊張の糸が切れたスティーラーズは、この後失点を重ね、結果的に大差のゲームとなった。NFL最強のテキサンズ守備陣は、スティーラーズの総獲得ヤードを175ヤードに抑え、後半だけなら81ヤードに封じた。デメコ・ライアンズHCは「球団24年の歴史で最高の守備パフォーマンスだった」と評した
テキサンズオフェンスは、予想外の選手が活躍した。WRクリスチャン・カークは8回のレシーブで144ヤード1TDを獲得。脳震盪で退場したエースWRニコ・コリンズの穴を埋めた。ルーキーRBのウッディ・マークスは112ヤードのラッシュを記録した。
スティーラーズにもチャンスは何度かあった。テキサンズQBのC.J.ストラウドは2度のファンブルと1度のインターセプトを犯した。しかしそのチャンスからはFGの3点しか奪えなかった。結局得点は前半にKクリス・ボズウェルが決めたFG2本のみだった。
スティーラーズのマイク・トムリンHCはこれでプレーオフ7連敗。内容も悪く、プレーオフで5試合連続10点差以上で敗北した初のチームとなり、個人としても、故マーティ・ショッテンハイマーと並ぶプレーオフ初戦9敗となった。
スティーラーズのQBロジャースは、21シーズン目の最後の試合は、パス146ヤード0TD1INTだった。最後のプレーはピック6(インターセプトリターンTD)だった。ロジャースの22年目があるかどうかわからないが、もしこのまま引退なら、現役最後のパスはピック6だったことになる。レギュラーシーズンの成績では、ロジャースはMVPを獲った回数(4回)よりも、通算被ピック6(3回)のほうが少なかったとされている。
試合後の会見で、ロジャースは「感情的な決断はしない」と述べて、去就は明言しなかった。一方トムリンHCは、自分の将来について問われると「今、そんなことは考えていない。試合でやれたこと、やれなかったことだけを考えている」と答え、別の質問には「チームをまとめ上げるという点では、私は常に楽観的に考えている」と話した。
トムリンHCがついに退任しかし、現地1月13日午後(日本時間1月14日未明)トムリンはチームを通して声明を発表し、19年間務めたスティーラーズのHCを退任することを発表した。2007年に就任以来19年間でレギュラーシーズン負け越しなし、193勝の超大物コーチ退任は、NFLに大きな余波を巻き起こしている。