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2026-01-14

【相撲編集部が選ぶ初場所4日目の一番】義ノ富士が大の里を撃破し連日の金星。琴櫻と安青錦の両大関にも土がつく

義ノ富士は、大の里に右差しを許しながらも、素早く左上手を取り、その方向に回りながら横綱を投げ捨てて、先場所に続く大の里撃破。3日目の豊昇龍戦に続き、2日連続の金星を手にした

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義ノ富士(上手投げ)大の里

2日続けて、まるでセカンドバッグでも持つように、分厚い懸賞の束を抱えて堂々と花道を引き揚げてくることになった。

義ノ富士だ。先場所と違って、相撲は理想的な流れではなかったが、今度はとっさの動きのよさを見せつけた。
 
きのうの豊昇龍に続き、先場所倒している大の里をまたも撃破。なんと2日連続の金星を挙げた。ちなみに2日連続の金星は、(そもそも横綱が一つの場所で2人以上出場する状況になったのがつい最近のことなので、ずいぶんさかのぼらねばならないが)令和2年初場所、西前頭筆頭の妙義龍(現振分親方)が、3日目横綱白鵬、4日目横綱鶴竜(現音羽山親方)を連破して以来のことだ。
 
先場所は、左を固めて当たり、一度ハジかれながらも左を差し勝ち、さらに右も入れてモロ差しになって一気に押し出すという理想的な相撲で勝った義ノ富士は、当然この場所も、「師匠からも、左を固めて右で起こして密着してから左を差しにいけと言われていた」と、同様な作戦を取った。
 
だが、今度は同じ展開にはならなかった。義ノ富士は立ち合い少し高くなってしまったのか、右を伸ばして大の里を突き起こすには至らず。その後の差し手争いで、右差しを許してしまった。
 
しかしそこで、「(先場所と)まったく同じには、100パーセントならない」という意識も持っていたという義ノ富士の体は、それも日ごろの稽古のたまものだろう、自然に動き、新たな攻め手を生み出した。義ノ富士は、左差しには固執せず、ならばと左に回って上手に手を掛け、すばやく大の里を振り回しに出たのだ。
 
この、素早い左への回り込みは、おそらく横綱も予想していなかったのであろう、せっかく右を差したが、しっかりした腰の構えを作って寄りに入る暇もなく、かつ、相手との間合いが空いたため、左からの攻めもほぼ無力化される形になってしまった。

「自分でも分からないけど、最後まで残れて体も開くことができた」という義ノ富士は、そのまま体をそらせて捻るようにしながら、左上手から大の里の大きな体を投げ捨てた。

「流れの中という感じだった。少し軽くなってしまった」

とは大の里だ。義ノ富士はこれで、大関に連敗のあと、横綱に連勝して2勝2敗の五分に戻した。「まずは勝ち越しです」と義ノ富士。横綱・大関戦を終えて五分の星になったということは、勝ち越し、ひいては新三役への道のりが、はっきりと見えてきたと言っていいだろう。
 
この日は大の里のみならず、大関琴櫻と新大関の安青錦にも土がついた。琴櫻は一山本相手に四つになりながら、両廻しを引かれて巻き替えに行ったところを出られて黒星。安青錦は得意の左下手廻しを取った腕を王鵬にがっちりとロックされ、身動き取れずにパワーに屈して浴びせ倒され敗れた。
 
豊昇龍は勝って、再び2横綱2大関が1敗で横並びとなった。ここまでの内容を見ると、その中では、本人も「悪くはないと思うので、また明日切り替えて、気持ちを作っていきます」という大の里と、安青錦が今後優勝争いの中心になっていく可能性が高いとは見るが、3人となった全勝力士(関脇霧島、平幕欧勝馬、阿炎)も含め、ちょっと混戦模様になってきた。
 
横綱・大関に挑む力士は、この日で義ノ富士らのターンが終わって、あすからは顔ぶれが変わる。その中では、義ノ富士に負けじと新三役に挑む伯乃富士が、今度は優勝争いのカギを握る存在になってくるか。

文=藤本泰祐

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