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2026-01-24

【相撲編集部が選ぶ初場所14日目の一番】安青錦が吹っ飛ばされ3敗。熱海富士と並び、4敗4人で千秋楽へ

大の里の右の突きに吹っ飛ばされた安青錦。これで3敗目を喫して熱海富士と並び、さまざまな可能性を残して千秋楽を迎えることに

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大の里(押し倒し)安青錦

大の里が右手一本で、優勝争いの先頭走者を吹っ飛ばした。逆に安青錦から言えば、右手一本で吹っ飛ばされてしまった、ということになる。
 
結びの、今場所不調をかこっていた横綱と、優勝争い先頭走者の大関の対戦は、意外なほど一方的に、短い時間で決着した。
 
大の里の右ノド輪がさく裂、安青錦をアッという間に倒してしまったのだ。
 
安青錦は立ち合い、左の廻しを狙ったのか、やや左にずれて立ったように見えた。しかし、これが却って、今場所左肩に不安があり、右での攻め一本にかけていた横綱の立ち合いの威力をまともに受けることにつながってしまった。
 
右の突きからノド輪がまともに入り、この日はいつものような低さもなかった安青錦は珍しくすぐ起こされた。大関が左に回ろうとするところ、左もハズで押した大の里は、そのまま右も伸ばして押し倒した。

「下半身がここ数日安定してきている。下に入ればいけるかなと思った。左が前に出てくれてよかった」と大の里。今場所は「途中連敗もあって、勝ち越しもどうかなと正直、自分でも思っていた」というが、「とにかく残り2番なんで、腹を決めて場所にきた」という吹っ切りもよかったのかもしれない。これで安青錦とは1差。まあ、横綱自身も「あした勝っても11勝4敗。(その成績は)優勝ではないのかなと思う」と言っているとおり、今場所の出来で優勝してしまっていいのか? と思うところもあるが、とにかく数字上、優勝の可能性を残した。逆に言えば、不調でもなお強し。ケガがしっかり治ったときには――。と思わせる今場所ではある。
 
安青錦は、この力士にしては珍しいことだが、まあ結果的には作戦ミス、ということになる。おそらくはこれまでの対戦を鑑みて、“何かしていかなければ”と思ったのだろうが、今場所に関しては普段の相撲を貫くべきだったのかもしれない。まあ、これは結果論ではあるけれども……。
 
この日は霧島と熱海富士の3敗対決では、熱海富士が霧島にモロ差しを許しながらも、パワーで挟みつけて攻め切り生き残った。
 
これで大関安青錦と平幕の熱海富士が3敗で並び、4敗で横綱大の里、関脇霧島、平幕の阿炎、欧勝海が追う形で千秋楽を迎えることになった。
 
千秋楽は安青錦は大関同士で琴櫻、熱海富士は欧勝海と対戦。大の里は横綱同士で豊昇龍、霧島と阿炎は4敗同士の対戦が組まれた。
 
4敗勢としては、安青錦と熱海富士の両方が負けた場合のみ、自身が勝てば優勝決定戦ということなので、まあそれほど可能性が高いとは考えられないが、もしラインが4敗に下がっての優勝決定戦になる場合には、最低でも4人、多ければ5人による優勝決定戦が、あり得る状況だ。
 
とはいえ、まあ可能性としては、安青錦と熱海富士がともに勝っての決定戦、になる可能性が最も高いだろう。あるいはいずれかが勝ち、いずれかが敗れての優勝決定か。
 
二人の優勝決定戦になると仮定すると、この対戦は、本割では12日目に当たって安青錦が完勝しているので、安青錦はおそらくそれと同様の狙いでくるだろう。まず低く当たって、その低さを生かして相手を起こしてから、廻しを取って攻めたい。
 
熱海富士のほうは、この14日目の霧島戦のような相撲を取りたいところだろう。立ち合いで少しはじいて相手の頭を上げ、その後自分の頭を下げて、同じ高さで挟みつけるように組めれば、パワーで攻め勝つことも可能だ。それを避けるためには、安青錦は慌てて組みにいかずに、しっかり相手を起こしてから組むという、12日目の成功体験を忘れない攻めが求められる。
 
とは言っても、まずは二人とも本割を勝たなければならない。安青錦は右を差されて起こされ、胸を合わされたり、左上手を与えて大きな相撲を取られないこと、熱海富士は差し負けて左四つになると危険だ。
 
二人の結果次第で、さまざまな結末が用意されることになった千秋楽。安青錦が新大関優勝で綱取りに王手を掛けるのか、熱海富士の静岡出身力士の初優勝か、あるいは大人数での決定戦か。決着のときは明日だ。

文=藤本泰祐

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