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2026-03-08

【相撲編集部が選ぶ春場所初日の一番】安青錦、若元春の変化にも全く動じず白星発進。大の里は敗れて不安なスタート

安青錦は若元春の立ち合い変化にも動じることなく、しっかり寄り切って白星発進。まずは綱取りへ1勝。あすは序盤のヤマの義ノ富士戦へと向かう

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安青錦(寄り切り)若元春

巷のスポーツニュースはほぼWBC一色のような状況の中だが、大相撲の春場所がきょうから始まった。先のミラノ・コルティナ五輪やWBCに負けないぐらいの盛り上がりを、皆の頑張りで呼んでほしいものだ。
 
そんな今場所の最大の焦点は、やはり大関安青錦の綱取りだ。もしも「リーチ一発」での昇進となれば、デビューから所要16場所は、年6場所制となってからの最速昇進(幕下付け出しを除く)、大関2場所通過は昭和以降、双葉山、照國に続き3人目、そして関脇1場所、大関2場所通過での昇進となれば、双葉山以来という快挙になる。それだけに、緊張感のあるであろう初日の若元春戦の土俵が注目された。
 
立ち合い。おそらくはそのあたりの精神状態に、さらに揺さぶりをかけようということだったのだろう、何と若元春は左に変化、いつも低い体勢の安青錦を叩き込みにきた。
 
だが、安青錦は落ち着いていた。「先場所も立ち合いにずらしてきたので、(変化も)ないとは思わなかった」と十分警戒。すでに、そういうときの立ち合いの力加減、そして引かれても落ちることなく、前に圧力をかけられる体の角度を会得しているのであろう。全く慌てず、そして上体の角度も変わらなかった。しっかり相手の動いた方向についていき、左ハズで攻め、右から突いていったん距離を取る。若元春は何とか得意の左をねじ込もうとしてくるが、廻しを取らせることなく、低い体勢のまま相手に圧力をかけて逆襲、変化したためやや重心が浮いている相手を全く危なげなく寄り切った。落ち着いた白星発進だった。
 
前場所の優勝者であり、綱取りも注目されるとあって、1月場所後から今場所前も多忙であったはずだが、この日の相撲を見る限り、調整不足は全く感じられなかった。相撲を取る稽古の番数の少なさは伝えられたが、それよりも基礎運動に重きを置いて仕上げてくるのがいつもの安青錦ペース。むしろ、綱取りだから、と焦ってペースアップするのでなく、自分流を貫いてきたところに、自信を感じさせる。
 
プレッシャーへの対処にしても同様で、「プレッシャーはあっても、それはあって当然のものとして受け止めていく」ということも語っており、場所も自然体で乗り切っていく構え。この日は、色が黒なので、先場所終盤から優勝時に締めていた師匠(元関脇安美錦の安治川親方)から譲り受けた廻しかと思いきや、そうではなく新調した締め込みで登場。

「新しく作っていただいたので。最後までどちらを締めるか迷ったが、新しく作っていただいたほうにしました」と、神経質にゲンのよさにすがることもない。その辺も、自信の現れとみることもできよう。
 
まずは順調なスタートを切った安青錦だが、あすは初顔から2連敗、先場所も攻め込まれて窮余の策の首投げで何とか逆転勝ちした苦手の義ノ富士との対戦。早くも序盤戦最大のヤマだ。「綱へ好スタート」と言えるのは、やはりあす勝ってから、ということにはなる。
 
この日、他の横綱・大関陣では、大の里が立ち合い右を差せずに引いたところを出られて若隆景に完敗。場所前に右ヒジを痛めたという手負いの相手にも完敗という内容には不安を感じさせた。豊昇龍は熱海富士に上手を取られて危ない場面もあったがしのいで白星、琴櫻も義ノ富士の攻めをなんとかさばいて勝利を挙げた。
 
安青錦にとっては、苦手の大の里が不調、対戦成績で優位に立つ豊昇龍や琴櫻との優勝争いとなれば、状況的には悪い形ではないはず。場所の趨勢は、歴史的な新横綱誕生へと流れていくのか――。まずは、あすの義ノ富士戦が、注目の一番となる。

文=藤本泰祐

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