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2026-03-12

DDT3・22後楽園でユニバーサル王座に初挑戦の須見和馬インタビュー①「僕が求めているものの道筋を築くためにこのベルトはほしいんです」【週刊プロレス】

DGCで初優勝を果たした須見

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若手によるシングルリーグ戦「D GENERATIONS CUP 2026」で初優勝を果たし、3・22後楽園ホールで佐々木大輔が保持するDDT UNIVERSAL王座に挑戦する須見和馬。団体の中でも小さい部類に入る体でありながら、着実に経験値を高めることで実績をあげられるようになった。タイトルマッチの意気込みとともに、自身の足跡に基づくプロレス観についても聞いてみた。(聞き手・鈴木健.txt)


寝起きでもできる技と、みんなが
やるからこそのスク~ルボ~イ

――須見選手は2022年10月23日にデビューし、次の後楽園でキャリア3年5ヵ月となります。プロレスラーとなる前に想定していたのと比べて、自身の現在地はどう映りますか。

須見 僕がデビューして一番怖かったのが、何よりもケガをすることだったんです。だから、まずケガをすることなくここまで来られたのは嬉しいですよね。あとは、3年で独自の技ができるようになったのも嬉しい…と考えると、想定以上になっているんですかね。

――3年半弱でこれほどの実績をあげているのは、順調と言えるでしょう。

須見 うーん…今だから言えますけど、デビュー当初はもうちょっといけると思っていたんで、順調に来ているという実感はあまりないんですよね。

――いつでもどこでも挑戦権行使とはいえKO-D無差別級王座に挑戦し、1月3日にはメインでKO-D6人タッグ王座にも挑戦して、その上でのD GENERATIONS CUP優勝ですから、ザッとあげるだけでも着実にチャンスが増えています。

須見 確かに、自分も“いつどこ”あたりからチャンスが増えてきたなとは思っていました。デビュー1年目は第1試合や第2試合に組まれることが多くて、2年目に入ってもセミファイナルやメインに出られなかったんです。そこで、自分なりにどうしたらいいかと考えた結果、もうとりあえず練習をするしかないと思って。チャンスって、いつ来るかわからないじゃないですか。だから今は、それに向けて準備をしておこうっていう気持ちでやってきました。だからこうしてチャンスが来た時に、それに応えられたなっていうのはあります。

――それぐらいのキャリアで準備する意識を持つというのも素晴らしいですよ。普通は若さゆえにあせってしまうものですが、先を見据えてやっていたと。

須見 その頃から、僕は寝る前に自分が無差別に挑戦するとか、いい試合をやって上にいく姿を想像していました。こういうのをやりたいな、こういう技を使ったら面白いんじゃね?って。でも頭の中で想像しただけではできないですから、それを形にするためのことを今のうちにしておこうと。

――まだまだ若いし時間があるから…と、のんびり構えてはいなかったんですね。

須見 はい。でも、焦ってもいなかったんで自分のペースでやってはいましたね。周りの風景はどんどん変わっていくけど、あせったところで仕方がないじゃないか、自分がやっていることが正しいんだって、自問自答しながら続けました。

――須見選手は入門した時点で他の選手よりも体が小さいというハンディを背負っていたわけですが、みんなの中で練習するにあたり何か心がけていたことはあったんですか。

須見 なんですかね…技の出し方かな。MAOさんに言われたのは、プロレスは100%を出すのではなく、6を10にするんだと。だから寝起きでもできる技しかやるなっていう教えだったんです。スワンダイブだったらスワンダイブを寝起きでもできる…それぐらい意識することなく体が自然に動いちゃう感覚を養えということです。ストレッチで体をアップしたら、一発で難しい技もできるっていうのを意識しました。

――実際、今出している技は寝起きでもできるんですか。

須見 できます。普段から寝起きでも出せる技しかやっていません。

――リバース450°スプラッシュも?

須見 気持ち的には寝起きでできます。その中から、自分に合った技をセレクトしていった感じです。よく、運動神経がいいですねって言われるんですけど、実を言うと自分的にはあまりよくないと思っていて。後方のひねりとか、高く飛ぶとかが正直、苦手で。

――とてもそうは見えませんよ。

須見 だから苦手なことは最低限できるようにして、あとは自分の得意なことを伸ばした感じですかね。

――でも器械体操という下地があったんですよね。

須見 器械体操も全然結果を残していなかったですから。だからこそ、自分でもできる最低限のことを体に染み込ませる上で、寝起きでもできるという教えは合っていたんですよね。

――そしてそれがレスラーとして自分の個性になったと。

須見 はい、つながりました。やっぱり、周りがあれほど個性の立っている人たちばかりですから、そこは本当に考えました。その中でこれだ!と思ったのがスクールボーイだったんです。あの技って、若い選手は絶対に使うんですよ。自分より強い相手に勝とうとするために。そこでみんながやるから使わないのではなく、みんながやるからこそ逆に個性を足したら面白いんじゃないかと思った時に、それをやっていたのがMIKAMIさんだったじゃないかと思って。

――スクールボーイを“スク~ルボ~イ”にすることでオリジナルの技に昇華させた先人です。

須見 だからプロレスラーになって最初に磨いた技がスクールボーイでした。その上で、スク~ルボ~イを継承させていただきたいと申し出たんです。正直な話をすると、僕はファン時代、MIKAMIさんのことを見ていなかったんです。でもDDTに入って、周りからMIKAMIさんのようにやったらいいんじゃないの?って言われて、MIKAMIさんの動画を見てこれだ!ってなったんです。あとはデビュー1周年でMIKAMIさんとシングルマッチをやらせていただいて(2023年10月22日、後楽園ホール。スワントーンボムでMIKAMIの勝利)、スク~ルボ~イという技の凄さを知って、そこから頑張って磨き始めました。それまでは、飛び技の方が練習することが多かったんです。それこそリバース450°スプラッシュは、けっこう最初の段階でトライしていたんですけど、何回やってもできなくて。それで、これは無理だって一度は諦めたんですよね。そういう中でスクールボーイというシンプルな技があるよな、これはどう使ったらいいんだと思っていた矢先にMIKAMIさんからアドバイスをいただいて。

――スクールボーイに着眼したのも唸らされますが、まだ若手の頃からリバース450°スプラッシュというあまり使われない技が頭にあったというのも驚きです。

須見 もともとファンの頃からファイアーバード・スプラッシュが好きで、プロになってからやろうと思っていたんですけど、MAOさんにやりたいんですけどどう思います?って聞いたら「絶対ダメ!」って言われて。なぜかというと、小さいやつが飛んでも面白くないだろうって。

――まあ、当たり前に映るでしょうからね。

須見 それでMAOさんが「じゃあ、630°スプラッシュをやってみなよ。それだったら凄いってなるから」って言われたんですけど、無理無理!と思って。それで、じゃあどうしようかとなった時に、リバース450°スプラッシュという技があるからって教えてもらったんですけど、それも聞いただけじゃ絵が浮かばなかったんです。

――見たことがなかったんですね。

須見 そうなんです。こうこう、こう飛ぶんだよと教わって練習を始めたんですけどまったくできずで。

――あれはエル・ブレイザーというマスクマンが「ライトニングストラック」という名称で使っていました。

須見 それも知らなかったんです。調べて最初に出てきたのがウィル・オスプレイでした。そこで、日本人で使っている選手がいないから絶対にやった方がいいって思いました。

――それほど前から頭の中にあった技を、あのタイミング(9・28後楽園のいつどこ権を行使して上野勇希に挑戦した無差別級戦)で出したのは?

須見 やらなかったんじゃなく、できなかったからです。本当に何度やってもできなくて実際、諦めていたんです。それで代わりというわけじゃないけど、ライオンサルトはずっと使っているんで、それにひねりを加えてみようと思ってやったらできた。ただ、10回やって10回ともできる気にはなれなくて、それも諦めて。それでスク~ルボ~イだけやっていたら、ある日の練習で「須見、飛び技練習してみて」って急に言われて、じゃあリバース450°もちょっと試してみるかと思ってやったら、できはしなかったんですけどはじめの頃よりも手応えを感じたんです。怖さもなければ高さにも慣れていて、それでもしかするとできるんじゃないかと思って練習を再開しました。だからあの試合の直前ですよ、できるようになったのは。

――そしてあれが、試合で出した一発目。

須見 そうです。チョー怖かったですけど。後ろ向きだから距離は取りづらいし…というか取れないんで、信じるしかないんですよ。

――自分の目測を信じるしかない。

須見 あとは「どうにでもなれ!」ですよ。

――いやー、その話を聞くとあれほどきれいに決まったのは凄いですよね。あの技一発によって、須見和馬というプロレスラーの評価がグンと上がったと思われます。そして1月3日のKO-D6人タッグ戦(MAO&KANONと組み、上野&To-y&武知海青に挑戦)がさらに爆上げさせる内容になりました。須見選手の動きが、あの試合ならではのグルーヴ感を生じさせたと思います。

須見 いつどこを別とすると、あれが後楽園初メインだったんで緊張しましたよね。手応えはありましたけど、負けちゃったんで…隣にMAOさんとKANONさんがいるんだから、絶対に勝てると思っていたのに僕が負けてしまって、申し訳ない気持ちになりました。

――いやいや、あれほど後楽園を熱狂空間にしたんですから。

須見 それ以上の自信になったのは、あれほど動いて、疲れて、それでも動けたことでした。リバース450°もかわされはしましたけど、形としては完ぺきだったし。

――疲れてからどれほど動けるかで、プロレスラーは自信がつきますよね。

須見 やっぱりタイトルマッチだったりメインだったりすると、空気の違いだけで疲れるんだなって思いましたよね。あの日は入場しただけで、あれ? なんか疲れが…って思いました。それで最後まであれほど動けたのが手応えでした。だから、そこで自信をつけて臨めたのが、今回のD GENERATIONS CUPだったんです。ブロック分けの発表があった時点で、To-yさんが同じだったんで1月3日に負けた借りを返そうってなりましたし。まあ、公式戦は負けてしまったんですけど、今年は自分が優勝できるという確信もありました。

――下馬評では優勝経験のある正田壮史選手や、DDT EXTREME王座とKO-D6人タッグ王座の2冠王ということでTo-y選手が有利と目されていましたが、それでも自分を信じることができたんですね。

須見 去年の僕はスク~ルボ~イしかなかったですけど、今年はリバース450°もあるわけだし、この1年間では自分が一番成長してきたという自信もあったので、絶対にいけると思っていました。でも、リーグ戦自体は自信があるのに、いざ試合となると不安になるという。それが逆に肩の力が抜けて、初めて試合中はずっと楽しいって思えたんです。それぐらいいつも緊張ばっかしていたから。それこそ1月3日の前日は寝られなかったのに対し優勝戦はちゃんと寝られて、大会が始まって第3試合ぐらいまでまったく緊張しなかったから逆にヤバいんじゃないかと思って、あえて自分にプレッシャーを与えた結果、試合中は楽しかった。

――確かに楽しんでいるのが伝わってくる動きでした。ただ、須見選手はデビュー戦の時点でそれが体から出ていた気がします。場慣れしているというか、はじめから動作がスムーズだったと記憶しています。

須見 本当ですか? いや、実はデビュー戦もメッチャ緊張したんですよ。

――だから先ほどから緊張という言葉が出ると、ちょっと意外に感じるんですよね。

須見 それで言ったら、やっぱり優勝できた瞬間が一番楽しくて、それで自分は何も緊張なんてすることはないんだっていうのが、このD GENERATIONS CUPで学んだことですね。



本気の佐々木大輔と闘って
勝たなければならない王座戦

――同じ世代の中で一番となったことに関しては?

須見 それも自信につながりましたけど、プロレスって1位になることがゴールではないじゃないですか。リーグ戦が盛り上がったんだから、これから僕らでやっていくD GENERATIONS興行はもっと盛り上げないといけないという思いが強かったです。

――D GENERATIONS世代の選手たちって、どんな雰囲気なんですか。

須見 シンプルに、みんな仲がいいです。仲がいい相手にこそ負けたくないってみんな思っているんじゃないですか。なんていうんですかね…こいつの全力を受け止めたい!っていう気持ちになるというか。100%の蹴りを受けたいし、その先に勝ちたいという思いもある。D GENERATIONSが熱いのは、それがあるからです。

――横のつながりと、向き合った時の闘いのバランスが非常に理想的だなと、見ていて思います。

須見 そういう距離感が築かれているんでしょうね。人間関係的にギクシャクもしていないのに、ちゃんと勝ちたいと思えて、負けたら悔しいって本気で思える。相手に対するリスペクトをそれぞれに持っているから仲がいいんだと思います。

――須見選手は誰が一番、仲がいいんですか。

須見 みんないいですけど…強いてあげるならTo-yさんと佐藤大地はよく話す方です。向こうはどう思っているかわからないけど。

――To-y選手とは円滑なコミュニケーションがとれている?

須見 とれていると思いますよ。お互いが会話を流しているんで、何も気になることなく終わります。「今日は疲れましたねー」「うぃー」みたいな軽い感じの。

――そんな世代の選手たちを代表してDDT UNIVERSAL王座に挑戦するわけですが、よりによって相手が…。

須見 D GENERATIONS CUPが発表された時点では、UNIVERSAL王者って上野さんだったんですよ。だから無差別級の時とベルトは違うけど、優勝したら上野さんとやれるんだなと思っていたら…まさかのこれですよ。ただ、後楽園の3WAYタイトル戦が凄かったじゃないですか。だから佐々木さんに挑戦するのも絶対に面白いなと思ったら、握手でだまし討ちを食らうわ、そのあとの前哨戦でも佐々木さんの強さを見せつけられるわで。

――巧さやズルさよりも強さを感じた?

須見 強さでした。カリスマの怖さを知りましたね。優勝戦後、佐々木さんが出てきて「プロレスはガキの遊びじゃねえんだ!」って言われたから、自分はガキじゃないっていうことを見せつけてやるつもりだったのが、まったく相手にさえされなかった。だから、まずは佐々木大輔を振り向かせないとUNIVERSALも始まらない。これから前哨戦も続くんで、その中で振り向かせて、タイトルマッチでは本気の佐々木大輔と闘って勝たなければと思っています。

――カリスマはまだ本気を出していないと。

須見 それは試合をやる中で嫌というほどに伝わりました。あの人が本気になったら、なりふり構わないことをやってくるはずです。今の時点でも怖さがあるというのは、そういう何をやってくるかわらないところなんです。それこそ、こちらの想像できないようなえげつないことをやれる雰囲気を常に出しているというか。僕はデビューしてから、自分よりも大きな相手と闘うことが宿命のような中でやってきました。だから、大きい人とやっても恐怖心は抱かないんですけど、自分とそう変わらない身長の佐々木さんこそそれを感じてしまう。相手がデカければ、やる前から「じゃあ、その攻撃を耐えればいいんだ」ってわかるものじゃないですか。佐々木大輔は、何をやったらいいか今の時点でつかめていないし、また何をやっても返されてしまう。ティヘラを出してもうまいこと向こうの技につなげられて、どう攻めたらいいのかも今の時点ではつかめていないのが正直なところです。

――2023年6月13日に浅草で1度だけシングルマッチをやっていますね。

須見 まだキャリア7ヵ月ぐらいですか。その時って、タッグタイトルマッチの前哨戦か何かでTo-yさんがけっこう闘っていたんです。それを見て「うわー…こええ」と思っていて、案のじょうやったらまったく歯が立たなかった。その印象がいまだに残っている。向こうはそれを憶えていたから「ガキの遊びじゃねえんだ」と言ったのかもしれないです。

――UNIVERSALのベルトに関しては、どのような価値を持っていますか。

須見 僕の中ではMAOさんがその価値を築いてきたベルトという受け取り方です。KO-D無差別級はDDTの強さを、EXTREMEはDDTの面白さを見せるタイトルで、UNIVERSALは他団体や外国人と闘うイメージ。だからこそ持ちたいんです。それこそ僕は、ずっとメキシコにいきたいと言ってきたし他団体の選手とも闘いたい。今のままメキシコにいってもただの日本人・須見和馬じゃないですか。でもチャンピオンだったら見方も変わるんで、その道筋を築くためにもこのベルトはほしいんです。それにDDTの中でも、僕が持てばD GENERARIONSの中でタイトルを懸けて闘えるじゃないですか。

――無差別級戦の時とは気の持ち方や目的意識は違うと。

須見 無差別級の時はいつどこ権をその日に獲って、何も考えず勢いでいったんで、今回の方がやる前の緊張がありますよね。あの時は、無差別級に挑戦するイメージも何もなくて、どのベルトというよりも上野さんに挑戦する意識の方が強かった。今回は、タイトルマッチまでけっこう時間がある分、いろいろ考えちゃいますよね。本当なら、D GENERATIONS CUPに優勝して、パッと挑戦したかった。この期間、いらないよって思います。

――まあ、これがタイトルマッチというものです。

須見 学校の受験を思い出しました。

――ましてや先ほど申した通りD GENERATIONSの代表として挑戦するわけですし、当日は団体の29周年記念大会ということで注目も集まっています。プレッシャーをかけるわけではないですが。

須見 そういうことを言われて、To-yさんと話す時のように流すという。

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