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2026-05-14

【相撲編集部が選ぶ夏場所5日目の一番】前日の反省生かして。一山本がこの日は結びで大関撃破に成功

前日の反省を生かし、相手の引きに乗じて最後はしっかりと押し出し、大関琴櫻を破った一山本。念願の新三役へ向け、これがターニングポイントとなるか

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一山本(押し出し)琴櫻

最後は堂々と正面から大関を押し出し、「どうだ!」と言わんばかりの表情をつくった。
 
きのうの結びの一番では、霧島を土俵際まで攻めながら、叩きに屈した一山本が、この日の結びでは、琴櫻の引きに乗じてしっかりと攻め、今度は大関撃破を果たした。
 
立ち合いは低く当たった一山本がまず攻めたが、すぐに右からのイナシで体勢を入れ替えられた。一山本は俵に足が掛かったが、ここで引きに走ることなく、頭を下げて押し返し、さらに突き返した。この突きで上体が起き加減になった大関は、ここからは何とかかわそうという相撲になってしまう。右から、左からとイナシを狙うがならず、最後はまともな引き。一山本はすかさずついていって押し出した。

「立ち合い当たって、横に動かれたときも、しっかり反応できた。最初は(相手の)上のほうしか押してなかったけど、最後は下からハズに入って押せた。土俵際も、僕にしてはヒザが曲がっていた」と一山本は振り返った。
 
一山本にすれば、前日の反省を生かしての勝利でもあった。きのうは「取組前に目に入ってしまった」という分厚い懸賞金の束も、この日は、「ダメだと思いつつ見ちゃいました。どうせだからとガン見しました(笑)」とずぶとさを発揮した点が一つ。まあこれは一山本らしいリップサービスで、半ば冗談だろうが、相撲内容のほうでもしっかり反省を生かしていた。「最後も変に頭を下げることなくいきました。きのうはそこがダメだったので、反省を生かして」(一山本)。これがこの日の結びでの白星につながった。
 
いずれにしても、この2日間、一山本が大関相手に引かせる相撲を取っていることは事実。それだけ突き押しに圧力がついてきたということは頼もしい。今場所は3日目に琴勝峰相手に左上手を取って食い下がるなど、四つ身でも取れるように相撲の幅を広げてきている一山本だが、やはりこの人の本道は突き押し。幕内下位にいたときは、上突っ張りで攻めておいて、自分が引く相撲だったが、攻めの威力を増したことで、突っ張って相手に引かせる相撲に変わってきた。
 
これで2勝3敗。残す三役戦は(休場力士がこのままだと仮定して)若隆景戦のみで、あとは平幕相手なので、勝ち越しの可能性も十分。今場所は西前頭2枚目なので、そうなれば新三役も見えてくる。「三役は常に狙っている。上位の人に勝っていかないと(三役は)ないと思う」と、そこへ向けても気合満々だ。
 
一方の琴櫻は、初日、2日目と連敗のあと、3日目、4日目と好内容で連勝し、エンジンがかかってきたかと思われた矢先の、再度の黒星先行。優勝争いへの参入は、ちょっと難しい感じになってきたか。
 
この日は、4日目まで全勝だった3人のうち、若隆景が隆の勝に叩き込まれて土がつき、全勝が霧島と琴栄峰の2人、1敗で若隆景、豪ノ山、藤青雲、翔猿、若ノ勝、藤凌駕の6人が追う形となった。好成績者に新進気鋭の若手が多いのは楽しみではあるが、再び「霧島を追うのは誰か?」という場所になりつつあると言えようか。この日敗れた若隆景がもうひと踏ん張りしないと、味気ない優勝争いの場所になってしまう可能性も出てきた。

文=藤本泰祐

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