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2026-05-18

【相撲編集部が選ぶ夏場所9日目の一番】若隆景が調子を上げてきた琴勝峰に敗れ2敗。翔猿も敗れ、再び霧島が単独トップに

若隆景は苦手な琴勝峰に上体を起こされ、寄り切りに敗れて2敗目。再び霧島とは1差に。琴勝峰はこれで5連勝と調子を上げてきた

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琴勝峰(寄り切り)若隆景

トップ横並びの状況は、たった1日にして崩れた。
 
まず幕内前半の土俵で翔猿が今場所好調の琴栄峰に押し出されて2敗となったあと、後半戦に入って、若隆景は琴勝峰に見せ場なく寄り切られて2敗。土俵に顔面を打ちつけながらも若元春を寄り倒しに降した大関霧島が、再び頭一つ抜け出した。
 
きのうを終わった時点では霧島とのマッチレースの展開も予想された若隆景だが、この日の相手の琴勝峰はやはり鬼門だった。実は過去の対戦成績は1対4と、一度しか勝ったことがなかったのだ。この1年では対戦は一度だけと最近はあまり当たっていないので、これはさほど参考にはならないという見方もできる一方、最近の本格化より前の琴勝峰にこれだけ負けているのでは、今ならさらに勝ちづらいのでは? という予測もまた成り立った。
 
そしてこの日の相撲は、やはり若隆景が琴勝峰を苦手にしている理由が見えるような内容だった。どうも、若隆景最大の武器である低さが、琴勝峰にはうまく無力化されてしまうようなのだ。
 
この日も立ち合いは、若隆景のほうが低い角度と速さで当たり、いいように見えた。しかし「中に入れさせたくなかったので」という琴勝峰は慌てず受け止めると、左、右と突いて押し返したあと、右を差しにくるところを強烈に押っつけ、さらに右では相手の顔を突いて上体を上げていく。若隆景は左に回りながらなんとか上手に手を掛けたが、琴勝峰は右ヒジを張ってこれを切りながら、左でハズ押し。潜らせないように距離を保ちながら、そのまま寄り切った。
 
基本的には大きな相撲で潜らせず、しかし廻しを切る辺りには細かい技も盛り込む。まさに琴勝峰にとっては理想的な相撲だったと言っていいだろう。このように、自分より小柄な相手には大きな相撲を、自分より大きな相手には技を利かせた細かい相撲を取れるところが、琴勝峰の魅力だ。これで5日目から5連勝と調子を上げてきた。後半戦は優勝戦線のキーマンになってきそうだ。

「先に攻められてしまった。(体の状態は)悪くないと思うので、しっかり集中して残りも取っていきたい」とは若隆景。トップ並走は崩れたとはいえ、まだ霧島とは1差。直接対決を残しているだけに、これからだろう。
 
優勝争いの情勢は、9日目を終わり、大関霧島が1敗で単独トップ、2敗で小結若隆景、平幕の豪ノ山、琴栄峰、翔猿、藤凌駕の5人が追う形となった。
 
力のある熱海富士と琴勝峰の両関脇が調子を上げてきたので、このあとまだもうひと波乱、という可能性もないとは言えないが、状況的には、霧島としては「若隆景との直接対決にさえ負けなければ……」という形になりつつあり、賜盃レースは再び霧島有利なものに戻ったと言えようか。

文=藤本泰祐

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