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2026-05-19

【相撲編集部が選ぶ夏場所10日目の一番】41歳玉鷲、必死の押しでついに初白星。幕内残留へ望みつなぐ

玉鷲は得意の右ノド輪から懸命の押しで朝白龍を押し出し、ようやく今場所の初白星。幕内残留へ、ここから白星を連ねていけるか

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玉鷲(押し出し)朝白龍

持てる力を振り絞って、相手を土俵の外へと押し出し、勝負が決まると、少し天を仰いで息をついた。
 
長かった。
 
41歳の玉鷲が、10日目にしてようやく、幕内通算100場所目の1勝目を挙げた。
 
この日は朝白龍との対戦。朝白龍も、ここでモンゴルの大先輩に対して逃げるわけにはいかないという気持ちがあったのだろう、左前ミツ狙いで踏み込んできた。玉鷲ももちろん、そこに頭から突っ込んでいった。まずは右から突いて相手の廻しを阻止すると、2発目ではその右で相手のノド元をとらえた。得意の右ノド輪でグイグイと押し、左でも相手の腕のつけ根辺りを押して出た。
 
今場所痛めている右足は、やはり踏ん張りがきかないのか、さほど使えてはいないように見えたが、それでも左足を後ろにして支えて懸命に押し、最後は黒房下に押し出した。

「強かったです」と朝白龍。
 
玉鷲は、「初白星まで長く感じたか」と問われ、「どんなコメントを言うか、自分でも……。確かに長かった」と答えた。「何回もいい相撲があった。そこで勝てないから苦しかった」と、鉄人をもってしても厳しい道だったことを明かした。
 
それでも「ホッとしてはいない。相手との戦いより、自分との闘い。見えないものが見えるようになった」と、ベテランはこの経験をもまだまだ糧にしていくつもりだ。
 
これで幕内通算勝ち星は713勝となり、元横綱の日馬富士を抜いて歴代単独8位となった。もう1勝挙げれば、元横綱稀勢の里と並んで歴代7位となる。
 
ただ、今の玉鷲にとっては、そんな記録よりも、まずは幕内を維持することが大命題だ。今場所は西前頭13枚目で、下には3枚半。幕内残留へはできれば残り全勝の6勝、幕内下位や十両上位の成績が運のいい形できた場合に可能性を残すためにも最低5勝はしておきたい。つまり、この後も、通算900勝となる5勝目、幕内通算で言えば元大関琴奨菊と6位タイの718勝となる6勝目へと、星を重ねていかなければならないのだ。41歳の厳しい戦いは、あすも続く。
 
優勝争いのほうは、単独トップに立っていた霧島が正代のタイミングのいい叩きを食ってまさかの2敗目。一方、きのうまで2敗だった5人は揃って勝ち越しを決め、なんと霧島、若隆景、豪ノ山、琴栄峰、翔猿、藤凌駕の6人がトップに並ぶ形となった。
 
あすはいよいよ霧島と若隆景の直接対決が組まれたが、優勝争いの天王山かと思われていたこの一番が、一転、負けたほうが大きく後退することになるサバイバル戦の位置づけになった。今のところ、2敗の中で番付上位の3人を比較すると、実績の霧島、今場所の相撲内容では若隆景、残す対戦相手の顔ぶれでは豪ノ山、という感じだが、さてどうなるか。
 
あすはこの霧島-若隆景の決戦のほか、幕下最初の一番で大森対旭富士という注目の一番も。ファンにとっては、ワクワクの一日になりそうだ。

文=藤本泰祐

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