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2020-01-25

相撲編集部が選ぶ初場所14日目の一番 德勝龍(突き落とし)正代

この日は令和になって初めての天覧相撲。幕内後半戦から天皇皇后両陛下と愛子さまがご観戦になられたが、前半戦に正代-德勝龍の1敗対決が組まれた。相撲好きの愛子さまは、この相撲をご覧になりたかったのではないか。

※写真上=攻め込まれながらも必殺の突き落としで正代を降し、単独トップに立った徳勝龍
写真:月刊相撲

 優勝の行方を占う大一番。過去の対戦は4年前の一度だけで、正代が寄り切って勝っているが、昔のことだけにあてにはならない。モロ差し狙いの正代に対し、德勝龍は突き放していきたいが、どうなるか。

 軍配が返り、先に手をついて待つ正代。立ち上がるとすぐに左四つに組み合った。德勝龍が右上手から投げを打とうとしたところ、正代は前に出ながら、右を差し込んでモロ差しの体勢。その瞬間、德勝龍は左から強烈に突き落とした。バッタリと落ちる正代。德勝龍は大きく息を吐き出し、気合の入った表情を見せた。

「出し投げにいったら、ついてこられた。不細工な相撲だった」と振り返る德勝龍。しかし、必殺の突き落としで単独トップに立った。

「優勝は全然意識してないんですよ。千秋楽も思い切りいくだけ」と平静を装う。

 敗れた正代は、「勝ち急いでしまった。以上」と言うと、あとは無言。たしかにモロ差しになってひと呼吸入れて、廻しをしっかり取ってから攻めれば、あの突き落としは食わなかっただろう。しかし、まだ正代にもチャンスは残っている。

 2敗の貴景勝は朝乃山に敗れて、優勝の可能性は消えたが、千秋楽結びの一番で德勝龍との対戦が組まれた。正代は7勝7敗の御嶽海と対戦。正代が負ければ、その瞬間に德勝龍の優勝が決まるが、勝てば決定戦になる可能性が高い。貴景勝も幕尻相手に負けるのはプライドが許さないだろう。

文=山口亜土

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