幕内優勝を争う1敗、2敗力士5人がこの日も全員白星を挙げ、状況は変わらず。
※写真上=大栄翔の突っ張りに後退するも、逆襲に転じて押し出し1敗を守った正代
写真:月刊相撲
最初に登場した2敗の輝は、ワキを固めて栃煌山に差させず押し出し、1敗の德勝龍は碧山に寄られながらも、逆転の突き落とし。物言いのつく際どい相撲も、德勝龍の足は残っていた。2敗の豊山も会心の相撲で松鳳山を押し倒した。
1敗の正代の相手は新小結の大栄翔。対戦成績は大栄翔が3勝2敗とリードし、この1年で大栄翔は大きく成長している。正代は胸を出して当たる立ち合いだけに、突き押し相撲の力士にとっては的が大きく取りやすく、苦戦が予想された。
案の定、正代は左ノド輪で起こされ、突っ張りに後退。しかし土俵際、危機一髪のところをつま先立ちで残すと逆襲に転じた。大栄翔の引きにも足がよくついていき、追いかけて押し出した。
「立ち合いは当たれたけど、そのあとはずっと相手のペースで攻められなかった。余裕がなかった」と振り返ったが、攻められてもヒザが曲がって、ヒザが前に出て、ヒザに余裕があったから残せたのだと思う。このヒザのバネの強さは正代の天性のものだ。
初優勝が現実のものに近づいてきたが、「緊張するので、考えないようにしています」と言う。12日目の対戦は小結阿炎で、これで役力士との対戦は終了。しかし、遠藤、御嶽海など強敵も残っている。正代が有利であるが、残り4日でどうなるかわからない。
結びで宝富士を圧倒し、2敗を守った貴景勝も、虎視眈々とチャンスをうかがっている。
文=山口亜土