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2019-09-15

相撲編集部が選ぶ秋場所8日目の一番 貴景勝(押し出し)御嶽海

5日目から平幕に3連敗した鶴竜が左ヒザの不調を訴えて8日目から休場。すでに白鵬が2日目から休場しているので、4場所ぶりに横綱が不在となってしまった。

※写真上=因縁の相手、御嶽海を押し出して快勝した貴景勝
写真:月刊相撲

 大関に復帰できるか注目される貴景勝は、6日目に行司の足を踏んでバランスを崩し、初黒星を喫すると、7日目は千代大龍の立ち合い変化にバッタリと落ちて連敗。この日は夏場所の対戦で右ヒザを負傷した御嶽海戦を迎えた。

 貴景勝は御嶽海に分が悪く、これまで4勝7敗。夏場所は勝利したものの、慣れない四つ相撲を取ったことがケガにつながった。嫌な気持ちもあるかと思われたが、「それはないです。自分が悪くてケガをしたので、相手は何も悪くない。何も気にしなかったです」と語った。

 手をついて待つ御嶽海に対し、自分の呼吸で立った貴景勝。低く強い当たりで御嶽海の上体を起こし、モロ手突きから前進。電車道で押し出した。

 やや立ち遅れた御嶽海は、「立ち合いのミスです」とひと言。立ち合いで駆け引きせずに、相手のタイミングで立った御嶽海の優しさを感じてしまった。

 これで貴景勝は6勝2敗と大関復帰まであと4勝とした。「星勘定はしません」と言うが、敗れて5勝3敗になっていたら、黄色信号が灯るところだった。これでほぼいけそうな感じだ。それどころか優勝の可能性もある。

 優勝争いは東8枚目の隠岐の海がただ1人全勝で単独トップ。1敗も西10枚目の明生だけだ。この2人がこのまま勝ち続けるとは思えず、2敗力士まで優勝のチャンスがあるだろう。

 2敗は番付上位から御嶽海、貴景勝、遠藤、朝乃山、剣翔、石浦の6人。優勝ラインが12勝まで下がれば、もはや誰が優勝するのかわからない。優勝争いの興味という点では面白い場所になった。

文=山口亜土

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