
中学硬式野球団体の日本ポニーリーグ協会では、2020年度より選手の障害予防と、無限の可能性の探求と育成を目的とした取り組み「SUPER PONY ACTION 2020」をスタートさせる。昨年に実施・検証してきた動きを本格化するものだ。リーグの理念である「Protect Our Nation's Youth(国の宝である青少年の成長を守る)」を、今の時代に合った形で具体化する戦略とは。
※この記事は「ベースボール・クリニック2019年12月号」掲載記事を編集・再掲載したものです。
写真上=2019年10月25日に日本ポニーリーグ協会は「SUPER PONY ACTION 2020」を発表。右から那須勇元事務総長、広澤克実理事長、知名朝雄代表理事、古島弘三医師
写真◎ベースボール・クリニック
日本ポニーリーグ協会は、青少年世代の障害予防ならびに青少年が持つ無限の可能性の探求と育成を目的に策定した「SUPER PONY ACTION 2020」を発表した。
体の変化が最も大きい成長期で、その速度が千差万別である世代の選手たちに対してスポーツ障害予防を第一に考える取り組み。主には今年度から学年ごとに投球数を制限し、国際標準バット(USAバット)を一部導入する。
投球数制限については、2019年に1年生の公式戦を対象に1試合85球のルールを設けて実施・検証を行ってきた。その結果、「もともとポニーの指導者は障害予防への意識が高いこともあり、多くても50球程度で投手を交代するケースがほとんどで、前年代対応できる確信を得た」(那須勇元 事務総長)と、ルール化に向けた流れを加速。
アメリカが導入するピッチスマートを基準とし、医学会における投球障害の権威で、リーグの理念に賛同し自らもポニーリーグのチームを立ち上げた古島弘三医師(慶友整形外科病院整形外科部長、館林慶友ポニー代表)にも意見を求め、学年ごとの球数を定めた(表)。

この1試合の投球数に加えて、練習を含めた1週間の取り組みについても上限を設定し、8割以上の強度で投げたものをカウントして運用する。
古島医師は「強度によってカウントするか否かの厳密な線引きができるものではないが、指導者も選手も意識することによってケガをしないという認識を共有してもらいたい」と狙いを説明した。
広澤克実理事長(元・ヤクルトほか)は、障害予防の観点から「中学生年代のケガは予防することができるものだが、それによって野球をあきらめる選手がたくさんいる。そこは大人が守るもの」と語るとともに、「投球数を制限することで投手を経験する選手が増える。その経験が中学生から先、野球を続けていく中で体が出来てきたときに才能を開花させる可能性につながる。だからケガをしないで、次のステージに送り出すことが大事」と、選手育成の観点からの意義も強調。
障害予防を図りつつ、多くの選手の中から投手としての才能を見いだそうとするポジティブな発想を、各チームの指導者にも浸透させていく。
さらに、投球数制限を行うことによる障害の実態の変化を継続的に調査していくための肩ヒジ検診を毎年実施する。その場となる「PONY FESTA」(4または5月に関東連盟を対象に開催予定)では、トレーニングや栄養などの講座を開き、中学生年代に適切な活動のあり方について、指導者、保護者、選手の知識を深める場にする。
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