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2019-05-25

相撲編集部が選ぶ夏場所14日目の一番 朝乃山(寄り切り)豪栄道

再び単独トップに立ってしまった西前頭8枚目の朝乃山。11日目終了後に初めて単独トップに立ったときは、「鳥肌が立った」と言っていたが、2度目ともなれば、多少は落ち着いていられたか。

※写真上=単独トップの朝乃山が豪栄道を破った後、鶴竜が敗れ朝乃山の初優勝が決まった
写真:月刊相撲

 朝乃山は結び前の一番で豪栄道と対戦、1差で追う鶴竜は、結びで栃ノ心と対戦。朝乃山が勝って、鶴竜が負ければ朝乃山の優勝が決まる。審判部は全取組終了後に、明日の割を決めると異例の発表をした。つまり、14日目に優勝が決まらなければ、千秋楽の結びで鶴竜と平幕の朝乃山を当てるということなのだろう。

 土俵に上がった朝乃山は、特に緊張した様子は感じられない。前日の栃ノ心戦のときと同様に、格上と対戦して、「負けてもともと」という挑戦者の気持ちでいられたのだろう。

 立ち合いは豪栄道の踏み込みがよく、右を差すとすぐに左上手を取った。朝乃山は上手に手が届かないが、豪栄道の上手が深く、胸が合う形に。朝乃山は左からおっつけながら前に出て上手を取る。豪栄道に振られて、体を入れ替えられたが、再び土俵際で体を入れ替えて寄り切った。

 単独トップを守り、勝ち残りで土俵下に座り、結びの一番を見守る朝乃山。鶴竜は大関復帰になりふり構わぬ栃ノ心の立ち合い変化にバッタリ。この瞬間、朝乃山の初優勝が決まった。

「すごいプレッシャーがありましたけど、平常心で取れました。先に上手がほしかったけど、取られたので、じっくり攻めようと思いました。上手を取ってからは自分の相撲を取ろうと寄りました」と興奮冷めやらぬ朝乃山。

 平幕優勝は昨年初場所の栃ノ心以来、三役経験のない力士の優勝は、昭和36年夏場所の佐田の山以来、58年ぶりのこと。富山県からは大正5年夏場所の太刀山以来、103年ぶりの優勝となった。

「勝ててよかったと思いながら、結びを見ていました。優勝の実感はないです。優勝すると思ってなかったので、びっくりです」と、令和初の覇者は初々しかった。

文=山口亜土

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