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2018-09-06

【秋場所展望】 稀勢の里の復活なるか? 御嶽海は大関取りに挑戦!

※夏巡業中、精力的に稽古をこなした稀勢の里
写真:月刊相撲

 秋場所(9月9日~23日、両国国技館)がいよいよ開幕します。今場所の目玉は名古屋場所で初優勝した関脇御嶽海の大関取り。そして、8場所連続休場した稀勢の里が復活できるのかも注目です。

 夏巡業中の稀勢の里は、32歳という年齢を考えれば、やれるだけの稽古をしたと思います。途中、左カカトのキズのためにしばらく稽古を軽めにしていましたが、巡業後半からペースを上げていきます。番付発表後も横審総見稽古や出稽古で上位力士とぶつかり合いました。大関豪栄道には分が悪かったのですが、状態はここ数場所で一番いいでしょう。

 稀勢の里にとって進退を懸ける場所となりますが、序盤を4勝1敗でいければ、何とかなるような気がします。とにかく15日間取ること、場所を皆勤することが大事です。誰もいきなり優勝しろとは思っていません。二ケタ勝てれば最高ですが、たとえ負け越しても最後まで取って、「今後に上積みが期待できそうだ」と印象付けることができれば、横審もすぐに「引退勧告」はしないと思います。あとは本人の気持ち次第です。悔いのないように、力を出し切ってほしいものです。

 大関取りの御嶽海はマイペースの稽古で夏巡業を乗り切りました。稽古嫌いで有名だったのが、人並みにはやるようになりましたが、猛稽古というわけではありません。まあ、問題なく順調に初日を迎えられそうなので、名古屋同様に期待はできると思います。目安は内容次第ですが11勝。12勝なら確実でしょう。ただ、御嶽海があっさりと大関取りに成功してしまうと、大相撲のレベルが落ちたと認めざるを得ません。

 ここでプロとアマの稽古の違いについて触れておきます。アマチュアは学生なら4年間で結果を出さねばならず、どうしても勝つための稽古となります。細かい技術を磨き、対戦相手を研究します。プロは「3年先の稽古」というように強くなるための稽古です。相手を根こそぎ持っていく馬力をつけるために、ひたすら前に出ます。これまで学生出身力士はプロのたたき上げの力士にパワー負けして、技術を発揮できず、抜群の素質をもったものでも大関止まりでした(横綱は輪島だけ)。ただ、今の30代の横綱、大関がいなくなるであろう2年後を想像すると、上位は高校相撲、学生相撲出身者ばかりになってしまうんですね。これも時代の流れでしょうか。

 鶴竜と白鵬は夏巡業中はまともな稽古ができず、現在急ピッチで仕上げていますが、多くは期待できないでしょう。休場の可能性も高いと見ています。

 大関陣は豪栄道が好調ですが、場所前よくても結果が出ないことが多いので信用できません。髙安は腰痛、栃ノ心は右足親指のケガの後遺症が心配です。

 そうなると誰が優勝するのか、まったくわからない状況です。この10年、ほとんど白鵬が優勝していたことを考えると、場所前の優勝予想が面白くなったと言えるでしょう。

文=山口亜土

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