
平成30年の幕開けとなった初場所は、10日目までは横綱鶴竜が全勝で優勝戦線を引っ張りましたが、11日目からまさかの4連敗で脱落。1差で追っていた西3枚目の栃ノ心が単独トップに立つと、勢いは衰えず14勝1敗で初優勝を飾りました。
平幕優勝は平成24年夏場所の旭天鵬以来6年ぶり、春日野部屋としても昭47年初場所の栃東以来46年ぶりの優勝でした。そして、黒海、臥牙丸と幕内力士を生んだジョージア出身として初めての快挙。ジョージアのテレビではトップニュース、新聞では一面の扱いだったそうです。
栃ノ心が新弟子のころから見ていますが、入門時のインパクトは琴欧洲や把瑠都に匹敵するものがありました。柔道やサンボなどでジョージアのジュニア代表として活躍し、世界ジュニア相撲選手権に相撲未経験のまま出場し、3位入賞を果たしています。本格的に相撲の稽古をすれば、すぐに関取になれると思いました。
平成18年春場所、18歳で初土俵を踏んだ栃ノ心は、20年初場所、所要11場所で新十両に昇進し、いきなり十両優勝を果たします。十両は2場所で通過し、20年夏場所新入幕。順調に出世していきますが、そこから伸び悩み小結に上がっても、地位を守ることができませんでした。当時を振り返り、「幕内に上がって気が緩み遊んでしまった。もっと真剣に稽古しておけばよかった」と今では反省しています。
そんなとき、平成25年名古屋場所で右ヒザの靱帯を断裂する大ケガを負ってしまいます。4場所連続で休場し、番付は幕下の55枚目まで下がってしまいました。しかし、復帰すると2場所連続で幕下優勝、さらに十両で連続優勝と、4場所連続の優勝を飾って幕内に復帰しました。
右ヒザの状態はよかったり悪かったりで、なかなか安定して幕内上位で好成績を残すことはできませんでしたが、昨年の九州場所前ぐらいからヒザの不安がなくなり、存分に稽古ができるようになりました。
冬巡業では貴乃花巡業部長に代わって、師匠である春日野親方が巡業部長代行として帯同しました。そこで率先して稽古に励み、初場所前も猛稽古。「ヒザをケガしてから、こんなに稽古ができたのは初めて」と手応えをつかんで、初場所に臨んだのです。
30歳となった栃ノ心ですが、ヒザを気にすることなく稽古を積んでいけば、大関昇進も夢ではないでしょう。辛抱を重ねて花を咲かせた土俵人生ですが、さらに大輪の花を咲かせるかもしれません。
文=山口亜土
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