※2002年横浜大会は日本でも爆発的な人気を誇ったソープ(左)と北島康介が国際大会初優勝を飾り、大いに盛り上がりを見せた
写真◎榎本郁也/スイミング・マガジン
8月9日(木)から12日(日)までの4日間、東京辰巳国際水泳場にて開催される第13回パンパシフィック選手権・競泳競技(オープンウォータースイミングは14日に千葉県館山市の北条海岸にて開催)。日本では実に16年ぶりのパンパックとなるだけに期待も高まる中、今回は前回の2002年横浜大会を振り返ってみる。
日本競泳界のレジェンド、北島康介が初めてトップの国際大会で優勝を果たした記念すべき大会となった。
2000年シドニー五輪100m平泳ぎ4位、01年福岡世界選手権200m平泳ぎで銅メダルを獲得していた北島は、100m平泳ぎの予選で大会新、準決勝で日本新&アジア新をたたき出し、決勝では長年にわたり宿敵となるブレンダン・ハンセン(米国)を抑え、シニアレベルでは自身初の国際大会での金メダルを獲得した。実はこの栄冠は、右肘痛との戦いを強いられる中でのものだったこともあり、200m平泳ぎは棄権することに。しかし、この大会の1カ月半に行なわれた韓国でのアジア大会では、200m平泳ぎで自身初の世界新記録を樹立している。
北島は、翌03年のバルセロナ世界選手権で100、200m平泳ぎをともに世界新で2冠、そして2004年アテネ五輪、2008年北京五輪と、紆余曲折を経てオリンピック平泳ぎ2冠連覇の偉業という、問答無用の実績を残し続けていくが、そのビクトリーロードは2002年の国際大会初優勝から始まったととらえることもできる。
今年の東京大会では、大会オフィシャルのアスリートホストとして、大会を盛り上げる役割を担う。
2000年シドニー五輪100m背泳ぎ4位の萩原智子は、 “ハギトモ”の愛称で親しまれたマルチスイマーとして女子日本代表をけん引する活躍を見せた。200m個人メドレーで優勝、400mフリーリレー第一泳者で100m自由形日本新をマークしたほか200m自由形4位、200m背泳ぎにも出場。大会終盤には過呼吸のため卒倒する事態に見舞われ、200m背泳ぎ決勝は棄権することになったが、現在のフォーマットと違い、当時の個人種目(200m以下の五輪採用種目)は準決勝もあったことを考えると、そのマルチぶりが際立つ戦いぶりだった。
萩原は2004年シーズン後に第一線を退くが、2009年に本格復帰を果たし、2010年のパンパック(米国・アーバイン)に出場を果たしている。
女子で唯一の金メダルを手にしたのをはじめ、多種目にわたり活躍を見せた萩原
写真◎榎本郁也/スイミング・マガジン
横浜大会の個人種目でメダリストとなったのは北島、萩原以外にも7名いて、すべてがオリンピック、世界選手権出場を果たした選手ばかりだった。
女子自由形の山田沙知子(2004年アテネ五輪代表)は、400m3位、800m2位(日本新)、1500m2位(日本新/アジア新)、200m7位にリレーと獅子奮迅の活躍を見せた。
1996年アトランタ、2000年シドニーの両オリンピックに出場していった山本貴司は200mバタフライで3位(日本新/アジア新)に入り、2年後のアテネ五輪では同種目でフェルプスを追い詰めるラストスパートを見せ、銀メダルを手にしている。
男子個人メドレーの森隆弘は、200m2位(日本新/アジア新)、400m3位(予選で日本新&アジア新)に入り、2004年アテネ五輪では200mでアジア人として初めてとなる6位入賞を果たした。
当時高校3年生のふたりのバックストローカー(背泳ぎ)も横浜大会でメダリストに。女子200m2位の寺川綾は2004年アテネ五輪200m8位、2008年北京五輪の出場は逃すも、2012年ロンドン五輪では100m3位に。また、男子100mで3位となった森田智己は、2004年アテネ五輪でも同種目で銅メダルを手にした(2008年北京五輪にも出場)。
当時高3の寺川は、この2年後にオリンピック出場、10年後に五輪メダリストとなった
写真◎スイミング・マガジン
この大会で日本勢最初のメダリストとなった藤野舞子(400m個人メドレー銅)は2008年北京五輪に出場。また、200m平泳ぎで銅メダルを手にした木村太輔は2005、07年と2大会連続出場を果たしている。
2000年シドニー五輪で3つの金メダル、01年福岡世界選手権で6冠という活躍もあり、日本でも爆発的、といっても過言ではないレベルの人気を誇った豪州のイアン・ソープが実力をいかんなく発揮した。この大会の20日前にコモンウェルス(英連邦)大会にも出場していたこもあり世界新記録樹立はならなかったが、100、200、400自由形、400、800mフリーリレーで5冠を達成し、さらにその人気に拍車がかかった。「魚雷」を意味する「torpedo(トーピード)」と苗字の「Thorpe」を掛け合わせた「Thorpedo(ソーピード)」、また「水の超人」といった愛称でも親しまれ、日本では某メーカーとの共同開発により、前者の名前を冠した飲料水も発売されるほどだった。
この大会、唯一の世界新は米国の男子400mメドレーリレーだった。2000年代以降の競泳を見ている方なら「オオ~!」と言わずにはいられない顔ぶれで、一泳からアーロン・ピアソル(背泳ぎ)、ブレンダン・ハンセン(背泳ぎ)、マイケル・フェルプス(バタフライ)、ジェイソン・レザク(自由形)の超豪華メンバーで、横浜の電光掲示板に「WR」を刻んでみせた。全員、のちのオリンピック金メダリストで、特に当時17歳のフェルプスはこの後、オリンピックで通算22個の金メダルを獲得する「水の怪物」へと飛翔していく。
大会唯一の世界新をたたき出した男子400mメドレーリレーの米国。それにしてもすごいメンバーだった
写真◎スイミング・マガジン
ほか3人の顔ぶれも豪華でピアソルは背泳ぎの第一人者として活躍し続け、2004年アテネ五輪100mで優勝。ハンセンは北島のライバルとして日本でもその名をとどろかせた選手で、オリンピックでは個人種目こそ北島に勝つことはできなかったが、400mメドレーリレーでは2個の金メダルを手にしている。また、レザクは2008年北京五輪の400mフリーリレーのアンカーとして、先行するフランスをラスト50mで猛追して差しきった選手として印象深い。この金メダルがなければ、フェルプスの1大会8冠という偉業もなかっただけに、多くの人々の記憶に強く残っている。
※ ※ ※
日本開催の国際大会で活躍した海外の超人たちは、やはり印象に強く生き続けるもの。今大会は誰が主役になるのか。今から楽しみである。
構成・文◎牧野 豊/スイミング・マガジン
※アリーナはパンパシフィック選手権2018のゴールドパートナーです。
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