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2020-02-28

【陸上】大迫傑「新しい挑戦の裏には負けがあった」

2月28日、東京マラソンの招待選手の記者会見が行われ、大迫傑(ナイキ)、設楽悠太(Honda)、井上大仁(MHPS)ら、東京五輪マラソン代表最後の1枠を争う選手たちがそれぞれの思いを語った。

写真上/会見に臨んだ招待選手(左からエチオピアのレゲセ、モラ、レマ、大迫、設楽、井上)
撮影/編集部

 東京五輪男子マラソン代表は、昨年9月のMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)優勝の中村匠吾(富士通)、2位の服部勇馬(トヨタ自動車)が代表に内定。同3位の大迫傑は残る1枠の代表筆頭候補となり、その後行われているMGCファイナルチャレンジ(指定された3レース)においては、大迫が保持する日本記録を1秒上回る2時間05分49秒が内定条件となるタイムとして設定され、争われている。

 3月8日にはびわ湖毎日マラソンがあるが、有力選手がエントリーした今回の東京マラソンが実質、残り1枠の行方を占うレースになると見られている。

 以下、3強といわれる大迫、設楽、井上のコメントの要約。

大迫傑
「誰よりも速く走ることを考えていきたい」

「大会に向けて約2カ月半、ケニアで合宿し、1週間前に帰国しました。ケニアでは特に変わった練習をしたわけではありませんが(強い)練習パートナーがいて、標高の高い位置での練習でしたが、強いパートナーと一緒に練習できるんだ、彼ら以上に走りこめる、質の高い練習ができる手応えを感じました。

(昨年9月の)MGCで3位に終わったことが自分を突き動かしてきたと思います。思い返せば、アメリカに行った(練習拠点を移した)のも、(2012年)ロンドン五輪(選考会トラック)の敗北でしたし、今回もMGC3位になったことで、高いモチベーションでやってきました。新しい挑戦の裏には負けがあったなと。もちろん、負けたことだけはなく、いろんなものがモチベーションになっていますが、(MGC3位の結果も)背中を押す一歩になったかなと思います。自分は高いモチベーションを維持して取り組んでいる方だと思うので、持続していければ。ひとつのチャンス、新しい自分を発見できると考えています。

 今回も、しっかり練習を積んできたので、自信を持ってスタートラインにつける。(第1集団のペースメーカーは1km2分55秒、2時間03分00秒の設定について)ペースが速ければ付いていかないし、付けるなら付いていきますが、自分のペースで走れればと思います。

(自身の日本記録を1秒上回るMGCファイナルチャレンジ設定タイムの2時間05分49秒を上回ることについて)気象条件次第ですが、僕自身の記録ですし、練習の感じからみても、また、最近の陸上界の雰囲気、(高速化の)流れからしても、不可能ではないと思います。ただ、僕自身も緊張感を持ってやっていますが、誰がきてもおかしくないと。普通の大会と同じように、誰よりも速く走ることを考えていきたいです」

設楽悠太
「レースプランは当日のアップが終わってから」

「(元日の)ニューイヤー駅伝が終わってから練習は順調に積めてきましたけど、その後出場したレースでは、大学生に負けたり、実業団の選手に負けたりしたので、まだまだだなと。2年前の東京マラソン(日本新樹立時)前に比べたら、今回のほうが調子はいいけど、実際には走ってみないとわからない。練習はできているので、悪くはないと思います。

(大迫、井上について)大迫選手は同期ですし、一番のモチベーションになっている。大学時代に比べるとやっと同じスタートラインに立てたかなと感じています。井上選手は駅伝含めて一番戦っている選手だと思いますし、2年前の東京マラソンで、レース後に井上選手が悔しがっている姿は印象に残っています。ともに、日本人選手でマラソンを盛り上がられたらと思っています。

 レースプランや目標タイムを立てて走るタイプではないので、試合当日、アップが終わったときに(どのように走るか)考えたいと思います」

井上大仁(MHPS)
「高校時代から追いかけてきた二人と戦えることは光栄」

「MGCは、オリンピックどうこうという結果ではなく力不足でした。それでも自分を支えてくれた周りの皆さんのおかげで頑張れたし、今回、また周りの方に(MGCのときのような)同じ思いをさせたくないです。

 年明けには例年どおりの走り込みをニュージーランドで、約3週間、行ってきました。調子は悪くはないので、順調に来ていると思います。

 世間が大変(コロナウィルスの感染)ななかで出場させていただくことはありがたいので、今回出場できなかった方のぶんまで頑張りたい。

(大迫、設楽の存在について)高校のときから雑誌で、ふたりを追いかけてきました。その追いかけ続けてきた選手と今、東京マラソンで争えることは光栄です。今後も戦い続けていくと思いますが、いずれは一緒に同じ国の選手として、ケニアやエチオピア勢と戦っていければと思います」

構成/牧野 豊(陸上競技マガジン)

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