箱根駅伝のエントリーメンバーからチーム別に展望する最終23チーム目は拓殖大。出雲駅伝4位と結果を残した今年度、過去最高の7位はおろか、トップ3入りを視野に入れる。
※写真上=前回は馬場とデレセが第1中継所でタスキリレー。主将と副主将の立場で臨む今回も快走が期待される(写真/荒川祐史・陸上競技マガジン)
拓殖大 5000mSB 10000mSB
W・デレセ(4) 14分33秒30 28分14秒49
五十嵐大己(4) 14分56秒26 30分19秒39
硴野 魁星(4) 14分08秒85 28分55秒30
白髪 大輝(4) 14分27秒89 29分33秒57
戸部 凌佑(4) -- 31分04秒49
馬場 祐輔(4) 14分32秒81 28分46秒34
赤﨑 暁(3) 14分31秒64 28分53秒89
楠本幸太郎(3) 14分25秒47 29分55秒58
青柳 拓郎(2) -- 30分28秒42
石川 佳樹(2) 14分41秒67 29分16秒75
清水 崚汰(2) -- --
松岡 涼真(2) -- 30分25秒80
吉原遼太郎(2) -- 29分15秒12
佐藤 広夢(1) 14分27秒90 31分08秒11
澤田 大輝(1) -- 30分15秒87
竹蓋 草太(1) -- 31分24秒93
チーム平均 14分31秒75 29分51秒87
※箱根駅伝エントリーメンバーと5000m、10000mの今シーズンのベストタイム(12月14日現在)
チーム史上最高の4位につけた出雲駅伝の出走メンバーがすべてエントリーした。史上初の留学生主将で出雲3区区間賞を獲得したワークナー・デレセ、副主将の馬場祐輔、戸部凌佑、3年生で次年度のエース候補である赤﨑暁は、いずれも1年時から箱根路を経験。前回大会に続き、今回も往路の主要区間を担うはずだ。
前回8位に貢献した8選手のうち、9区7位の中井槙吾(3年)がエントリー外となったものの、個々の走力はアップしており、その穴は十分に埋まる陣容といえる。今季、硴野魁星と赤﨑が10000mの自己ベストを更新し、デレセ、馬場を含めて28分台が4人となった。これは岡田正裕監督が2010年に就任以降、初となる。
例年、選手層の薄さに悩まされたが、今年度は2年生の台頭が著しい。その代表格が出雲5区8位の吉原遼太郎になる。10月に10000mで29分15秒12、11月の上尾ハーフで1時間04分07秒の自己ベストをマークし、一躍、往路候補に浮上した。前回7区を経験した石川佳樹、さらに松岡涼真、清水崚汰が同じく上尾で1時間3分台~1時間4分前半の自己ベスト。そのほかの主力選手も自己記録を塗り替えるなど、本戦に向けて充実ぶりが際立つ。
理想のレース展開として、岡田監督は往路4位につけた前回をイメージしている。となれば、1区・馬場、2区・デレセ、3区・赤﨑、5区・戸部という区間配置を踏襲する可能性は高い。「1、2区で一つの足固め、3、4区でこらえて、5区で勝負。2区までで3位以内にはつけたい」と岡田監督は語っており、馬場、デレセの1、2区起用を匂わせる。
もう一つ注目したいのは、前々回から生まれた『1→4区の法則』が発動するかだ。これは3年の次期エースが1区を走り、翌年の4年時に4区を務めるというもの。前々回1区を務めた西智也(現・小森コーポレーション)は前回、4区区間新の6位で、チームの順位を4位に引き上げる快走を見せた。前回1区の馬場自身もその再現を狙い、5区・戸部とのタスキリレーを希望する。この場合には、赤﨑が1区を担うことになるだろう。本来、往路出場が期待されていた中井の代わりには、吉原が抜擢されるのではないか。
出走すれば、5区・戸部は3年連続、6区・硴野は2年連続と特殊区間に計算の立つ経験者を擁することも大きい。6区終了時で前回の6位を上回ることも岡田監督の想定内というわけだ。
前述したように、2年生の台頭で7区以降についても順位を死守するだけでなく、『攻める』展開も望める。チームは史上最高位の7位はおろか、トップ3入りを目標に掲げる。4年生に有力選手が多い今回、新たな歴史をつくる最大のチャンスといえる。
文/石井 亮
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