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2018-12-24

箱根駅伝 チーム別展望12 国士舘大 現実を見据えて次につながるレースを

箱根駅伝のエントリーメンバーからチーム別に展望する12校目は国士舘大。出場校の多くの目標はシード権獲得であり、それが至上命題にも近い。しかし、今回の国士舘大の目標は15位、次につながる一歩を踏み出すため、最後までタスキをつなぐ。

※写真上=チームをけん引する日本人エースの住吉(写真/田中慎一郎・陸上競技マガジン)

国士舘大チームエントリー

国士舘大     5000mSB  10000mSB
内山  武(4) 14分16秒46 30分15秒34
大川 隼平(4) 14分52秒32 30分41秒31
住吉 秀昭(4) 14分17秒12 28分32秒56
高田 直也(4) 14分04秒97 29分39秒70
多喜端夕貴(4) 14分22秒08 29分12秒60
戸澤  奨(4) 14分18秒62 29分24秒12
藤江 千紘(4) 14分30秒53 29分49秒82
石川 智康(3) 14分51秒89 29分57秒73
鼡田 章宏(3) 14分28秒25 29分28秒17
福田 有馬(3) 14分49秒12 30分57秒18
加藤 直人(2) 14分45秒97 30分46秒09
金井 啓太(2) 15分17秒88 30分26秒59
Pギトンガ(2) 13分51秒85 28分13秒38
小早川寛人(1) 14分53秒40 29分59秒67
長谷川 潤(1) 14分57秒59 30分03秒33
Rヴィンセント(1) 13分35秒83 28分30秒94
チーム平均     14分30秒87 29分44秒91
箱根駅伝エントリーメンバーと5000m、10000mの今シーズンのベストタイム(12月14日現在)

留学生を2人エントリー

 エースの住吉秀昭をはじめ、主将の多喜端夕貴、高田直也、戸澤奨、藤江千紘、鼡田章宏ら前回大会を経験している6人は順当にエントリーされている。9位通過した予選会で個人総合3位に入った期待のライモイ・ヴィンセントも名前を連ねた。
 注目のケニア人1年生のヴィンセントは、スピードとスタミナを兼ね備えており、そのポテンシャルは底知れない。今年度に記録した自己ベストは5000mで13分35秒83、ハーフマラソンでも1時間1分19秒。いずれも学生トップランナーと言っていいタイムだ。
 前年度にエントリー漏れしたケニア人のポール・ギトンガが満を持してメンバー入り。10000mではチームトップの28分13秒38で走る能力を持っている。留学生が走れるのは1名のみで、ヴィンセントの起用が有力だ。
 日本人エースとしてチームをけん引するのは、3年連続で箱根に臨む住吉。全日本インカレ10000mで7位入賞し、チーム内の日本人で唯一28分台のタイムを持つ。順位を一つでも上げためには、頼れる男の奮起は欠かせない。
 予選会に出走しなかった日本人の下級生たちにも面白い選手はいる。秋以降、添田正美監督が成長株として名前を挙げていた2年生の加藤直人、1年生の小早川寛人は最後に信頼を勝ち取った。

箱根予選会3位と好走したヴィンセント(写真/小山真司・陸上競技マガジン)

最後までタスキをつなぐ

 往路の前半区間でどこまで上位につけられるかが、一つのポイントとなる。
「2区にヴィンセントがいるだけで、チームのみんながリラックスして走れる」
 添田監督から絶大な信頼を受けるケニア人留学生の実力は、予選会でも証明済み。11月の上尾シティハーフマラソンでも大学生男子の部で優勝している。「気持ちの浮き沈みがない」(添田監督)と安定した力を見せており、初の大舞台でも大きな期待が集まる。
 2区につなぐのは、前回も1区を任された住吉か。ひょうひょうとしているが、競り合いで力を発揮するタイプ。3年時に区間15位で終わった悔しさを忘れておらず、「今回は1ケタ順位を目指す」と静かに闘志を燃やす。
 4年生コンビの配置が予想される3、4区は踏ん張りどころ。前回は多喜端が3区、藤江が4区で、ともに区間19位。昨年度、辛酸をなめた2人も、確実に力を付けた。往路への思いは強く、多喜端は意欲をたぎらせる。「キャプテンらしい走りを見せる」
 特殊区間は、チームの強みとなる。鼡田は前回は5区で区間13位。山上りの手応えを得ており、「今回も任せてもらえれば、区間1ケタで走る」と自信をのぞかせる。今季は筋力トレーニングに励み、体幹も鍛えてきたという。6区は高田が有力視される。昨年度はチーム最高の区間12位と奮闘した。山下りも経験値がものをいう。計算が立つ4年生がいれば、復路の出だしから大きく崩れることはないはずだ。
 7区以降は箱根初挑戦となる1年生の小早川、2年生の加藤らの起用もあるか。前回、10区のエントリー変更で補欠要員に回った石川も、今回は貴重な戦力となりそう。
 復路の後半区間で頼りになるのは、3大会目となる最上級生の戸澤。「ピーキングなど、4年間で培ってきた経験がある」と落ち着いて調整を進める。前回は10区でたすきを受け、総合19位でフィニッシュ。大会直前に体調を崩し、本来の力を発揮できなかった。個人としても悔しさが募っただけに、ラストランに懸ける思いは強い。
「最後は大手町で笑って終わりたい」
 2大会連続して途中で繰り上げスタートとなったことは、誰もが忘れていない。チームの目標は15位。現実を見据えて、一つでも上の順位を目指す。
文/杉園昌之

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