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2018-12-18

【陸上】マラソン世界記録保持者 キプチョゲ・インタビュー 『自分の限界を設けてはいない』

9月のベルリン・マラソンで2時間01分39秒の世界新記録を樹立。
人類初の1分台に到達したエリウド・キプチョゲ(ケニア)が来日し、
速さの秘訣、2連覇が懸かる東京五輪について抱負を語ってくれた。
※取材は11月9日実施

※写真上=男子マラソン世界記録保持者のエリウド・キプチョゲ
写真◎Nike、Getty Images

軽くて快適、それが究極のシューズ

――9月のベルリン・マラソンで世界記録を樹立した上で、どのようなシューズのサポートがありましたか?

キプチョゲ 速く走るためにナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4% フライニットは、大いにサポートしてくれました。軽くて衝撃を吸収してくれます。ソールもいいです。リカバリーが早くできるというのも特長だと思います。

――ますます進化するシューズですが、キプチョゲ選手にとって、究極のシューズを教えてください。

キプチョゲ 軽くて、履いていて快適だということ。そして接地時の衝撃を抑えてくれるものが究極だと思います。

――マラソンのトレーニングにおいて、スピードとスタミナのどちらを重視しているのですか。

キプチョゲ マラソンにおいては、スピード、スタミナ共に欠かせません。両方、トレーニングすることが重要です。

――トラックでも2003年の世界選手権5000mで優勝していますが、そのころと比べて、スピード練習の割合は変わってきていますか。

キプチョゲ トラックではスピードを要求されますから、トレーニングにもそれなりの強度が求められます。ただ、長い距離を走るマラソンでは、それほどではないかもしれません。

――スピードを上げたロングランはどれくらいの距離でやっているのですか。

キプチョゲ 1㎞3分10秒ペースで、40~42㎞ほど行っています。

――マラソンレースに向けた期間、スピード練習をトラックですることはありますか?

キプチョゲ 必ずやっています。メニューは日によって変わりますが、1000、1200、1600、2000m、これらの距離をミックスしています。ペースは早いときで2分40秒くらいでしょうか。

美しいレースがしたい

――マラソン2連覇が懸かる東京五輪については、どのようにお考えですか。

キプチョゲ もちろん、目標のトップリストに上がっています。

――暑い時期でのレースになると言われていますが、その対策は?

キプチョゲ どの選手も同じ条件なので、暑さは気になりません。どんな気象条件であろうと、レースはレースですから。

ベルリン・マラソンでは2時間01分39秒で優勝。世界新記録を樹立した(写真◎Getty Images)

――東京五輪ではどのようなレースをしたいですか。

キプチョゲ 美しいレースがしたいです。みんなに楽しんでもらえるようなレースができれば、美しいレースができたということだと思います。

――常にトップに立ち続けられるメンタルの強さの秘訣は?

キプチョゲ 自分を信じて、自信を持ってレースの臨めるマインドがあれば、強い選手を相手にしてもいい勝負ができると思います。

――大迫傑選手、設楽悠太選手といった日本人選手が活躍していますが、日本人選手の印象を教えてください。

キプチョゲ すごく頭が良いという印象があります。競技に対する情熱がありますし、努力を惜しみません。それに誰にも負けたくないという気持ちを感じさせます。

――これまでさまざまな記録を出していますが、今後も自身の限界を超えられると思いますか?

キプチョゲ リミットは自分で設定していません。

――年齢的に自身のピークはどのあたりだと考えていますか?

キプチョゲ まだまだ大丈夫です。何よりも走ることが好きですし、マラソンを愛しています。マラソンは世界中の人々に感動を伝えられるスポーツだと思います。

PROFILE
エリウド・キプチョゲ
Eliud KIPCHOGE◎1984年11月5日、ケニア生まれ。2003年パリ世界選手権5000mで金メダルを獲得。07年大阪で開催された世界選手権5000mでも銀メダルに輝いた。12年、マラソンに転向し、初マラソンとなる13年のハンブルク・マラソンで大会新となる2時間05分30秒で優勝。以降、リオ五輪の金メダルを含み、11戦10勝と圧倒的な勝率を誇る。18年9月のベルリン・マラソンで2時間01分30秒の世界新記録を樹立した。

構成◎石井 亮

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