5月10~13日に京都・西京極陸上競技場で行われた第95回関西学生対校選手権(関西インカレ)で、多田修平(関西学院大4年)が男子1部100mで4連覇を達成した。それは納得の走りではなかった。
※関西インカレで見事に4連覇を達成した多田修平(写真中央)
写真:江見洋子/陸上競技マガジン
ゴール後の、その何とも言えぬ複雑な表情が印象的だった。昨夏のロンドン世界選手権男子4×100mR銅メダリストで日本選手権100m2位の多田修平(関西学院大4年)が11日、京都・西京極陸上競技場で行われた第95回関西学生対校選手権(関西インカレ)の1部男子100m決勝で10秒30(-1.5)をマークし快勝。第37~40回大会(1960~63年)の浅井浄(関西学院大)以来55年ぶり3人目の快挙達成に、「素直にうれしい。これをきっかけにもっと飛躍できれば」と喜んだ。
「比較的スムーズに走れた」という午前中に行われた準決勝では最後流して10秒26(+1.7)で楽々と1位で通過。決勝でも風には恵まれなかったが、加速力の差を見せつけ中盤で一気に抜け出し圧勝。続く4×100mR決勝でもアンカーを務め、トップを行く近畿大から4~5m差の2位でバトンをもらうと、中間過ぎに抜き去り、昨年、この大会でマークした39秒11の関西学生記録に迫る39秒14の好タイムで制し、関西学院大の同種目2連覇に貢献した。
それでもレース後の会見で心境を聞かれ10秒07の自己ベストを更新できずに終わった大会を振り返り、「まだスタートが全然だめ。スタートが悪いと全体の流れも悪くなってしまう」と表情を曇らせた。一気にブレイクした昨シーズン同様に、この試合から調子を上げていきたいところだったが、「状態は良かったが納得できるタイムが出なかった」と首をかしげた。
関西学院大の林直也コーチは「スタートから中間疾走へつなぐ部分がうまくいっていない」と分析する。バトンを受けてスタートするリレーの走りを見ると中間疾走はしっかりスピードを上げられている。しかし、100mはスタートでフォームにこだわったため、地面を蹴り(押し)過ぎて、接地が長くなり回転力を落としているという。
冬期に、課題の後半を意識し米国合宿から、それにつながるスタートの改善(身体を倒しすり足で進むなど)、歩幅を広げるフォーム改良にも取り組んだが結果を残すことができなかった。
「昨年はスタートからの脚さばきがもっとスムーズだった。今はまだ、切り返しが遅く、(地面から反発ももらえず)うまく脚が回っていない」と反省。形(フォーム)にこだわるのではなく、原点に返り、自身最大の持ち味でもある股関節を柔軟に使った素早い切り返し、それを活かしたスタートダッシュからの鋭い加速を生み出す本来の動きに重点を置き、修正を図る予定だ。
「試合でないと分からない感覚もある。これまでいろいろ試す中で自分に合っているもの、そうでないものも少しずつ分かってきた。多少遠回りだったかもしれないが、トライしたことは間違いではなかったと思う。やることも絞れてきたので、日本選手権に向けしっかり磨いていきたい」
感覚派を自称する多田が試行錯誤しているのも、東京五輪でのメダル獲得という目標があるからこそ。まだタイムには表れていないが、「後半に身体が反る癖もなくなってきましたし、リレーの走りも良かった」と手応えを感じている。
恩師である大阪桐蔭高の花牟禮武監督からはたくさんダメ出しをもらったというが、いろいろヒントや気付くこともあったという。確実に地力は付いている実感もあり、「あとはスタートから一つひとつをつなげていくだけ」と迷いはない。
多田の次走は20日、地元・大阪のヤンマースタジアム長居で行われるセイコーゴールデングランプリ2018大阪。春先の日本グランプリシリーズを回避した関係もあり、昨夏の世界選手権を制しているジャスティン・ガトリン(アメリカ)や9秒98の日本記録保持者・桐生祥秀(日本生命)、山縣亮太(セイコー)ら一線級と今季初めて対決する。「大会のレベルが高いほど集中力も上がる。昨年の飛躍のきっかけになった大会。今回もガトリン選手に勝つ気でないと、良い走りはできない。長居のトラックも合っていると思う。もう一度原点に戻り高校時代から積み上げてきたホッピングやバウンディングなどに取り組み、自分の武器でもあるスタートを取り戻し優勝したい」と前を向く。
55年前、4連覇を果たした母校の先達は、関西インカレをステップに、東京五輪男子4×100mR代表へと羽ばたいた。多田自身も、もう一度足元を固め、日本選手権、アジア大会代表入り、そして9秒台突入に向け、ここから一気にピッチを上げていく。
(文/曽輪泰隆)
多田修平の関西インカレ1部
男子100m4年間のあゆみ
1年時(2015年):優勝 10秒43(+0.2)
2年時(2016年):優勝 10秒33(+0.3)
3年時(2017年):優勝 10秒22(-0.2)=大会新
4年時(2018年):優勝 10秒30(-1.5)
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