

100m準決勝落ちの悔しさを200mで晴らしたサニブラウン。200mは終盤の勝負強さを見せた予選、組み合わせも味方した準決勝、そして前半から果敢に勝負にいった決勝(7位)と見ごたえ十分の走りを見せた
写真:中野英聡/陸上競技マガジン
決勝の前夜。
あのウサイン・ボルトを抜き、世界選手権の200m決勝に史上最年少で進出を決めた(日本勢としては14年ぶり)サニブラウン・アブデル・ハキームは、「ラスト100m」が勝負になることを明言していた。
「(準決勝では)最初の100mに集中したらいい具合にスピードに乗れたので。決勝になったら、100m過ぎにもっと脚を回していきたいです」
サニブラウンは、本気でメダルを獲りにいった。
「先頭集団に食い込んで、メダルのラインに絡めるよう、体をたたき込めれば」
たたき込む――サニブラウンらしい言葉だ。そして決勝でも100mまでは期待を抱かせた。
「メンバー的に、自分より速く前半の100mを走る人はいないと思っていたので。行けるだけ行って、あとは自分のリズムを保っていけたら、実際に前で勝負できてました」
スタジアムの実況アナウンサーも、コーナーを曲がる時点で「サニブラウンが先陣争いに加わっている!」と叫んでいた(アナウンサーにマークされている時点で、すでに存在が大きく認知されている証拠だ)。
ところが――。
ゴールまでは走りが乱れ、バタバタになった。結果は20秒63で7位。
記者団の前で話すサニブラウンは、さすがに悔しそうだった。いつも、目に力があるのだが、この日は生気が失せていた。「失望」と「手応え」がそこにあった。
失速の原因はハッキリしていた。ハムストリングス(太もも裏の筋肉)だ。
「ハムが最後の100mで、きてしまって。押せずに悔しい。もう一段上げれば、メダルに食い込めたと思うので」
異変によって、課題に挙げていた脚の回転を上げられなかったのだ。100mの2本と合わせて今大会5レース目。それでも、大会を通してみれば手応えを感じたのも事実である。
「今大会のレベルには通用しているので。これからどんどん伸びていく選手たちについていけるよう、練習するしかないと思います」
サニブラウンは最後に、大きな夢を語るのではなく、細かいことに目を向けた。
「“一歩一歩”のすべてが大事です。スタートでミスして出遅れたら、それで終わりますから」
この世界選手権、サニブラウンは世界の一線級の仲間入りを果たした。あとは、勝つための方程式をどうやって解くかだけだ。
文/生島 淳

200m準決勝では、アウトレーンながら見事なコーナリングで直線へ。終盤に粘りを見せ、組2着で日本勢として14年ぶりの決勝へコマを進めた
写真:小山真司/陸上競技マガジン
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