10月1日(木)からデンカビッグスワンスタジアム(新潟)で開催される陸上の第104回日本選手権。男子走幅跳は、9月の日本学生選手権で自己2番目の記録(8m29)をマークした橋岡優輝(日大4年)が優勝候補筆頭だ。
→競技日程10月2日(金)/決勝:18時20分~
→記録日本記録 8m40(+1.5)/城山正太郎(ゼンリン・2019年)
大会記録 8m20(+1.8)/寺野 伸一(サンクラブ・2004年)
好調の橋岡が抜け出た状態 日本選手権3連覇中で昨年のドーハ世界選手権で日本人史上初の8位入賞を果たした橋岡優輝(日大4年)が頭一つ抜け出た状態だ。
今季初戦となった8月23日のゴールデングランプリ(GGP)では優勝するも、7m96と記録的にはいまひとつだったが、GGPから修正を図って臨んだ9月の日本学生選手権(インカレ)では圧巻の跳躍を見せた。
今季の特別ルールで跳躍回数が最大で4回に限られていたが、1回目の跳躍で2位の最終記録を上回る7m92(+1.1)をマークすると、2回目に8m06(-0.2)、そして最終跳躍では自身が描いていた理想に近い踏切を実践し、8m29(-0.6)のビッグジャンプ。昨年、マークした自己ベスト8m32に次ぐ記録で会心のガッツポーズを見せた。
橋岡は4月に100mで10秒53と自己記録を0秒26も更新。助走スピードに磨きをかけた上、理想の踏切を模索してきた。また、元日本記録保持者で、橋岡を指導する森長正樹コーチは「立ち五段跳びも18m10を跳び、コントロールテストの種目はすべて僕を上回った」とベースとなるフィジカル強化を進めてきた。その成果が自身が納得する跳躍内容、そして結果に出たことは来年に向けても大きな手ごたえとなった。
日本選手権の決勝は夜の6時20分開始。10月の新潟ゆえ、当日の気温に左右される部分もあるが、戦いの舞台は、1カ月前に大きな自信をつかんだ日本インカレと同じ会場。日本選手権4連覇はもちろん、8m20の大会記録更新は十分狙えそうだ。
城山、津波はどこまで上げてくるか?立命大の吉田にも注目 昨年の世界選手権11位で8m40の日本記録保持者である城山正太郎(ゼンリン)はいまひとつ波に乗り切れていない。GGPでは3位(7m71/+1.0)、昨年8m40を跳んだAthlete Night in FUKUI(福井)も4位(7m75/+1.8)と調子が上がらない。コロナ禍でウェイトトレーニングができず、筋力が落ちていることもあり、GGPでは助走スピードが出ていなかったという。
日本選手権は「まずは2019年の跳躍を取り戻すことが一番大切。そこで記録だったり、順位だったりが付いてくれば」と、跳躍内容に集中していく。
東京五輪の参加標準記録を突破済みの津波 撮影/中野英聡(陸上競技マガジン) 昨年8m23の日本歴代4位を出して世界選手権代表になった津波響樹(大塚製薬)、4月に7m96の今季日本最高を跳んだ小田大樹(ヤマダ電機)、福井で8m05(+2.7)を跳び優勝した吉田弘道(立命大3年)らも、上位をうかがう。
要注目なのが急成長中の吉田である。福井の4日後の100mは10秒89(−3.0)だったが、向かい風を考えれば大幅自己新に値する。助走速度が向上したことに、空中動作を7月からシザースに変更したことがマッチした。
福井の1本目に7m86(+2.5)を跳んだとき、朝原宣治が持つ8m13の関西学生記録を「今日、抜いてやろう」と意識したという。
今大会は適用期間外だが、東京五輪標準記録の8m22をすでに城山、橋岡、津波の3人が破っている種目。それが来年4人以上になったとき、国内選考からし烈を極めることになる。五輪イヤーの激戦を予感させる日本選手権になることを期待したい。
※この記事は「陸上競技マガジン10月号」に掲載された内容に加筆、訂正を加えたものです。