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2020-10-13

【私の“奇跡の一枚” 連載88】塀越しの青空に浮かんだ戦後昭和の2大巨人力士

図らずも遠近法が効いた写真とはいえ、巨人と普通人とのこの見事なまでの“高低”差はどうだ! 私が後々まで伝えたい古き良き両国風景は、この「岩」と「山」がおりなしていた壮観をもって第一としたい―― 

私は昭和15(1940)年生まれ。戦後地方へチリジリになっていた相撲部屋が、再び両国に戻って新たな“相撲村”が出来上がる前から、この地で幼少年時代以降を過ごしてきている。

 長い人生には、誰にもエポックメーキングな瞬間があり、それはたいてい鮮やかな一シーンとなって人々の脳裏に刻まれている。
 相撲ファンにも必ず、自分の人生に大きな感動と勇気を与えてくれた飛び切りの「一枚」というものがある――。
 本企画では、写真や絵、書に限らず雑誌の表紙、ポスターに至るまで、各界の幅広い層の方々に、自身の心の支え、転機となった相撲にまつわる奇跡的な「一枚」をご披露いただく。
※月刊『相撲』に連載中の「私の“奇跡の一枚”」を一部編集。平成24年3月号掲載の第2回から、毎週火曜日に公開します。

『道場』のご近所さん

 振り返れば昭和20年代のことである。やんちゃな子どもとて、お相撲さんの後も誰彼ともなくっついて回った。一見気難しいお相撲さんたちも、近所の子となればざっくばらんに相手をしてくれた。それをいいことにサインなんか、親切なお相撲さんに近寄る口実として同じ人から何枚ももらっている。

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