3つ目の椅子をかけた争いが、いよいよ始まる。
 マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)ファイナルチャレンジを兼ねた第73回福岡国際マラソンが12月1日に号砲。東京五輪男子マラソン代表は9月のMGCで優勝した中村匠吾(富士通)、2位の服部勇馬(トヨタ自動車)が内定しており、この福岡国際、来年の東京、びわ湖の3大会で2時間5分49秒の派遣設定記録以内で走った選手が3人目の代表を手にする。複数人いれば最も記録のいい選手が選ばれ、誰も達しなければ、MGC3位の大迫傑(Nike)がその座に就く。

※写真上=福岡国際に臨む(左から)藤本、佐藤、福田
撮影/福地和男(陸上競技マガジン

日本人の有力選手は?

 出場する主な選手を国内招待選手から見ていこう。

 2時間7分57秒の日本勢最速タイムを持つのが藤本拓(トヨタ自動車)。MGCでは37km付近まで先頭集団でレースを進めながら、最後に失速し9位と悔しい結果に終わった。国士館大時代から故障が多く、マラソン参戦も2018年からで、まだキャリアは3戦。ここでさらなるブレイクを期す。

 佐藤悠基(日清食品グループ)は高速レースへの対応に期待が持てる。2011年から日本選手権1万mで4連覇を達成し、ロンドン五輪には5000m、1万mの2種目で出場。長く日本のトラックシーンの中心にいた選手だ。マラソン転向後は後半の失速が目立ったが、2018年の東京マラソンでは2時間8分58秒と自身初のサブテン。さらに同年のベルリンも2時間9分台でまとめている。しかしMGCは直前に体調を崩したことに加え、レース中に足のけいれんを起こし23位。11月26日に33歳を迎えたがマラソンランナーとしてはまだ成長しているだけに、トラックで見せた強さをマラソンでも発揮したい。

 福田穣(西鉄)は藤本の国士舘大の1年後輩。2012年には箱根駅伝に揃って出場している。MGCでは序盤の小刻みなペース変化に対応できず15キロ付近で集団からは遅れ22位。福岡は地元に加え、昨年、MGC出場を決めた験のいい大会だ。2時間9分52秒の自己記録更新はもちろん、どこまで記録を伸ばせるか。

 そして福岡国際は10回目の出場となる川内優輝(あいおいニッセイ同和損保)。MGCを回避し、ドーハ世界選手権に出場したが29位に終わっている。今年4月のプロ転向以降、目立った成績を残せていないが、勝負強さは折り紙付き。コースを知り尽くす福岡だけに、日本人上位争いに加わりそうだ。

画像: ドーハ世界選手権では不完全燃焼に終わった川内。今回で10回目の出場となる福岡国際では、どんな走りを見せてくれるのか 撮影/Getty Images

ドーハ世界選手権では不完全燃焼に終わった川内。今回で10回目の出場となる福岡国際では、どんな走りを見せてくれるのか
撮影/Getty Images

 また一般参加からは昨年のこの大会で2時間12分32秒の自己ベストを出した市田孝(旭化成)も出場する。

厳しい派遣設定に果敢にチャレンジを!

 派遣設定記録2時間5分49秒は日本記録を1秒上回ることに加え、福岡国際での日本人過去最高は2000年に藤田敦史(現駒大コーチ)が出した2時間6分51秒。海外勢でも福岡でこの設定記録以上で走った選手は過去2名しかおらず、東京五輪代表獲得のために課せられた基準は非常に高い。大迫が2018年にシカゴマラソンで日本記録を出したときは5kmごとのラップで15分台は2回のみで、他はすべて14分台だった。突破のためには1km3分を切るペースに乗ることは必須。2時間5分26秒のベストタイムを持つエルマハジューブ・ダザ(モロッコ)らと争うことで終盤までハイペースを維持することも求められる。

 厳しい挑戦となるが、果敢な走りに期待したい。

文/加藤康博

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