30日、東京・後楽園ホールで行われた52.5kg(スーパーフライ級リミット+400g)契約8回戦で番狂わせ──。元OPBF東洋太平洋フライ級王者で、現・日本9位の中山佳祐(31歳=ワタナベ)が、大阪から登場したノーランクの古谷昭男(21歳=六島)に0-2判定負け(76対76、75対77、75対77)を喫した。また、元日本&WBOアジアパシフィック・スーパーフライ級チャンピオンの船井龍一(34歳=ワタナベ)の引退式がリング上で行われた。
上写真=中山に対し、古谷は迷いのない右を打ち込み続けた
昨年3月、今年2月とKO負けが目立つ中山の迷いと、「格上の中山選手には、どんどん強気で向かっていくしかない」という古谷の決意の差が出た戦いだった。
サウスポーの中山は、丁寧に慎重に立ち上がったつもりだっただろうが、古谷は右ストレートを中心に、攻める姿勢を前面に出した。この右を外して左カウンターを狙う中山だったが、常に後手を踏むかたちとなり、気持ちの面でも押されることに。セコンドの「サイドから!」「縦!(拳を縦に放つ左ストレート)」という指示に反応し、古谷をなんとか止めようと試みるのだが、相打ちになっても優るのは古谷。「中盤、足が止まってしまい、打たれてしまったけれど、もう1度動かすことができた」という古谷は、サイドへ回り込む中山を歩いて追って連打を浴びせるなど、最後まで攻めの姿勢を貫き通し、敵地での勝利を手繰り寄せた。
これで初のランク入りを確実にした古谷の戦績は12戦8勝(3KO)4敗。敗れた中山は18戦11勝(5KO)5敗2分。
古谷対中山のセミファイナル前には、今年5月にアメリカ・カリフォルニア州ストックトンでIBF世界スーパーフライ級王者ジェルウィン・アンカハス(フィリピン)に挑み、6回TKO負け。この試合を最後とした船井の引退式が執り行われた。
式では高校時代に一緒にボクシング部をつくった親友・中川健太(三迫)とのスパーリングが2ラウンド行われた。
このふたりは2017年3月に拳を合わせ、7回KOで王者・中川から船井が日本スーパーフライ級王座を奪取した“因縁”もある。親友に胸を貸すと同時に、リベンジも兼ねた中川がヒット&アウェイをし、船井が必殺の右で追いかけるという展開で場内を沸かせた。
渡辺均会長、後援会関係者、ジムの後輩チャンピオンたちに囲まれ、ともに歩んできた高橋智明トレーナーから労いの言葉を贈られた船井は、「挫折や敗戦を重ねて夢がしぼんだときもあったけれど、みなさんのおかげで夢見ていた舞台に立つことができました。社会人として、皆様の後輩として頑張ります」と挨拶。現在はキッチンカーでお弁当販売に汗を流し、ゆくゆくはお店を構えたいという希望を持っているそうだ。
プロ通算戦績は39戦31勝(22KO)8敗。
文_本間 暁
写真_菊田義久
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