30日、東京・後楽園ホールでのライトフライ級6回戦で、アマチュア5冠の重岡優大(22歳=ワタナベ)がプロデビュー戦を行い、マノップ・ウドムパナーワーリー(21歳=タイ)を2回2分16秒TKOで破り、初陣を飾った。高校(熊本・開新)からそのままプロ入りした弟の銀次朗はすでにWBOアジアパシフィックのミニマム級チャンピオン。「今は“銀”がずっと上だし、先に世界チャンピオンになるでしょう。でも、気がつけば追いついていると思います」と“兄弟対決”にも自信を見せた。
上写真=強烈な左を叩き込む重岡兄
「楽しかったです」
初めて経験するプロのリング、そしてつかみ取った勝利を、重岡はさらりと振り返った。
「8オンスのグローブで戦うのは初めてなので、どんなに効くのかと思ってガードの上から打たせても、自分が殴ったらどんなものかと殴っても、予想よりずっと痛くありませんでした」
拓殖大学に進み、さらに4年間、アマチュアで鍛え上げてきた。その分、落ち着いている。試合直後でも、その応答は余裕たっぷり。むろん、いっさい不安のなかった試合内容も自信を後押ししてくれた。
サウスポーの重岡は、やや力みも見られた初回、打ち落とすような右フック、顔面、ボディと自在に散らす左ストレートで圧倒する。2回も次々にクリーンヒットを積み重ねた。左のボディショットでずるずると後退したマノップのテンプルに右フックを決めてダウンを奪う。さらに立ったところに左からの右フックをアゴにヒット。だらりと両手が下がって、無防備状態のタイ人にレフェリーストップがかかった。
「弟に勝っているところ? どうですかね。負けているものはとくにないと思うんですけどね。とにかくふたりで強くなっていきたい」と優大。帰り際にすれ違った銀次朗に、兄の試合の印象を聞くと、「あんなものでしょ」。とてもいい意味での天然な答えに、トップを目指す兄弟の絆の太さを感じたもの。
「うまくいけば年内にもう一度戦えるかもしれません。そのときは“銀”と同じリングです。一緒に減量して、一緒に練習して、そして一緒に勝ちたいですね」
文◎宮崎正博 写真◎菊田義久
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