12月15日に開催される第74回毎日甲子園ボウルの勝敗の行方を関西アメリカンフットボール・コーチズアソシエーションの茨木克治代表が展望する。連覇を目指す関学大と初の大学日本一を狙う早大は、前回と同じ組み合わせだが、1年でチームが変わるのが学生スポーツだ。
上の写真:学生日本一になった昨年のチームから替わったのはわずか1人の関学大オフェンスライン。 写真:佐藤 誠
甲子園ボウルは、昨年と同じカードとなった。前回は、ファーストシリーズをタッチダウンに繫げた関学大がランで終始ゲームを支配。50回のランで287ヤードを獲得して堅実なゲームを遂行した。この原動力となったオフェンスライン(OL)は、卒業による喪失はわずか1名だ。
クォーターバック(QB)、ワイドレシーバー(WR)、ランニングバック(RB)のスキルユニットも充実しており、シーズン前から高く評価されていた。しかし、春季シーズンは、更なる進化は見られなかった。秋季リーグでもらしくないゲームが続いた。故障者、デプスメンバーの充実など理由はあるだろうが、2019年オフェンスが見えなかった。
オフェンスラインは、昨年来の4名+期待の右タックル牧野で対戦した2回の立命館大戦も、相手ディフェンスラインに苦しんだ。
守備は安定している。ラインバッカー(LB)海崎・繁治のコンビは、国内トップクラス。プレイリードの臭覚、直線的にランナーを刺すスキルは、このチームのシステムに不可欠な存在だ。
懸念されたディフェンスバック(DB)も畑中を軸に若手が成長している。パス守備に関しては、フロントラインに主将の寺岡、クォーターバックサックリーダー大竹、板敷とスピードのあるユニットがプレッシャーを掛ける。
早大は今年の目標を「甲子園ボウルで関西のチームにリベンジする」と掲げた。しかし、主力の抜けたチームは、春季2敗(関西大、明治大)を喫した。「この苦しいチーム状況下で主将の池田がリーダーシップを発揮してチームを鼓舞し続けた。彼の存在がなければ、聖地には戻って来られなかった」と高岡監督は評価する。
関東学生リーグ最優秀選手賞のQB柴崎がこのチームのキーマン。パス成功率70%(70/100、1071ヤード、7タッチダウン、1インターセプト)。彼の持ち味は、レシーバーにとって一番捕りやすいスポットに優しいパスを投げられること。このボールがレシーバーのRAC(ラン・アフター・キャッチ)を産み出している。
ゲームの見どころとして、関学大ランアタックvs早大守備フロントの攻防があげられる。昨年、早大守備は、前半2回ゴールラインを死守している。関学大パスユニット対デプスが厚くタレントが揃う早大ディフェンスバック陣との勝負も見逃せない。
早大QB柴崎―WRブレナン、小貫のホットラインvs関学DB陣、早稲田オフェンスラインvs関学ディフェンスライン。スピードのあるパスラッシュをどのように持ちこたえれるか? この駆け引きを今から楽しみにしている。
全日本大学アメリカンフットボール選手権 決勝 三菱電機杯 第74回毎日甲子園ボウルは、2019年12月15日(日)阪神甲子園球場において、13時05分キックオフ。1Qは15分。NHK BS1で生放送される(再放送は12月21日(金) 01:00-02:49)。
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