今シーズンで勇退する関西学院大学アメリカンフットボール部の鳥内秀晃監督。選手たちの「負けない強さ」を育んだ指導力と、軽妙な大阪弁の語り口、厳しくあたたかい人柄で、多くの人たちを魅きつけてやまない監督の魅力を、長く取材してきた担当記者たちが綴ります。Vol.3は、関学大の永遠のライバル、京大ギャングスターズ出身、朝日新聞のWEBメディア「4years」の編集長、篠原大輔さんです。(上の写真:清水 茂・福田 祥大 P-TALK)
鳥内さんの監督人生を振り返るとき、私は毎回のように自分の人生を振り返ることになる。というのも鳥内さんが関学の監督に就任した1992年、私は2浪の末に京大に入り、念願だったギャングスターズに入ったからだ。
まだ30歳台半ばだった鳥内さんの顔はいまよりもシャープで、眼光は鋭かった。「恐そうで、性格の悪そうなオッサンやなあ」。ずっと、そう思っていた。ただ、試合中に審判とコミュニケーションをとるときに見せる笑顔が、思いのほか柔らかかった。それは気になった。
戦力的な巡り合わせもあって、私が京大にいた4年間、秋の関学戦は3勝1敗で終わった。しかし唯一負けた2回生の関京戦では、大雨の西宮スタジアムで関学の恐さ、フットボールの恐さを思い知らされた。しかも5回生コーチのときは下馬評では京大有利だったのを、ショートパスを多用したノーハドルオフェンスでひっくり返された。歓喜に沸く関学のサイドラインには、いつもと変わらぬ仏頂面の鳥内さんがいた。もちろんまだ、話をしたことはなかった。
私は新聞記者になった。はっきりとは覚えていないが、おそらく1999年、初めて記者として関学の試合を取材に行き、おそるおそる鳥内さんにあいさつした。最近鳥内さんから聞いたのだが、このとき私は「こんなんで勝てるんですか?」と言ったそうだ。恥ずかしい。若かった。大学時代の恐ろしい関学の残像が強すぎて、目の前の関学に物足りなさを感じたのだろうか。そんなことを言ったもんだから、鳥内さんも私のことを覚えてくれたようだ。
あれ以来、試合会場で、関学の監督室で、鳥内さん行きつけの(行きつけすぎる)居酒屋で、いろんな話を聞かせてもらった。要するに、人を笑わせるのが大好きな、典型的な大阪のオッサンである。
奥さんが説得してようやく、還暦祝いの赤いユニフォームを着てくれた 写真:篠原さん提供
去年の12月には、10人ほどの記者で60歳になったばかりの鳥内さんを囲む会を開き、背番号60の真っ赤なユニフォームをプレゼントした。もちろんその場で着てもらい、写真を撮りたいのだが、「俺は赤は着んぞ」の一点張り。赤は日大のカラーであり、立命のエンジを連想させる色だからだ。鳥内さんの奥さんに来てもらい、説得してもらうことにした。すると、なんやかんや言いながら着てくれた。いったん着ると、その先のサービス精神は旺盛だ。これでもかとポーズをとり、奥さんとのツーショットも撮った。
先日の西日本代表決定戦を前にした記者会見のとき、鳥内さんはニヤッと笑って言った。「なんや、今年は61番の青いユニフォームでもくれるんか?」。さあ、どうでしょう?
監督をやめたあとは、2021年の夏に家業の製麺店をたたむための作業に取りかかるという。「ほんまにアメフトには関わらんのですか」と尋ねると、「京大のコーチやろか? 入れてくれんわな」。自分でオチをつけて大笑いしていた。
酒の席では、より一層人を笑わせに走るが、ふとしたときにマジメなことを言う。何回も聞いたのが、かつて同じく関学の監督だった父からの言葉だ。初めて監督になるときに「4年を男にして卒業させたらなあかんで」と言われたそうだ。28シーズンにわたる長い長い監督生活は、この思いで貫かれていた。この人のもとで学生生活を過ごせた関学ファイターズのみなさんを、うらやましく思う。
鳥内さん、甲子園ボウル出場が決まって、監督生命が延びましたね。まだまだ僕らを笑わせて下さい。でも最後、東京ドームでは泣いて下さい。僕も泣きます。
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