close

2020-12-08

【NFL】ワシントン、スティーラーズの開幕からの連勝11で止める

堅実なパスと頭脳で、勝利を演出したワシントンのQBスミス=photo bay Getty Images

全ての画像を見る

米プロフットボールNFLは現地12月7日・月曜日に第13週の2試合を行った。新型コロナウィルス感染症の影響で、前週の試合が水曜日になったため、エキストラのマンデーナイトゲームとなったピッツバーグ・スティーラーズ対ワシントン・フットボールチームは、23-17でワシントンがスティーラーズに逆転勝ちした。スティーラーズの開幕からの連勝は11で止まった。正規のマンデーナイトゲーム、サンフランシスコ・49ナース対バッファロー・ビルズは、ビルズが34-24で49ナースを破った。

ワシントン・フットボールチーム●23-17○ピッツバーグ・スティーラーズ
(2020年12月7日、ピッツバーグ・ハインツフィールド)

ワシントンが第4クオーターの逆転で、スティーラーズをストップした。
前半はスティーラーズのペース。第2クオーター、QBベン・ロスリスバーガーが2本のタッチダウン(TD)パスを決めて14-0とリードした。ワシントンは、前半終了間際、Kダスティン・ホプキンスのフィールドゴールで3-14として後半へ折り返した。
第3クオーター、ワシントンはRBペイトン・バーバーの1ヤードTDランで追い上げた。スティーラーズは第4クオーター冒頭にKマシュー・ライトのFGで7点差とするが、ワシントンはQBアレックス・スミスからTEローガン・トーマスにTDパスが決まって同点とした。
ワシントンは第4クオーター12分に、ホプキンスのFGで逆転すると、次のスティーラーズのオフェンスシリーズで、QBロスリスバーガーのパスをインターセプト。ホプキンスが残り17秒でFGを決め、とどめを刺した。
ワシントンは5勝7敗でNFC東地区首位タイ。スティーラーズは11勝1敗で、AFC北地区首位は変わらないが、プレーオフの1回戦バイを争うカンザスシティ・チーフスと相星となった。
長身を生かして、スティーラーズDBサットンに競り勝ってパスをキャッチするワシントンTEトーマス=photo bay Getty Images
長身を生かして、スティーラーズDBサットンに競り勝ってパスをキャッチするワシントンTEトーマス=photo bay Getty Images


◇トピックス
・スティーラーズの連勝は11で止まったが、勝った場合は、開幕からの連勝としては、2015年のカロライナ・パンサーズ(開幕から14連勝)以来だった。その時のパンサーズのヘッドコーチ(HC)は、現ワシントンのロン・リベラHCだった。
・2006年シーズンが終わった後、スティーラーズは当時のビル・カウワーHCが勇退。その後継者として争ったのが、現在のマイク・トムリンHCとリベラだった。
・スティーラーズが本拠地・ハインツフィールドで14点以上リードした試合は、過去80試合で78勝1敗1分けだった。


貴重なFGもたらしたQBスミスの“頭脳プレー”


ワシントンのQBスミスが、持ち味を見せた。前半はスティーラーズのパスラッシュに苦しんだが、TEのトーマス、RBのJDマキシックをレシーバーにパスを組み立て、後半にアジャスト、インターセプトの無い、堅実なドライブで逆転を演出した。
忘れてはならないのが、前半終了間際に、貴重なFGの3点をもたらした“頭脳プレー”だ。
スティーラーズ陣内まで攻め込んだワシントンだが、残り時間24秒、タイムアウト無しのサードダウンで、スミスはサックされた。プレーが終わった時点で計時は残り17秒、もちろん時計は止まらなかった。エンドゾーンまで31ヤードとFG圏内だったが、FGチームが入ってボールをセットしてキックするのにギリギリ間に合うかどうかというところだった。
しかし、肝心のボールがフィールドに無く、プレーができない。時計がそのまま進み、前半終了かと思われたが、ジョン・ハッシー主審は「administrative issue」(管理上の問題)として時計を残り時間8秒まで戻して、ワシントンのFGトライを認めた。
リプレーを見ると、スミスはサックされた後、ボールを手放さず持ったままでフィールドから出てしまい、一時的にボールの行方が分からなくなっていた。
アメリカンフットボールでは、ボールキャリアーはプレー終了後には、速やかにボールを手放すか、審判に渡すというのは常識だ。ベテラン選手のスミスがそれを知らない筈がなく、「確信犯」の行為だった。
優勢に試合を進めていたスティーラーズは、一連の動きに抗議もせず、時計が戻るのを認めたが、結果的にこの3点が高くついた。
NCAAルールであれば、スミスの行為にオフィシャルが気づけば、ゲームの遅延行為として反則となり、10秒減算の対象となるという。この場合に当てはめれば、FGを蹴る時間が残らなかった可能性もある。

<追記>

NFLの審判歴20年で、現在はNBCのサンデーナイトフットボールのルール担当解説員を務めるテリー・マックオーリーさんは自身のツイッターアカウントに次のように投稿した。

「WASvsPITの前半終了時についての私の見解。両チームは、最後の数秒のFGの状況では、審判は前のプレーのボールを使用することを知っている。スミスがフィールドからボールをフィールド外に持ち出したとき、別のボールを入れるのが遅れた責任はWASにある」
「アンパイアはプレーの最後にボールを求めていた。彼はその後、彼はサイドラインから新しいボールを取得しようとして残り8秒で時計を停止した。それをすべきではなかった。WASが遅延を引き起こしたのであり、(WASが)そこから利益を得るべきではなかった」


11連勝中のスティーラーズを破り、両手を広げて喜ぶワシントンのDEヤング=photo bay Getty Images
11連勝中のスティーラーズを破り、両手を広げて喜ぶワシントンのDEヤング=photo bay Getty Images


スティーラーズ、パス偏重オフェンスに課題

スティーラーズは連勝が止まった。
オフェンスは、パス305ヤードでランは21ヤード、プレー選択ではパス53回に対し、ラン14回。ファーストダウン更新数ではパス13回に対しランは1回と、偏重ぶりが際立った。
パスは300ヤードを超えたが、後半は苦戦し、TDが奪えなかったスティーラーズQBロスリスバーガー=photo bay Getty Imagesパスは300ヤードを超えたが、後半は苦戦し、TDが奪えなかったスティーラーズQBロスリスバーガー=photo bay Getty Images

この試合では、ロスリスバーガーのショートパスをランの代わりにして進むオフェンスを、ワシントンディフェンスに見切られた。レシーバー陣が、アンダーニースでパスを捕球しても、ワシントンのLBやDBがすぐさまタックル、ランアフターキャッチを防がれ、試合後半の苦戦につながった。
象徴的だったのは第2クオーターのオフェンスだ。ゴール前1ヤードでファーストダウンとなりながら、4回の攻撃(ラン3回、パス1回)で、その1ヤードを取り切れない。しかしその後、ゴールまで50ヤードからのオフェンスでは、最初のプレーで、QBロスリスバーガーがWRジェームズ・ワシントンにあっさりTDパスを決めた。一発の力はあるが、安定的なオフェンスとは言えない。
最初の6試合は778ヤードだったチームラン成績は、直近の6試合では333ヤードと急降下している。
残り4試合で、ビルズ(9勝3敗)、インディアナポリス・コルツ(8勝4敗)、クリーブランド・ブラウンズ(9勝3敗)と、プレーオフを狙う強豪との対戦があるスティーラーズ。寒さが厳しくなる時期だけに、ランオフェンスの再構築が必要となってきた。

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事



RELATED関連する記事