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2020-12-12

【箱根駅伝の一番星】勢いが止まらない吉居大和、中大のプリンスがいよいよ箱根デビュー

陸マガの箱根駅伝カウントダウン企画「箱根駅伝の一番星」は出場20校の注目選手を紹介。中央大ルーキーの吉居大和は、7月のホクレンDC以降、勢いが止まらず、12月の日本選手権・長距離では自身のU20日本記録を更新。予選会でもチームをけん引した中大のプリンスが、いよいよ箱根路へ。

距離への不安を払しょくした予選会

 中央大が最後にシード権を獲得したのは2012年のこと。長らく我慢の箱根駅伝が続いてきたが、どうやらトンネルを抜け、新たな地平が開けてきそうな気配だ。

 その中心にいるのが1年生の吉居大和だ。

 吉居には驚かされっぱなしだ。大学入学前に行われた3月の中大記録会の10000mでは、28分35秒65のタイムをマークし、高校生だったにもかかわらず、いきなり先輩たちを抑えてトップに。主将の池田勘汰(現4年)は、「どれだけ速い選手が入学してくるのかと思いました」と衝撃を受けたと語っている。

 そしてコロナ禍で各種大会、記録会が中断されるなか、7月に開催されたホクレン・ディスタンスチャレンジ千歳大会の5000mで、吉居は13分28秒31のU20日本記録を樹立する。

 そこからは勢いが止まらない。9月の日本インカレでは5000mで優勝すると、10月の箱根駅伝予選会では初めてのハーフマラソンに挑んだ。

 スピードランナーだけに距離への不安がささやかれたりもしたが、レースが始まってみると留学生につく積極的な展開を見せる。初めてのハーフマラソンを吉居はこう振り返る。

「最初の5㎞は14分10秒で流れて、とてもいい感じでした。ところが、そこから15㎞くらいまではペースが遅くなってしまって……。この10㎞で40秒くらい損したかなと思います」
 途中、自分が集団を引っ張ることもチラッと考えたという。

「リズムを考えたら、自分が引っ張ってもいいのかなと思っていたんですが、レース前に藤原(正和)監督から、どんなに遅くとも、3年生の(森)凪也さんについていくように言われていたので、自重しました」

 寒さと雨の影響もあったのか、後半は体が動かなくなりました、と話したが、1時間01分47秒の好記録で総合10位に。もちろん中大勢ではトップで、1年生ながらエースの役割を担っていることをハッキリと示した。

箱根は「いい準備をして、いつもどおり」

 吉居は12月4日に行われた日本選手権の5000mにも出場、中盤までは坂東悠汰(富士通)と競り合う積極的なレースを見せ、13分25秒87と自身のU20日本記録を更新した。藤原監督は、「13分20秒切りを目指していたので、悔しさの残る結果でしたが、今後はオリンピックの参加標準記録である13分13秒50を切れるように強化を進めていきたいと思います。もちろん、その前に箱根があります」。

 1年生にして華麗な実績を積み重ねつつある吉居。いよいよ箱根駅伝デビューが迫ってきている。吉居は言う。

「箱根も大会のひとつと捉えています。今、先輩方がとても充実しているので、自分がなんとしてもタイムを稼がなきゃ、というプレッシャーもないです。いい準備をして、いつもどおりに大会に臨みたいと思います」

 中大のプリンスの箱根駅伝デビュー。どんな結果が待っているか、楽しみでしかない。



日本選手権・長距離5000mで13分25秒87のU20日本記録をマーク

よしい・やまと◎2002年2月14日、三重県生まれ。168cm・49kg、B型。田原東部中(愛知)→仙台育英高(宮城)。仙台育英高3年時に都大路優勝(3区8位)。中大入学後、7月のホクレンDC千歳大会5000mで13分28秒31のU20日本新。箱根駅伝予選会ではチーム一番手の1時間01分47秒(U20日本歴代2位タイ)。11月の日体大記録会10000mでU20日本歴代3位となる28分08秒61。12月の日本選手権長距離5000mで13分25秒87と自身のU20日本記録を更新(日本人学生歴代6位)。吉居にとっての箱根とは「駅伝大会」(箱根駅伝2021完全ガイドアンケートより)。

陸上競技マガジン 1月号

箱根駅伝2021完全ガイド(陸上競技マガジン1月号増刊)

文/生島淳 写真/田中慎一郎、中野英聡

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